お色気担当? ナースさん達は透明フィギュア?
『精霊達の級も高い方が良く育つ。足りない時は、精霊の加護石を周りに植えると良い』
この一文のせいで、私は真面目に頭を抱えています。
カール達と精霊達の話し合いの結果は、取り敢えず六種類の神樹草を作る事で決定。纏めて植えるのではなく、バラバラに配置をして、様子見をするそうです。しかし、一種類を十ヶ所で育成するのかぁ。頑張って下さい。……いや、私も頑張るよ!
でも、合計六十ヶ所ですよ。まぁ、自分達で管理してくれるなら、私は何もは言わないけどね。手伝ってもらっている身ですから。
ただ、そこで問題になったのは、精霊達の級位。足りないんですよ。出来れば中級以上が理想らしいのですが、今のコ達は初級なんです。
そこでお便利アイテム。『精霊の加護石』。
あっさりと四百八十個ほど、おねだりされました。……おいッ!
更には次いでとばかりに、養蜂小屋を十軒ほどと、以前交換した柵も多数ねだられましたよ。
このコ達の辞書には、『遠慮』という文字が無いな。
「島主様は大丈夫でしょうか?」
「取り敢えず僕達はこのまま待機だ。彼らにも、暫く待つ様に言っておいてくれたまえ」
「はい。伝えに行って来ます」
緑属性の精霊達に連れられて、『桃』エリアにある道の端で、薦められた切り株に座ったまま、頭を抱えている私。
判っているからもう少し待ってて。今はポイントの事で手一杯なの。
通常属性の石は、一個が八百ポイント。レアな属性石は、一個が千二百ポイント。だから、八個ワンセットで八千ポイント。六十セットになると、四十八万ポイント。
養蜂小屋は、一軒に付き二千ポイント。十件で二万ポイント。
今回、柵は後回し確定として、全て交換すると五十万ポイント。出せるには出せる。
でも、今のポイントは六十万ちょい。
…………ん? 切り株? 道の端に?
「あれ? ……あっ、ごめん! 精霊さん達待たせちゃったね。先に半精霊と進化妖精を紹介してくれるかな?」
何かが引っ掛かって頭を上げたら、精霊さん達の不安そうな顔。
こんな顔を見せられたら、ポイントの事は後回しにするっきゃないよね?
「あの、もう宜しいのでしょうか?」
「うん。まずはどっち? 半精霊達かな?」
「では、御言葉に甘えさせて戴きます。説明は僕が行います。……ドリアード!」
七三分けの精霊君が声を掛けると、木々から半透明な……
「ぎゃああッ! ゆ……幽霊ッ!」
ビリジアン色の長い髪を、ふわりと靡かせながら、女性の方々が出て来ました。
「違います、島主様! 彼女らはドリアードです」
でも、なんちゅうか、透けているんですよ。そして、私はソッチ系は苦手なんです。黒い彗星と同じくらい。
「すみません。やっぱり駄目ですよね。私達の様な半端者が、島主様のお役に立つなど、烏滸がましいにも程があります」
「えっと……話せるの?」
「彼女らは初めから会話をする事が可能です。島主様が此処で草木を殖やすとなると、彼女らがいた方が効率が良いと、我々緑属性は思っております」
なんだか泣きそうな幽……じゃなかった、ドリアードさん達を庇う様に、七三君が間に入って説明し始めました。
ちょっとまだ、腰が抜けてて動けない私は、手招きで彼女達を呼び寄せて話を聞くことに。
「取り敢えず、ドリアード代表で私一人で来ましたが、宜しいでしょうか?」
「あ、うん。えっと、何が出来るんですか?」
女も度胸だ! と、チキンハートを押し隠して、ドリアードさんに質問をしてみました。
パッと見は、透明フィギュアに色が付いている感じ。髪の部分がビリジアンで、ワンピースは白。で、向こう側が透けて見えます。
でも、幽霊だと思うから怖いのであって、透明フィギュアだと思えば怖くない。怖くないんだってばッ!
「私達は主に樹木や草花の状態維持や、害虫・病気などを早期発見。早期治療するくらい「はい! 採用!」……は?」
思わず立ち上がってサムズアップしちゃったよ。
私を含めて緑の手持ちが数人居ても、圧倒的に数が足りないんだよねぇ。
「ゲイルやカール。他にも植物関係のホムンクルスを増やす予定では有るけど、彼等のサポートしてくれる? って、触れるのぉ?」
思わずドリアードの手を握ってしまった私は、触れる事にびっくりしてしまいました。でも、ちょっと冷たいかな?
いやいや、フィギュアならこんな体温だよね。と自分を誤魔化し、改めてドリアードに向かって挨拶をする。
「改めて、初めまして。橘莉亜です。さっきはごめんなさい。良かったら、他のみんなと一緒に、島の再開発をして下さい」
「あ……有り難うございます。私達も頑張ります」
目尻に涙を浮かばせながら、私にお辞儀をするドリアードさん。思わず『どうやって涙を出してんの?』と、突っ込みを入れそうになっている自分を抑えるのに必死です。
……いやはや、この世界は不思議に満ちてますなぁ。
「有り難うございます、島主様。僕達も嬉しいです」
「ううん。植物のお医者様が居るのは心強いしね」
毎回思うが、邪気の影響がなければ、このコ達は皆良いコ達なんだよね。……邪気は何故、何処から発生しているの?
「あの……ちょっと良いですか?」
緑精霊の女の子タイプが、恐る恐る私の二の腕辺りに触れて来ました。……もしかして、太ったのか私?
「成る程。判りました。ドリアード!」
精霊ちゃんが、触れていた手をドリアード達の方へと翳すと、何故か彼女達の前頭部とワンピースが揺らいで……
「何で、ナース服にチェンジしてんのぉ? ちょっ! ナースキャップ付き?」
そこには、白衣の天使のコスプレをしている、ドリアードさん達が居ました。
「お医者様というのが判らなかったので、島主様からイメージを戴き、彼女らに伝えました」
「な……成る程。私のせいか。微妙に納得いかないけど、納得したよ。ドリアード達はその姿でOK?」
「はい。島主様が不快でなければ、このままでも支障は有りません」
まあね。私自身も、注射器を持って迫って来るお医者様より、可愛い看護……師さんの方が好きだ。
しかし、あのスカートは股下三センチくらいじゃない? 清楚で大人しそうなドリアード達のミニスカート。エロいぞ。
でも、スラリとした脚を見ると、安心感と嫉妬感がムラムラと湧いてくるのは何故? 今夜からストレッチを始めるか?
「では、島主様。進化した妖精二種の説明と、ご紹介を始めさせて戴きます」
私は、今度は驚かないぞと気合いを入れて、切り株に座り直した。




