よっつのこわい
「たぶんね、じゃねぇよ。どうする?」
「高い所に行けば…あ、でもどうやってこの子を見付けて貰うかだよね」
むつの腕の中で、雷獣はきゅうきゅう鳴いている。丸い耳に、真っ黒な丸い目はとても愛らしい。
「それは簡単だろ?」
「何で?」
「そいつに稲妻を放って貰えば、上に居るのが気付くんじゃないか?」
ほお、とむつと雷獣は感心したように冬四郎を見ている。
「なら…お‼良い事思い付いた‼この辺で1番高さがあるのってどこ?」
「玉奥の家も高台にあるけど…そうだなぁ…あ、いや。徒歩圏内ならここが1番の高い場所じゃないか?」
冬四郎は腕を組み、車でなら山の方行けるけどなぁ、と呟いた。
「流石に、父さんと母さんにバレる気がするから、車はダメだな」
「なら、ここでやる。何か使えそうなモノ」
何をするつもりなのか、むつは再び倉の中に入っていった。冬四郎は少し嫌な予感を感じつつも、一緒に中に入った。
ペンライトを当て、真っ暗な倉の中にある棚の端から端までゆっくり見渡し、むつは何かを見付けたようだ。
「持ってて」
断る事をする間もなく、雷獣を押し付けられた冬四郎は仕方なさそうに雷獣を抱っこした。
その間に、むつは棚に足をあけて上にある箱を取ろうとしている。届かないなら、そう言って欲しかったと思いながら、冬四郎はもう1段棚に足をかけているむつをおろおろと見守っている。




