クエスト115 開放
囚われの人々は氷山の一角に過ぎなかった。その後、デビルロイヤルの中には1万人近い人間が収容されていたからである。
ピルティン達は、見つけ出した囚人をエアルーガ王国へと輸送し、1万人の囚人全てを開放する事に成功する。その中で大車輪の活躍を見せたのが、ルーザックであった。
ドゥーラ(瞬間移動魔法)を使えるのは、ピルティンとルーザックしかいない。だが、ピルティンは、リーダーとして救出の音頭をとらなければならない。そうなると、囚人の輸送はルーザック任せになってしまう。ルーザックは、与えられた役割を嫌な顔1つせずにこなした。
1度に数百人輸送する事もザラであったが、ドゥーラの複合呪文ドルドゥーラを編み出しさらに多い数千人近い囚人の輸送が可能になった。1万人全ての輸送が終わる頃には、流石のルーザックもヘトヘト魔法力0だった。
「ルーザック、よくやったぞ!今日はルーザックの魔法力の回復するまで休もう。」
「見張りは俺とスーゲルが交代でやるよ。」
「ええ。構わないわ。今日はルーザックに任せっきりだったから。」
「皆、ありがとう。」
思いやりの気持ちは、いつどんな時も大切である。デビルロイヤルという敵の総本山の中にあっても、休息がとれる。仲間を思いやる心がなければ、それは難しい。
囚人の開放に使った魔法力をリカバーするために、今は休む時であった。
マルゲラが見張りをしていた時の事だった。何かの気配を感じたマルゲラは、戦士のアクスを構えた。
「そこにいるのは誰だ?」
すると小さい声で、
「私は鬼面導士のブラウスと申す。怪しい者ではない。」
と言った。
「安心しろ。ワシはそなたらの味方じゃ。それに有力な情報も持って来た。」
「有力な情報だと?」
「大魔王バルガスの弱点を知っておいて損はないはずだ。」
「立ち話も何だ。こっちへこいブラウス。つーか、お前ビーストじゃねぇの?」
何故か、このブラウスという鬼面導士が、嘘をついてるようには見えなかった。それだけではなく、彼が何の目的を持って近付いて来たのも、うすうす分かっていた。だからこそ、スムーズにブラウスを招き入れる事が出来たのだろう。いずれにしても、勇者の一行に力を貸すビーストというのも、滑稽なモノだ。
「ワシは根っからのビーストですが大魔王バルガスの出現より前に生まれたビーストなんじゃ。常日頃から、大魔王バルガスのやり方には何かと不満でな。反バルガスは意外に多いぞ、マルゲラ。」




