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ゆめのうち
食事を終え、むつが片付けをしている間に颯介と祐斗はリビングに移動して、ゆっくりと酒を呑んでいた。
颯介はあまり体調がよくない様子ではあったが、食事も残す事なく平らげたし、今もちびちびと日本酒を舐めるように呑んでいた。
「むつさん家に来るのって何か良いっすね。ご飯美味しいし、ゆっくり過ごせるし…贅沢してる気分です」
あまり酒が強くない祐斗は、少し顔を赤くして染々と言った。
「そうだね。仕事を離れると家庭的な女の子って感じだし、良いよね」
颯介はむつが漬けた小松菜の浅漬けを噛み、ちびちびと呑んだ。
2人が静かに呑んでいる間に片付けを済ませ、布団を敷いたむつはまたキッチンに戻ると新しい徳利を持ってきた。
「ぬる燗って言うのがまた…渋いな」
「肌寒い季節だからね。お布団敷いたし、眠くなったらいつでもどうぞ。颯介さん真ん中ね」
「真ん中って…むっちゃんも一緒に寝るの?」
「うん、あたし寝袋あるし」




