クエスト16 転機
アルテミーラとルーザックの生活において、転機が訪れたのは、ルーザックがアルテミーラに弟子入りして5年が経過した頃の事であった。
何でも屋のミッションで、化け猫が邪魔だから退治して欲しいというものだった。実際のミッションは、ヘルキャット×二体を倒す事であったのだが、このヘルキャットはエルギノティオ城周辺の雑魚とは違い、ルーザックには倒す事が難しいビーストであった。その為、アルテミーラが、直接手を下す事になった。
「ルーザック、危険だから下がっていろ。」
ルーザックは心の中で叫んだ。よし、初めてアルテミーラの実力が分かる、と。
「はい、分かりました。」
ルーザックは隠れながらも、アルテミーラの状況が分かる様に茂みから顔を出した。ヘルキャット達は、今にもアルテミーラを食い殺しそうな勢いである。
すると、急に空の色が変わり、アルテミーラが、呪文を唱えた。
「ナギクロス!!」
へらへらしていたヘルキャット達は、竜巻に巻き込まれ、跡形もなく消えた。
「驚いたかい?」
「ちょっと安心しました。貴方の実力が本物であった事に。」
「戦わさせたら、一級品だよ。ルーザックはまだその段階じゃないだけだよ。高望みは駄目だよ。魔法も基本が出来なきゃな。今のルーザックは、基礎を固める時期だよ。」
ルーザックは、アルテミーラの真の実力を知り完全にアルテミーラに対する見方が変わった。身近な人間の実力が分からず、ヤキモキした気持ちになることもあるかもしれない。
しかし、真実がどこにあるかを知れば、イタズラに不安がる必要はないと言える。ルーザックが目指すべきは、今はアルテミーラかもしれない。だが、希代の王族護衛兵アルテミーラの先を目指しルーザックは、修行に明け暮れた。ルーザックの仕事ぶりをアルテミーラは評価し、時にはエルギノティオ城の王族護衛にルーザックを派遣した事もある。信頼していなきゃ、そんな事は出来ない。月日は過ぎ、ルーザックの身長は180㎝になっていた。
コルティス村に帰ろうかと考えたが、家を飛び出たきり、手紙の一通も出していない。そんなバカ息子の顔を父マィドゥークは、見たくないだろう。母ウィリザーも、弟と姉がいるから心配ない。ルーザックは、世界の平和の為に、家族を棄てた。
アルテミーラのナギクロスは凄かった。ワロザキ神父のナギの数十倍の規模だ。二人は化け猫退治ミッションを機に信頼が、深まった。この人は張ったりでもなく、嘘っぱちの実力ではないと。まさに転機と言える。二人にとって最良の転機であった。




