クエスト116 大魔王バルガスの弱点
「ところでよ、大魔王バルガスに弱点なんかあるのかよ?」
「ある。奴は、direct attack(打撃攻撃)に弱い。ジュカニ(防御力down呪文)で防御力を下げて、ダイキルト(攻撃力UP呪文)をかけた攻撃を絶やさなければ、勝てる。」
「そんなら楽勝じゃねぇの?」
「だが、そうとも言えないのじゃ。残念ながら、他の攻撃呪文や補助魔法は一切効かないから時間とGP(魔法力)の無駄だ。しかも、打撃攻撃が効くのは、大魔王バルガスの腹にある目玉が開いている時だけなんじゃ。」
「腹の目玉が閉じている時は、ほぼ完全に無敵って訳か。」
「物分かりが良いな。その通り。それまでは大魔王バルガスの攻撃をひたすら耐えねばならぬ。」
「大魔王バルガスの腹の目玉が開いているのはどのくらいの時間何だ?」
「あれは我々でいう呼吸みたいなものだ。だが、正確な時間は分からない。予測もつかない。」
「かなり厄介だな。でもそのタイミングしか攻撃チャンスはないんだろ。仕方ねぇ。」
「しかし、ブラウス、お前なんで大魔王バルガスの弱点を知っておいて、わざわざ俺達にリークしたんだ?大魔王の魔力が弱まってる証かよ。」
「ワシら、ビーストは大魔王の化身。奴の命令に従うのは、絶対だ。お前さんらの言うように大魔王バルガスの魔力が弱まってる証かもしれん。まぁ、これも何かの縁。お前さんらの様な強い旅人に出会うのを心待ちにしていた。」
「そうか。そういう事か。」
マルゲラは、ブラウスの重みのある喋りに心を奪われた。
「もう、行くのか?」
「ああ。大魔王バルガスの魔力が弱まるのは、夜だけだからな。期待してるぞ、勇者トトの血を引く戦士達よ。」
ブラウスはまた夜道へと戻って行った。マルゲラは思う。大魔王バルガスの産み出したビースト1匹1匹が、自分の考えを持っている。魔王軍とひとくくりにしても、それはロボットの様に一様ではない。
何はなくとも、深夜の見張りでとんだ情報を手に入れた。そして、マルゲラはパーティー全員にありのままを報告した。
「そうか。大魔王バルガスの配下の中にも、不満を持っている者はいるんだな。」
「この情報はあるのと無いのじゃ大違いよ。」
「まぁ、この情報があるからって勝てる訳でもないけどな。」
マルゲラは大手柄を自重していた。これまでの戦いの中で、あまり良い仕事が出来ていなかったと思っていただけに、このマルゲラが仕入れた貴重な情報は、パーティーでの彼の評価を上げるのに一役買った。ありがとう、ブラウス。




