クエスト20 FEEL THE MAGIC
「何て事はない。俺が伝え残したのは唯一つ。」
「FEEL THE MAGIC って奴さ。呪文を唱える時、その呪文を体全体で欲しようとすると、1.2~1.5倍増しで効果が出る。それがFEEL THE MAGIC という奴さ。これが出来る魔法使いは、必ず一流になれる。だが、俺の見立てではルーザック、お前はまだFEEL THE MAGIC を使いこなせていない。本来なら、呪文を契約する時に伝えるべきだったのかもしれないが、原石の素質のままであるお前を、大事にし過ぎるあまり、伝えられていなかった。」
「FEEL THE MAGIC のコツは、体全体で集中して発する‼」
「よく分かっているじゃねぇか。それがマスター出来ればきっとお前さんは、俺の手の届かない場所に行ってしまうのかもしれねぇな。」
「ありがとう、アルテミーラ。貴方に出会えて良かった。」
「俺もだよ。チキショー!」
二人の魔法使いは、こうして別々の道を歩む事になる。FEEL THE MAGIC は、アルテミーラという男が長年をかけて編み出した、一種の極意のようなものである。そんな大切なモノを、簡単に伝えてくれたのは、ルーザックの事を本当に認めているという事になるのであろう。
認めてもいない男に易々と極意を教えるほど、人間という生き物は出来上がってはいない事だろうと思う。
アルテミーラは、ルーザックを認める一方で、不安を一つ感じていた。仮にこれから、グドルフ・オリスタイガーの元で修行出来たとしても、彼の成長がきちんと成されるのか?8年間も寝食を供にした弟子の不安要素が見え隠れしていた。
もちろん、自分より遥かに優秀な人材の元で成長出来ないはずがない。親鳥の元から巣立つ雛を見送る親鳥の心境とでも言えるだろうか。
アルテミーラにとっては、自分の手元からは離れる存在てあり、関係ないと割り切る事も出来たはずである。それが出来ないという事は、ルーザックに対して親心のようなものが、少なからず芽生えていたのだろう。
「俺から教えられるのは、以上だ。さぁ、早く行け。ルーザック!」
後ろ髪を引かれる想いというのは、こういう事を言うのかもしれない。だが、ルーザックに立ち止まって考えている時間はなかった。




