255/1310
ゆめのうち
むつがデスクに戻っていくと、颯介は冷めたコーヒーを飲んで一息つくと、むつにストールを返して仕事に戻った。
むつが気に掛けているのか、何度か颯介の方を見たが、颯介は大丈夫だと、笑みを浮かべてやり残している仕事を続けた。どのくらい仕事をしていたのだろうか、ドアがノックされて開けられた。
「おはようございまーす」
大学帰りのアルバイトである谷代 祐斗が、ひょこっと顔を出した。そして、その後から西原が入ってきた。
「お邪魔しまーす」
最近2人は以前よりも特に仲が良いのか、よく一緒に呑みに行ったりしているようだった。祐斗も道場に通っているからか、少しずつ体力がつき顔つきも何となく変わってきている気がする。
「お疲れ様…と、こんにちは」
颯介は西原に愛想よく笑いかけている。
「こんにちは」
西原もそんな颯介が気に入っているのか、にこにことしていた。
「何で一緒なわけ?」
「今日、道場に行くんですよ」
「そ、俺は非番だし。暇だから、祐斗君のお迎えに行って、ついでに寄り道」
ふーん、と返事をしたむつは、ようやくパソコンから視線を外した。そして、立ち上がるとキッチンに入って行った。




