表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
299/1310

ゆめのうち

「こんな所で喧嘩しないの。それより、早く戻りましょうよ…本当にむつさんにタコ殴りにされて起こされるなんてそれこそ、悪夢です」


「くそ女ならやりかねん…あっちだ」


尻尾を大きく振り動かし、管狐を離すと獏は祐斗にずんぐりとした前足で方向を指示した。


「相当…むっちゃんから酷い扱いを受けたのかな?」


颯介は祐斗に並ぶと、態度のデカい獏を哀れに思いつつ横目に見た。獏に、ふんっとそっぽを向いた。


「まぁ…早々に尻尾を掴んで中吊りにされて脅されたようなもんですからね」


「呼び出されたから来てやったのにな」


「本当に…可哀想に」


祐斗は獏の指示に従い、玄関に向かうとドアを開けた。颯介が触った時には、ぴくりともしなかったのに簡単に開いたのだ。


「驚くな。夢の中なんだ…俺に出来ない事なんかない」


「凄い…動物なんだ?」


「妖怪だ。悪夢を喰うっていうな…よし、次はあっちだ」


獏は手すりの向こう側を指している。だが、颯介も祐斗も空を飛べるような能力はない。獏を見て、手すりの向こう側を見た。


「無理っすよ?」


「行け。死にはしない」


命令口調で言われた祐斗は、獏を手すりに置いてよじ登った。手すりにのぼって下を見ると、地面も何もなくただ黒い闇があるだけだった。とてもじゃないが、飛び降りる勇気はない。


「落ちるなよ。こっちだ」


「え?手すりを歩くんすか?」


「そうだ。道が決まってるんだ、急ぐぞ。そろそろ朝が近い」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ