st.09 巨大生物に追われる 再び
ピルルルルルルルルルルルル...
『3番線ライハト地方行き間も無く発車しまぁす。これからのご乗車はご遠慮願います。ドアをー閉めまーす。』
客車12両、各2つのドアが一斉にしまった。
「戸締りよーし」
プーッ
「しゅっぱぁつしんこぉーう」
「の前に汽笛!」
おう!忘れてた!
フォアアアァァァァァァァァ...
「あらためて...しゅぱぁつしんこぉーう」
08:20、定刻通りにウィッツ・センブルをでた。
「こっから2時間かぁ。遠いなあ次の駅。」
「だいたい160キロはありますからね。日本だと東京〜那須くらいかな?」
「はは!新幹線がありゃいいのにな!」
「それいっちまったら存在意義なくなるでしょうよ!!」
そこからは特に何もなくガタゴトと1時間列車に揺られていた。
「あーもーつまんねーなー!」
不意に小川町が叫んだ。
「なんだよいきなり?」
「だってもー何も起こらなくて退屈なんですよ!怪獣に追われたり、変な光に包まれたり!何か起これってんだ!」
やばいな...小川町の感覚が麻痺してきてる...!
「ンー、いでよドラゴン!!」
「おいおいそんなんやってもドラゴンが出てくるわけねぇだろw。第一ドラゴンなんかこの世に存在するわけ...」
その時だ。右の方にあった丘が土埃を上げながら立ち上がった。
『で、でで、ででででたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁ!!!!!!』
その時、八坂は思い出した。この世界が元いた世界とは何もかも違うということを...。
「ホー、こりは立派なアースドラゴンですなぁ。」
いきなり横に男が現れた。
「誰!?」
「いやー失敬!私、魔物学者のジョン・ヒューストンでございますです。」
ヒューストンは続けた。
「アースドラゴンは土の中に潜って丘に擬態するドラゴンでありますです。強い上顎を持ち、オリハルコンも簡単に噛み砕きますです。」
「はいはい。ここは乗務員室なんで入らないでくださぁい。ほら、客室に戻った戻った!」
「ちょー!まってまって!とりあえず、逃げた方がよかとですよ?脚力すごくて時速130キロはだせますです。」
は!?
「おい!佐伯!緊急事態だ!」
小川町が伝声管に向かって叫んだ。
『「どうしました!?」』
「窓!外!見ろ!ドラゴン!」
『「ふぁー?」』
「ふぁー?っじゃねぇ!!さっさと外をm...」
『「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」』
ーーーーーーーー
「おかーさん。今悲鳴が聞こえたよ?なんでぇ〜?」
「そうねぇ。多分イボ痔を忘れて座っちゃったのよ。」
「うわぁ〜痛そ...」
バオオオオオォォオォォォォオオォ!!!!
『くぁwせdrftgyふじこlp;@:!!!』
そんなやりとりの最中、佐伯による放送が流れた。
『「アースドラゴンに遭遇しました。逃走のため高速運転を行います。安全のためお座りになった上で手すりにお掴まりください。」』
「小川町ぃ!配置につけぇ!!」
「イエッサー!」
この世界にきてから目を疑うことは山ほど起こってきた。けんど...ドラゴンてぇなんぞや!?怖すぎて足ガックガクよ!?
「佐伯!入るぞ!」
「瑛二迎撃!?気ぃつけてね!?」
「だいじょぶだいじょぶ!そうそう、次駅ついたらあまいもんみんなで食おうぜ!」
「さらっと死亡フラグ立てないでよ!バカッ!」
車掌車には車掌席の他にもう一つ椅子がついている。普段は床下に格納されているので、蓋を外して引き上げる。背もたれを起こして腰掛けて、シートベルトを着用する。
「上あげるね!?いい!?」
「準備オーケイ!」
「グッドラック!」
佐伯がボタンを押すと天井の一部が開きながら椅子が持ち上がる。屋上へ出ると目の前には砲台が。
バオオオオオォォオォォォォオオォ!!!!!
「ヒイイィィィィィ!!!」
急いで操作を進めよう。砲台と椅子を固定する。このままでは照準を合わせられないのでジャッキと椅子を切り離す。
「固定解除確認!安全ヨシ!砲台システムオールグリーン!」
砲台には伝声管がつけられているので、機関室との意思疎通が可能だ。
「八坂さん!準備オーケイです!いつでも高速運転いけます!!」
『「はいほいよしきた!しっかり掴まってろよ!」』
その瞬間、後ろに猛烈に引っ張られる感覚がして、爆音が耳をつんざいた。
「わひいぃぃぃぃぃいいぃぃぃぃぃ!!!」
できるかぎり足を突っ張らせて背中を背もたれにはっつける。
「八坂さん!これ照準器ありませんよ!?」
『「そんなん知るか!佐伯に聞け!」』
「佐伯!」
『「やればなんとかなる!!」』
「ちくしょう使えねぇ!!」
そうこうしているうちにアースドラゴンは迫る迫る。って気づいたらもう後尾車と目と鼻の先じゃねぇか!?
「八坂さんもっとスピード上げてくださいよ!後尾車食われちゃいますよ!?」
『「だからお前が上に行ったんだろう!?」』
それもそうか
「えぇい!やっちゃる!」
照明弾を装填し、全神経を集中させ慎重に狙いを定める。
「ロックオン!キャノン撃ちますよ!」
ってあれ?これ...トリガーがない!?
『「ごめんごめん瑛二!発車ボタンこっちだったわ!!」』
・・・は?
「いやいやちょっとまって佐伯なんでそっちにしかボタンが...」
『「ポチッとな♪」』
「ちょぉぉぉぉい!!」
その瞬間!キャノン砲が火を吹いた!
「ぎゃ!」
案の定弾は逸れた。なぜなら、途中で狙うのをやめてしまったからだ。
『「当たってないじゃん!ちゃんと狙ってよ!?」』
「わぁったから!とりあえずこっちで発射の合図は出すから待っててくれ!」
そんなやりとりの最中、アースドラゴンが素晴らしい追い上げを見せた。
「客車を全てごぼう抜き!?箱根に出るべきだ絶対!!」
アースドラゴンは体を汽車の真横につけ、いつもの如く大きく口を開けた。
「あ、死んだ。」
そのままアースドラゴンは車掌車にかぶりついた。




