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ゆめのうち
と、そこで唐突に颯介は目を覚ました。目の前には、むつとむつの肩に乗っている管狐がじっと颯介を見ていた。
むつは首を傾げながらも、身をかがめて管狐が落ちないように手を添えながら、颯介の目の前で空いている方の手を左右に振って見せた。
「起きたの?」
「あ、うん…みたいだね」
「うなされてたから、起こそうかと思ってたんだけど…大丈夫?」
「変な夢みたよ」
起き上がり、颯介は溜め息をつきながらソファーにもたれた。寝ていたはずなのに、疲れたような気がする。
「うーん…何か、何だろうね」
管狐の頭を撫でながら、まじまじと見てくるむつに颯介は、少したじろいだ。やっぱり何か憑いてる物でもあるのだろうか。
「祐斗、もぅすぐ来るってさ。それまでは、ゆっくりしといて」
颯介は頷いた。だが、ふと祐斗が来るという事はそろそろ夕方ではないのだろうかと時計を見た。まだ14時を少し過ぎた所だった。




