ひとりきり
オフィス内に入ってきた祐斗の頭をむつは、ぱしんと叩いた。だが、それ程痛くはなかった。
「連絡ないから社長ずっと待ってたんだよ。先に挨拶してきな」
すれ違い様にむつに言われ、祐斗はそそくさと山上の前に行った。
「おはよー祐斗。初仕事はどうだった?」
「おはようございます。連絡もせず、ご迷惑おかけしてすみません」
祐斗は本当に申し訳なく、山上にしっかりと頭を下げて謝った。
奥のソファーに西原を促したむつが、キッチンに入りつつその様子をちらっと見た。
「うん、本当にね。久々に徹夜させられたよ」
山上は欠伸をしながら、無精髭をぞりぞりと撫でている。だが、怒る様子はなく細く鋭いはずの目尻には、微かに皺が寄っている。
「何時だとしても連絡しないといけないな。電話じゃなくてもメールくらい手が空いたら打てるよな?俺もむつも、帰ってないし寝てないんだからな。いつ、お前から連絡入るか分からないから。どれだけ心配かけたか分かるな?」
怒鳴られるよりも、優しい言い方の方がこういう時は身に染みて、申し訳なさを感じる。
祐斗は唇を噛み締めて頷いた。
本当に反省してるような祐斗を見て、山上はのっそりと立ち上がった。




