クエスト103 ディレミト(迷宮脱出呪文)
ルーザックは、宝剣フィラオーロと秘術バダンティクロスの呪文契約書を手に入れ、普段滅多に使う事のないディレミト(迷宮脱出呪文)でドラゴンルームを脱出した。
ルーザックは、これまでの戦いを振り返っていた。序盤から最後に至るまでの成長は目を見張るものがあったし、最終盤の方は誰が来ても恐くない状態だった。
目指していた宝剣フィラオーロやバダンティクロスの呪文契約書は、しっかり手に入れた。これで、ようやくピルティン達と合流出来る。
これまでのルーザックはどこか自信がない所があった。人並みの賢者にはなれても、グドルフの様な大賢者には成りきれていなかった。そんな中途半端な自分にイラついていた。
だが、しかし今は違う。今は複合呪文も使えるし、何よりもスペルマスターとして、何でも出来る様になった。魔導士としての可能性を広げてくれたという意味においては、複合呪文の果たす役割は決して小さくないものがある。
そんなのは独り善がりの戯れ言だと、大魔王バルガスには言われそうだが、今の実力をもってしても、大魔王バルガスには敵わないかもしれない。通用しなかったでは済まされない訳だが、少なくとも、ルーザックにはこれ以上の成長の余地はほとんどない。あるとすれば、フィラオーロの剣術力UP位のものだ。だからそれで負けたなら仕方ない。所詮は村一番のアホだ。
世の中には敗北を知らない人間はいない。だが、大魔王バルガスは違う。人を憎み、人を滅ぼす為に生まれてきた。負ける事を許されず、異端の存在として人の前に立ちふさがってきた。
だが、自分は一人じゃない。ドラゴンルームでは一人での戦いだったが、これからは、伝説の勇者の子孫ピルティンに、旅の戦士マルゲラ、武道家スーゲルという3名の頼もしい味方が、いる。彼等の実力を引き出してやるのも、魔導士たるルーザックの務めである。パーティーで唯一の魔導士だからこそやらなければいけないモノもある。
無論、自分自身の判断基準に従ってやる訳だが、ピルティン達からああだこうだ指示されるモノでもない。そこはルーザック自身が見極めをきちんとやる必要はある。言うまでもない事だが、ルーザックにはその判断力や精神力といった魔法とは直接関係のない分野の強化が、急務であった。いずれにしろ、個人で動くのと、パーティーの中で担わなければならない役割は違って来るのだ。




