クエスト130 死闘①
間違いなくこの戦いは死闘と呼ぶに相応しいものであり、一進一退の攻防とはこの状況を呼ぶに相応しい。大魔王バルガスも、勇者ピルティン達も、ここはお互いに手の内を探るべく、牽制のしあいであり、我慢のしどころであった。
はっきり言って、死闘が長引くという予想が、簡単に出来る状況でもない。それにしても大魔王バルガスは、無駄口を叩かない奴だなと、ルーザックは思った。
必要でもない事を喋らないというのは、戦略的に見て、充分有り得る作戦の一つなのかもしれないが、それにしてもバルガスの口数の少なさは、ちょっと気持ちが悪い。
ルーザックの魔王像だと、喋りまくり戦いを始めたら、戦闘中もべしゃるのが、彼のそれであった。だから、拍子抜けした。今頃になって、大魔王バルガスと会話を楽しみたい等、サラサラ無いが、それでも、少しくらい口を利いて欲しいものだろう。
いずれにしろ死闘が続いていることは、紛れもない事実である。お互いにどこまで、削りあうのか。そして勝負所でスパートをかけるのは、どの段階なのかという見極めが、必要である。残念ながらまだ、その段階ではない様だ。
「これじゃあ埒があかねぇ。ルーザックどうする?」
「どうする?ってここは、まだ勝負所じゃないからね。我慢だよ。」
「ダイレクトアタックも大したダメージを与えられてないぜ。」
「大魔王バルガスは衣でも、纏ってるのかな?私の正拳づきが全く効かないわ。防御力も一流だわ。」
「今は大技を放つ段階ではない。今は耐え時だ。」
「もう少し現状維持か。様子見ってとこか。」
「OK OK ガンガン行こうぜ」
「何それ(笑)」
全くダイレクトアタックが効いていないという訳ではない。少しずつではあるが、バルガスの体力は確実に落ちて来ている。しかし、バルガスの体力が桁違い故に、まるで効いていないかのような錯覚に陥ってしまっているだけの話だったのである。
ピルティン達に今必要な事は、自分達のやっている事を信じ抜く事である。倒せるか倒せないか分からなくても、とりあえず今やれる事に全力を尽くす。そうやって重ねていった努力や頑張りの結晶があるからこそ、大きな目標を達成出来るのだ。




