ゆめのうち
「ふーん…何を意識してみようかな?やっぱり起きる事?」
そう意識した所で、何も変わらない。だが、さっきとは少し違うような気がした。声がはっきりと聞こえる。祐斗だ。
「祐斗君?」
「颯介さんっ‼祐斗連れ戻してこい」
「えっ‼どうやっ…っ‼」
祐斗の苦しそうな声が聞こえた。そして、ぐらっとまて揺れた。だが、身体が揺れたというよりも、身体の近くで揺れを感じた。
「さっさと行けよ」
むつのイライラした声とごんっと何かを打つ音も続けて聞こえたと思ったら、颯介の頭上に何が落ちてきた。不意打ちで落ちてきた物に颯介は、見事に潰された。
「いって…湯野さん‼どこっすか‼」
「ここ…」
颯介は真上から聞こえてきた、声の主に向かって手を上げた。声の主、祐斗は颯介の背中の上に乗っているのに気付くと、慌ててどいた。
「会えて良かった。さ、帰りましょう」
「うん…俺も嬉しいよ。痛いけど…で、どうやって帰るんだ?」
いきなり天井から落ちてきた祐斗を信用出来ないのか、颯介はまじまじと祐斗を眺めている。特に祐斗が手にしている、白黒のぬいぐるみが気になる。
「こいつが連れて帰ってくれます…じゃないと、むつさんにタコ殴りにされます」
「あのくそ女」
「喋るぬいぐるみ?」
「バクだそうです。ついでに」
祐斗が襟元を開けると、するっと管狐が出てきて颯介の肩に上ると頬を擦り寄せてきた。いつもの慣れた気配に、颯介はほっとして管狐の頭を撫でた。
「さっさと行くぞ、くそ女がイライラしてる」
祐斗の腕の中にいる鼻はゾウ、目はサイ、尾はウシ、脚はトラのような動物が言うと、管狐がしゅるっと近付いて噛み付いた。




