彼等は喜び、暴走寸前?
「ねぇ、カール。カールが好きそうなモノを、さっきポイント交換したんだけどぉ。あっ! 無駄遣いはしてないよ。二種類だけ交換したの。カールさえ良かったら、殖やして欲しいんだけど。どうかなぁ?」
今の私は、少しだけいたずらっ子の様な顔をしていると思う。
「リア様のお願いなら、出来る限り叶えてぇだべ。でも、おらに出来るんだべか?」
「出来る。出来る。だって、緑の手が有るんだから大丈夫。それで、二種類を各百本づつでいいから、蕾が付く前の段階で渡して欲しいんだけど、出来るかな?」
せっかく、スキルのレベル上げ手段を教えてもらったんだから、上げたいじゃん。実は簡単でした。【スキルポイント】が【スキル経験値】へと、変わっていただけだったんですよ。つまり、反復練習です。……何故、気付かなかった私。
そして、スキル『緑の手』。実はですねぇ、レベル7で作れるモノの中に、『結界藻』が有りまして。これがスキル経験値になっていたのですよ。
錬金術室に置かれていた本に作り方が載っていて、要望もあったから良く作っていたんだぁ。だって、美味しいお魚食べたいもん。
その結果、めでたくレベル8になる事が出来ました。
私のレベルやスキルは、ゲームを一番やり込んでいた頃のが反映されているらしく、中途半端につぎ込んであったスキルポイントが、底上げとして役立っていたのです。やったね!
「まずはどんなモンか見せてもらえよ、カール」
「そうですね。リアお嬢様の食生活が、更に豊かになるのでしたら大歓迎ですよ。私も早く湾岸開発に取り掛かりたいですしね」
シアンと話していた二人が聞き付けて、カールの肩を軽く叩きながら急かしています。
それにしてもジーニアスは、湾岸開発計画の早期決行をまだ諦めていなかったんだ。
「じゃあ、見せちゃうよ」
私はマイボックスに両手を入れて、苗木と苗を出して見せました。
「ジャ、ジャーン! 『Δベリー』と『ミンビーソ』で~すッ!」
「何だって? お……おい、お嬢。それはもしかしたら、神樹草じゃねぇのか?」
ゲイルの慌てた顔をチラリと横目で見た後、カールに向かって私はドヤ顔をキメてみせました。
当の本人は、キラキラとした目で、私の持っている苗木と苗に釘付けです。
「そうで~す。神樹草に分類されている、二種類を持って来ました~」
「ほ……本当に持って来てくれたんだが? おらが育てても良いんだべか?」
「成る程。これが神の領域の植物ですか。実に興味深いですね」
まぁ、結界藻自体が既に、神樹草の一種だったんだけどね。私もレベル8になって、初めて気付いた。
結界藻は海藻類に、水・火・光・闇の精霊の加護石と、白と青の薬草を煎じた物で錬金しました。
全体的に白みの強いメタリックシルバーで、青や緑に所々染まっている(?)、白・青・緑の不思議海藻です。
「これは基本の二種なんだけど、錬金術や緑の手で亜種を作ると、私の緑の手に経験値が入るの。カール、ゲイル、お願いしちゃ……駄目?」
「何いってんだ。勿論やるに決まってんだろうが。なぁ、カール。 おいッ! お嬢。それを貸してくれ。ジーニアスは、ちょっと待っててくれ。これを調べるから」
おっと、意外や意外。ゲイルさんやる気満々ですね?
一応、念の為にと、うるうる上目遣いを付けておいたけど、いらなかった?
因みに……。
★ ☆ ★ ☆ ★
『Δベリー』
神界に自生する、常緑低木・広葉樹の一種。
高さは三メートルから五メートルぐらいで、枝がほぼ真横に伸びるのが特徴。樹木本体の先端に近づくにつれて、枝の長さは短くなる。
枝の先端に小さな小枝が出来、小枝に一センチから五センチぐらいの、苺の様な実が成る。葉は実を守る様に、小枝から出ている。
実の特徴に味の違いがある。上から甘味・酸味・苦味を伴い、赤・紫・茶と味によって実の色が変わる。
亜種が出来やすく、実の色が変わっている場合は、味も変わっている。
下界にて育てる場合は、精霊又は妖精が多数存在している場所が適している。
精霊達の級も高い方が良く育つ。足りない時は、精霊の加護石を周りに植えると良い。
★ ☆ ★ ☆ ★
どこから見ても、円錐形になっているからΔと付いたらしい。まぁ、真横から見たら三角だしね。
他の味というのは、辛味や鹹味。又は、旨味辺りじゃないかと想像してます。
あっ! 因みに、鹹味は塩辛い味の事だから。
★ ☆ ★ ☆ ★
『ミンビーソ』
神界に自生する、被子植物・マメ科の一年草。
高さは最大で七十センチになる。
枝の付け根にピンク色の花を咲かせる。受粉後、花と同じ色のさやが出来るのが特徴。中に豆状の種が入っている。種は食用。
さやを収穫した後は、枝葉を乾燥させて粉砕する事により、高級肥料になる。下界の動植物にも有効。
錬金術及び緑の手により、亜種を作り出す事が可能。『亜慈矮水』『亜慈恋水』を利用。共に錬金術レベル3。
亜種に変化する事によって、花やさやの色が、白や黄色に変わり、豆状の種の味も変化する。
下界にて育てる場合は、精霊又は妖精が多数存在している場所が適している。
精霊達の級も高い方が良く育つ。足りない時は、精霊の加護石を周りに植えると良い。
★ ☆ ★ ☆ ★
と、こんな感じです。いやぁ、夢が広がりますよ。
「……そうですか。なら最低でも、後四種類は増えると見た方が良さそうですね」
彼方も説明が終わったみたいですね。
「あぁ。黄色と緑のちびっこらが帰って来たら、相談しねぇとな」
「ちびっこ……って。精霊様達の方が、我々より上の存在なのですよ。しかも黄色と緑って。きちんと土属性、緑属性と言うべきです!」
ジーニアス。あまり怒るとハゲるよ。……ホムンクルスって、ハゲるのかなぁ? そしてジーニアス、アンタ権力に弱い系?
残りポイントを確認をする為に、指示本を見ながら心の中だけでツッコミます。私は空気の読める女。
「島主様~ッ。只今戻りましたぁ。……ふへっ?」
「丁度良い時に戻って来たな。お嬢が良いモン持って来てくれたぜ」
「ゲイル……。すみませんねぇ、精霊様。リアお嬢様から神樹草を戴いたので、精霊様方と御相談したかったのです」
土属性の精霊ちゃんが、ゲイルの手の中に。いや、虫じゃ無いんだから、両手で捕まえるなよ。
私、こんな性格に設定したかな? それともこれが『自立成長機能』の効果なの?
そんな事を考えながら、私は彼等の話が一段落するのを待つ事にしました。だって皆、楽しそうに話しているから。
願わくば、私に悪い話にはなりません様に。……いや、マジで。




