st.07 ホーリーデイズ #3日目
「おきてくださーい!やーさーかーさーん!!」
ん〜まだ寝させてくりぇ〜...
「変な声出してないで起きろッ!朝飯また食べちまいますよ!?」
それは許さん!!
「うお!いきなり掛け布団を跳ね除け思いっきり手をついてから空中に飛び上がり、両足そろえてマジンガー着地しないでください!びっくりするじゃないですか!」
ハイパー説明的セリフをありがとう小川町君。それじゃあささっと着替えて朝飯としますか!
〜数分後〜
「おはようおばちゃーん朝飯二人分!どっちも卵の白飯で!」
「はいおはよー!もうできてるよー!今日調味料の補充があったからいっぱい使えるよー!」
〜数分後〜
「はー美味かったー!やっぱりここの飯はいいなあ。」
「いやあそこまでやっといて朝飯のシーン書かないってあるか!?」
「どうした小川町?いきなり...。」
というわけで今日はヴィルス総裁に呼ばれた日、は明日に延期で、今日は束の間の休息の3日目。前回であんなに告知していたのに、2日目はどこにいったんだと思うだろう。言っておくと、誤字ではない。昨日はほとんど何も起こらなかったので朝食同様作者がサボったらしい。釘を刺しておくが、断じて誤字などではない。昨日はこの俺、八坂が全身筋肉痛になった挙句、ぎっくり腰まで起こしてしまったのだ。結局部屋に入ってゴロゴロするだけだった。
「まあいいや。今日街に行くけど...小川町も来るか?」
「そうですねぇ、まあ、まだ服も買えてませんし...行きますか!」
「服ぅ?そりゃなんで...一応あるだろいろいろと。」
「覚えてないんですか?ほら、一昨日出店の親父に変な服って言われたこと。」
ぐふぁ!忘れてた傷が抉り取られる感覚がした...!確かにアレのせいで俺はセンメと間違われたわけだが...。
「はい、じゃあさっさと荷物整えてください。今度はウィッツ・センブルじゃなくてちょっと先の方まで行ってみます?」
「いや、ウィッツ・センブルにしておこう。北側にそこそこいい服屋街があるらしいからな。まあ、必要最低限の目立たない服だけ買うか。」
その後、連れていけないと言われゾンビのようになった佐伯を部屋に軟禁し街へ出発した。なぜ軟禁したかって?無論、女はオシャレが好きだからだ。生活費のほとんどをファッションに注ぎ込まれたらおしまいだからな...。
さて、ここらでウィッツ・センブル・ステーションについて説明しよう。ニンゲ自治区の主要21駅で唯一エラール中央地方に位置する駅。年間乗降客数2万人(エラ鉄調べ)の、この世界において交通の要所となる駅である。有効ホーム長300メートル。これは20m級車両15両分、わかりやすくいえば山手線が丸々入る大きさだ。六面12線島式で、例の悲劇以前は10分おきに発着していたそうだ。駅舎は木造二階建て。ホームを覆うように作られている。
「よし着いたー。」
というわけで例の通り移動時間はカット。前回は南中央口から出たが今回は北東口からだ。服屋街まではそこそこ距離があるが、ウィッツ・センブル市鉄という路面電車があるので乗り換えて服屋街を目指していく。
「いやー路面鉄道っていろんなとこにあるんですね。なんだか意外です。」
「まあスペースがあまりいらないからな。小回りもきくし、鉄道っていうよりかはバスのほうが近いな。」
うお!椅子フッカフカダァ!座ってから気がついた。これ中スプリングだ!スプリングと綿だ!しかもレザー!いい具合にシックでレトロな車内とマッチしている...!しかも路面だってのにボックスときたよ!しかも片側のみ!こりゃあもう惚れちまうねぇ!
「ちょっとちょっと八坂さ〜ん。路面だってのに興奮しすぎですよ〜。」
「フフフ...小川町よ、そんなこといってられるのも今のうちダァ!みろ!!」
そう言って俺は車両の中央を指差した。
「この階段が見えるか!そう、こいつぁ二階建て車両ダァ!!」
「だまらっしゃい!!」
お久しぶりの登場マジックハリセン!そのまま俺の頭をスパーン!
「列車の中でしょうがぁぁあぁぁぁ!!!」
スイマセンデシタ...
「まあ確かに二階建てってのは俺が1番好きな部類ですね。Maxとかニートレインとか、たまりませんもん!」
そうこう言ってるうちに目的の駅へ着いた。停車場の名はクロージーズ・ストリート。作者がとても安直に名前をつけたらしい。
「さすがに名前の通りですね。おりた瞬間から服屋だらけです。どこに行きましょうか?」
「もう目星はついてるさ。」
「どこです?」
「パンフレット見たら載ってたんだ。ユニーク・クロージング・ウェアショップが!」
ユニーク・クロージング・ウェアショップ、日本のアパレル企業だ。巷ではユニクロと呼ばれている。ちな、ユニーク・クロージング・ウェアハウスではないということをご承知願いたい。
「まじか...ユニクロってこの世界にあんのか...。」
つーわけでにゅーてーん
「いらっしゃいませー!あ、お客さ〜ん転移者の方ですね〜?」
やっぱりわかっちゃいます〜?
「もちろん!そんなへんな服転移者以外ほとんど着ていませんもん!」
ごふぁ!
(また言われてるよこの人は。)
「探してる服は分かってますよ〜。ズバリ、普通の生地のサイズのあった無地Tですね!?」
「正解!いや〜こういうとこの店員さんはやっぱり分かってるねぇ!」
「サイズを教えてください。なに、日本と同じS、M、Lってかんじのですから。社長が日本出身の転移者なんです。」
「へ〜、結構転移者っているんだねぇ。ええと、LLを15着。無難な色でお願いします。それと、それぞれに合うパンツも適当に見繕っていただけます?まあ、上下15組で。」
「はいはい、それじゃ!少々お待ちくださ〜い。」
入っというわけでカット!
「上下15組、全部まとめて4500ダルです。」
「んじゃあこれで。」
「はい丁度ありがとうございます。領収書は?」
「ノーセンキュー」
「ありがとうございました〜。お兄さぁん、なかなかいい感じに普通ですよ。」
「ありがとう」
時計を見るとまだ11:30、少し早めの昼食にしようか?
「じゃあなんか食べましょうよ。俺この町で食ったのラー...ルアメンだけなんですよね。」
「なんか店に入るのもなー...よし!もう少し南にある大通りで食べ歩きだぁ!!」
アダムズ・ストリートはウィッツ・センブル屈指の観光スポットだ。通り沿いに民家があるのだが、そこの住人がこぞって出店を出しているので通りの両脇が店で埋め尽くされている。全長3キロメートルのエラール大陸最大の出店通りとも言われているそうだ。
「こりゃまたなっがい通りですね。一番奥まで行くのに一時間はかかりますよ?」
「とーりーあーえーずー...あ、肉まんあるやんけ。食うべ食うべ!おじいちゃん!肉まん二つ!」
「はいよー熱いよー気ぃ付けぇよー」
すっごいヨボヨボのおじいちゃんが店番をしているのが良い。風情(笑)がある。と、考えながらかぶりついた。
「あ!あぁず!あぁぁずずずず!!」
「八坂さーん気ぃつけて食べろって言われてたじゃないですか...」
そう言いながら小川町もかぶりついた。
「あぢぃぃぃぃぃ!!!」
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フューミニッツレイター
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「ろろいもろろっれおおらかれうね...」
「あー、ろっろいをるれるへいらっら...」
さ、この意味不明な会話、読者の皆様にはなんて言ってるかわかるかな?正解は作者が後書きに書くだろうから楽しみにしておけ。
とりあえず今の状況を説明しよう。熱々の肉まんで火傷した俺たちは、急いで飲料水の湧き出る噴水まで行き、水を汲んで舌を冷やしているところである。
「あー、死ぬかとおもった。」
「まだ舌腫れてますよ...喋りにくいったらありゃしない!」
さて、次は何を食べようかな...
「あ!八坂さん!あれ!」
おお!あれは...!
「俺は串焼き屋行ってきます!!」
「おばちゃん!ください!2杯!キンッキンのやつ!」
「はいはい、6ダルだよ」
小川町が串焼き屋からものすごい形相で走ってきた。
「例のブツは!」
「ううぇっへっへ。ここにあるゼェ!」
俺たちはすぐに通りを離れて広場へ向かった。
『かんぱ〜い!!』
テーブルに広げられたのは、焼き鳥焼き豚そして...
「ッカーウメェ!!やっぱりビールは最高だあー!!」
「ありがてぇ...きんっきんに冷えてやがる!!」
この異世界に来てから4日目、水と食料しか口にしてこなかった俺たちは、久しぶりのアルコールに狂喜乱舞していた。
「八坂さーんもー10杯ものんでますよー?だーいじょーぶーでーすかー?」
「だいじょうだいじょぶ。おれ酔ってない。全然酔ってないから。」
「絶対酔ってますって〜。俺が酔ってるんですから〜。」
「お前なぁ、俺元々酒には強いんだ...って聞いてねえじゃねぇの...。」
小川町!撃沈!
「さてと...どうすっかねえ...。」
その時、見覚えのある人物が近寄ってきた。
「おお、やっぱりあの転移者か。」
「あ、あんさん...誰でしたっけ?」
「もう忘れたか!ラントだ!ラント・ヴァッサー!」
「おお!おーおーおーおー!」
思い出した!最初の街で総裁に会えと助言をくれた!
「いやーまさかこんなとこで会うなんてねぇ!」
「それで、あれ以降はどうだ?...とその前に、お前たちの名前を聞いてなかったな。」
「ああ、俺は八坂実でこっちの...あー、だらしねぇのが小川町瑛二だよ。」
小川町は相変わらず寝たまま...ってよく見たら薄目開けてやがる!!
「や〜さ〜か〜さ〜ん〜...後で覚えといてくださいね〜...。」
ま、まあ彼のことは置いておこう...
「んじゃあ今度はこっちの番だな。俺は知っての通りラント・ヴァッサーだ。んでこいつが俺の機関助士の...」
「アルビンです。アルビン・クラーク。よろしくです。」
「っはー、ヴァッサーさんも機関士だったんかー!こりゃあ知らなかったなぁ!」
「お前もエラ鉄に入ったんだ?そのバッチを見りゃわかる。」
え!?このバッチまだついてたの!?さっき着替えたのに...と思っているとラントが説明してくれた。
「実はそのバッチ、エラ鉄の社員になると宿舎から出た時自動的に服の上に出現するようになるんだよ。呪文でできたバッチだから落ちることも割れることも奪われることもない。」
「めちゃくちゃ使える呪文だな...。それで忘れ物とか無くなるのか?」
「それはない。この呪文は見ることはできるんだが触れないんだ。まあ、エラ鉄社員と証明する身分証明書だとでも思っていてくれ。そのバッチはエラ鉄の社員以外はつけられないように別の呪文がかけられていてな、このバッチを見ても見た目は覚えられないし、写真にとっても必ずぼやけて状況復元呪文でも出現しないようになってる。みればエラ鉄のバッチだとわかるんだけどな...。」
そんな呪文があればストーカー問題も全部解消しちまうじゃないの。地球でも使えるようになんねーかな...。
「お、今人に使えばストーカー問題解決だって思ったろ!?」
なぜわかるんだ!?
「それは間違いだぜヤサカよぉ。考えてみろ。人には顔も名前も覚えられない。つまり、電話もできない文通もできない、思い出の写真は全てぼやける。しかも一回かかると二度と解けないときた。逆に女子どもが泣き喚くぜ?」
「それはやばいな...ってそんな話はどうでもいい!!一つ聞かせてくれないか...?この世界について...。」
「そりゃいいが...何を聞きたいんだ?」
「この前このまちでセンメ族の人間と会った。」
ラントの眉が少し動いたように見えた。
「しかし、この街のやつらはそいつのことを魔族と、そう言っていた...。どういうことだ?明らかに様子がおかしい。差別...いや、迫害とも言える。なぜあんなことをこの街の人間はしているんだ?ニンゲもセンメも同じヒトなのに!?」
「ハハハ、酔いが回ってきたかな。...なあヤサカ...この事は二度と口にするな...!お前は黙って列車を走らせていればいいんだ!!」
「ちょ!ラント!なんだよいきなり!?落ち着けって!」
いきなり怒り出したラントをアルビンが押さえつけた。
「ヤサカさん!話があります!ですがとりあえずこいつ縛るの手伝ってください!」
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数分後
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ラントをなんとか紐で縛った俺たちは、人の少ない裏路地に来ていた。
「それで...クラークさん...こんな人気のないところで話ってなんですか...?」
「少女漫画の主人公みたく頬を赤く染めるな気持ち悪い!」
「でですよ、簡単に言うとですね、センメとニンゲは犬猿の仲なんです。」
「どういうことです...?」
「150年前に遡ります...」
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センメの一国アトランタ共和国が、突如として隣国であるニンゲのライハットに攻め込んだ。次第に戦いは激化し、ライハットはニンゲのエピナ王国、ユートン連邦、アルヴィンス大帝国に協力を要請、各国は承諾した。この時、アトランタもセンメの各国との軍事同盟を結び、ドルピナ公国、ガンドール、アルテ共和国、ドユワケ連邦が戦争に参加した。
そこから二年後、すでに1億3000万人の兵士、5億6000万人の民間人が死亡したとされている。戦況は停滞、センメとニンゲの全面戦争となった。プリマリ唯一の国であるプリマランドは戦況を傍観、中立を是とし戦争には参加しなかった。
さらに3年後、前線の兵士には戦う意思はなかった。さりとて、戦うのをやめるわけにもいかない。銃を持ち、剣を持ち、杖を握って向かい合う。ただ狩るだけ。草を刈るようにただ狩るだけ。
その時だった。大地を閃光と突風が撫でていった。その瞬間を見たものはいない。なぜなら、全員が消え去っていたからである。
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「ちょっとまってくれよ...消え去ったってどういう事だ...?」
「そのままの意味です。12万人がその光と突風で消滅しました。跡すら残らなかったそうです。外に出ていた人間だけが、綺麗さっぱり消えていたんですよ。この現象はアルムーヌ・ボンバーと呼ばれています。」
「じゃあなんで今人間が存在しているんで!?消えちゃったんでしょう!?」
「それが...締め切った建物の中とか、地下にいた人は助かってるんです...。いきなり部屋が明るくなって、外で風の音がしたかと思うとすでに...。」
何があったのだろうか...?消えた人々...謎の光と突風...だめだわからん。
「ニンゲ側はセンメ、センメ側はニンゲの仕業と言っています。」
「それで犬猿の仲...」
「最近ではプリマリの秘術という説もでてきているのですが...なにしろ100年以上前なので真相はわかっていません...。」
「とりあえず聞くけど、エラ鉄だとどうなってんだ?ラントみたいに差別主義なのか...?」
「社員にはもちろん差別をする人もいます。ですが、今は共存という考え方が社内では一般的です。一応言っておきますと、エラ鉄ではセンメも、ニンゲも、プリマリも社員として働いています。」
見かけていないのは会ってないだけなのか...?
「今では少しづつ共存の考えが広まっています。まあ、亀裂はなかなか埋まらないんですけどね...。」
共存、差別、戦争と異常現象...この世界は地球とどことなく似ていて、どことなく似ていない。知るべき事は多いようだ。...この話について、気になることが一つある。どうしてヴィルス総裁は悲劇と含みを持った言い方をしたのだろう?信じていてもいいのだろうか...。
「やあ、すっかり長話になってしまいました。そういうわけでここの民族間の問題は山積みです。気をつけてくださいね。」
小川町たちのところへ戻ると、二人とも酔い潰れていた...。
「じゃあ、クラークさん、」
「クラークでいいですよヤサカ。」
「わかった。帰るか、クラーク。」
「ヘイホー!」
クラークはラントを起こそうとするが、起きる事はなかった。...小川町も然りである。結局担いで寮まで帰った...。めんどくせぇ!!
「ろろいもろろっれおおらかれうね」→「揃いも揃って大馬鹿ですね」
「ろっろいをるれるへいらっら」 →「もっと気をつけるべきだった」
これが答えです。




