よっつのこわい
傘に落ちてくる大粒の雨のせいで、他の音は聞こえない。雷は移動したのか、音が遠ざかっている。
「むつ、どこ行くんだ?」
「雷が落ちた所」
「何だよ、その虹の根本を探す的な感じは」
冬四郎が言うと、立ち止まったむつは振り向いてくすくす笑っていた。
「虹の根本には宝物がってやつね。昔は信じてたなぁ…根本なんて見付けられなかったけど」
「雷の落ちた所なんて分かるのか?」
「何となくね…たぶん、向こうの公園だよ」
庭を通り、いつの間にか持ってきたのかペンライトを口にくわえ、静かに門の鍵をくるくる回して開けている。
手際の良さに冬四郎は、感心した反面心配にもなった。冬四郎の心境を全く分からないむつは、木で出来た引き戸式の門を開けて出ていく。
冬四郎は後ろ手で門を閉めた。そして、むつの少し後ろを歩いていく。公園が近くなり、大きく育った木々で街灯が隠され暗い道が続いている。
むつは、立ち止まってペンライトを冬四郎の方に向けている。何かあったのかと、冬四郎は少し急いだ。
「どうした?」
「待ってたの‼暗いから」
「あぁ、怖かったのか。手繋ぐか?」
「ちっがーう‼」
差し出した手は、むつに払い落とされた。
「それより、あそこ…分かるよね?」
公園の遊具のある辺りで、ぱりぱりとはぜるようにして、光っている物がある。
「雷が落ちた所には宝物か?」
「だったら、楽しいのにねぇ」




