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砂漠エリアの石造建築物の由来?

「進化妖精が二種類いるの?」

「はい。えっと……先程、二種類居ると申し上げましたが……」


 アレ? 私が聞いていなかっただけ?


「あっ、うん。そうだったね。じゃあ、次のコ達を呼んでくれるかな?」


 聞いていなかった訳では無いんですよ~。『半精霊一種に進化妖精一種』という、固定観念マジックに掛かっただけですよ~。と、脳内で言い訳をして、無理矢理話を進める私はテクニシャン?

 ……すみませんでした。だから、困った顔をしないで七三君。


「次のコ達はどんなコかなぁ? 楽しみだよ~。早く会いたいなぁ」


 肘を置いていた小枝を叩きながら、反対の左手を口元に添えて、先をかす私。

 わざとらしい? あざといと言って。今の私は、楽しみが押さえきれない可愛いちゃんなんですよ。てしてし。早くぅ……なんちゃって。


「では、紹介させて頂きます。いま、島主様が座っておりますトレントが、もう一つの進化妖精です。今回は一体だけでした」


 小枝を叩いていた私の動きが、ピタリと止まった。

 トレント? この切り株が?


「トレント。島主様に御挨拶を」

「ぬ~し~さ~ま。お~は~つ~に、お~め~に~か~か~り~ま~す。ワ~シ~は、ト~レ~ン~ト~と、も~う~し~ま~す(主様。お初に御目にかかります。ワシはトレントと申します)」

「『有するウィズ』『早口ファウストトーキング』!」


 思わず立ち上がり、お尻の下から聞こえて来た声に対して、『早口ファウストトーキング』を継続魔法にして掛けてしまいました。

 いや、でも、自分の座っているモノがいきなり話し始めたら、普通はビビるでしょう?

 肩幅以上に足を開いて、足の間から座っていた切り株に向けて、魔法を唱えてしまいましたよ。下っ腹に無駄な肉が無いから、これくらい余裕。余裕。

 ホント、ジャージにしておいて良かった。今の私の格好はあまり褒められたモノじゃないよね? 上半身が逆さまだから、髪に土が付いちゃったかな?


「し……島主様? どうなされましたか? トレントが何か粗相そそうをしたのでしょうか?」

「ゴメン。あまりにもゆっくりした話し方に、耐えきれなかった…ので……つい。ヤバかったかな?」


 慌てて寄って来た七三君に、馬鹿正直に答えてしまった私。


「問題無いですぞぉ、主様。ワシの話し方は、どうやら少し他の者達より、ゆっくりみたいですからのぉ」


 いや、滅茶苦茶遅いよ。しかも、魔法を掛けてもその速度だし。

 まぁ、のんびりとしたお爺さんっぽい話し方は、嫌いでは無いけどね。うん。このくらいなら大丈夫。

 よく見ると、切り株の側面に潰れた樹洞じゅどうが三つありました。樹洞は目と口の様に配置されており、不思議な事にむにむにとかすかに動く。……顔? これってやっぱり顔なのぉ?



「それでは、トレントの説明を続けさせて頂きますね。トレントは緑属性以外にも、水属性の要素を兼ね備えていて……」


 うん、知ってる。

 確かトレントは、耐火耐雷の上に、水・土属性の魔法攻撃で回復するんだよね。風魔法もダメージ半減で、MPポーションをガッチリ減らされました。しかも物理攻撃は、伸縮性の有る枝葉で防がれてしまって、殆ど通らなかった覚えがあるよ。ホント、よく泣かされましたよ。

 だけど、何故、砂漠モンスターだったのかなぁ? お伴にサボテン系のモンスターが付いて来て、面倒なモンスターだったんだよね。

 しかし、私の知っているトレントは、青々とした緑の葉が豊かな大木だった。あの姿は進化後? 樹洞も開いていて、本当に顔の様に見えていたんだよね。


「……という訳で、砂漠の砂を石の様なかたまりにしながら、土地自体の改良をする事も出来ます。また、地中の水分を……「待ったッ!」えっ?」

「ゴメン。いま他の事を考えていて聞き逃した。砂を石の様にするって何?」


 改めて聞き直すと……なんとッ! トレントが砂漠に居たのには、合理的な理由が有りました。

 体内の水分と樹液を使って、砂をコンクリートの様な物に変えていたというのです。それを使って日影を作ったり、のちに『過去の神殿か?』と言われる石造建築物を作っていたそうな。

 更には、石造建築物の側にオアシスを作り、他の生物の生存率を上げる働きをしていたらしい。


「つまり私の様に、砂漠の再開発をしていたって事だよね」

「はい。それが彼等の基本行動ですから。邪気におかされない限り、他の生命体を攻撃したり致しません」


 成る程。ゲーム内で出て来たトレントは、邪気に侵されていたトレントだったと。


「じゃあ、このトレントさんも同じ事が出来るの?』

「ワシはまだ、未熟者だからのぉ。次の進化では、体内に木々の元を保管する事も出来るがのぉ。今はまだ、動く事くらいしか出来んのぉ」

「木々の元?」


 いま私は切り株に向かって、体育座りをしながらお話を聞いています。ジャージだから気にしない。マタン達が何故か、髪の毛を持っていてくれるから、地面に着く事も有りません。

 精霊ちゃんが気を利かせて、桃を一つ成長させて持って来てくれました。本当に女子力高いよね。遠慮なく食べさせて頂きます。う~ん。美味しい。


「木々の元はのぉ。種の事ですぞぉ。ワシらは種の形を変えて、体内に保存するのでのぉ。しかき時に、然る可き場所に植えて、砂漠を緑に変えるのが…………快感なんじゃあ!」

「はぁぁあ?」


 グルリと七三君の方を向くと、同じ動きでそっぽを向いたよ。

 うん。怒られると思ったのかな?


「ま……まぁ、世界の為にはなっていたんだし、別に良い事だと思うよ」

「主様も、解りますかぁ。何も無い更地に、建造物と緑のバランス。上手くハマると嬉しいものですぞぉ」


 つまり、このトレントさん達は芸術家さん達でも有ると。そして、今は芸術建築家の卵なんですね。了解しました。



「他には何が出来るの? 動き回るだけ?」

「未熟者のワシにいま出来る事は、主様の足として、アチコチに行くくらいかのぉ。後は……その桃の種を、上に置いてもらえるかのぉ」


 私の足になってくれるのか。つまり、スクーター代わりにして良いって事だよね? 『距離圧縮テレポート』は一度、その場所に行った事がないと使えないから、これで距離が稼げそう。……『飛行フライ』は怖かったの。人間は空飛ぶ生き物じゃないのよ。

 取り敢えず、食べ終えた桃の種を、切り株の上に言われた通りに置いてみる。と、ニョキニョキと芽が出て、あっという間に、立派な苗木になりました。


「あら、お得。良かったらトレントさんも、ゲイル達のお手伝いをして頂戴。出来れば、彼等の足にもなって欲しいんだけど……」

「ワシで良ければ、何処へでも運んでやりますぞぉ」






 よっしゃあ! これでゲイル達の足ゲット。



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