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ゆめのうち
軽く走る、で30分近くも走った颯介は、流石に息が上がっていた。最後の西原の後3周という声を聞き、むつと西原が競うようにペースを上げたせいもあるのかもしれない。最後の1周は、全力ダッシュのような物だった。
走るのが嫌いと言った祐斗は、喋れないくらいに息が上がっていた。頬を流れる汗を拭いながら、颯介は息が整うまでは歩いていた。練習する前からこんなに動いていて、大丈夫なのかと不安にも思う程だった。
少し前を西原と歩いているむつは、振り向いて後ろ向きに歩きながら、颯介と祐斗を見て笑っている。
「颯介さん、大丈夫?」
「うん…先が思いやられるよ」
「まだまだ余裕そうね」
「祐斗君のが先にへばりそうだな」
むつと西原は、汗をかいているものの息はすでに整っているのか、にこやかに道場に戻っていく。
「…何なんすか、あの体育会系カップル」
「さぁ?何か…そういう、体育会系スイッチあるんじゃない?」
颯介は祐斗を気遣うように、後からゆっくりと道場に戻っていった。




