表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界旅客鉄道  作者: こめひこ
プロローグ
PR
6/8

st.06 ホーリーデイズ #1日目

『ひゃっほーーう!!きんっもちぃーーー!!!』


 火を焚きまくって全速力をだす機関車で斜面を駆け降りる。


『今までは規則だなんだでこんなことできなかったからなーーー!!』


 シゴナナはこれでもかと煙を吐き、爆音で動輪を回す。俺は椅子に座って叫びまくる。副機関士は...あれ?誰だっけ?まあいい。そんなことを考えていると、いつの間にか斜面は終わり草原を走っていた。目の前には終わりの見えない鉄橋が。


『かまうもんか!もっとスピードを出すぞーーー!!!』


 鉄橋を渡りはじめた途端、後ろの方からぱきっと音が聞こえた。


『なんだぁ?』


 パキッピシッパキパキッメリメリメリゴキャッ!


『ああ、なんだ、橋が壊れてるだけか。』


 バキバキバキバキバキバキ!!


『逃げろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』


 機関車にも勝つほどの爆音を上げながら、橋が崩壊を始めていた。


『ヤベェェェェェ!!ゼッタイオチタラシヌ(ゼッタイオチタラシヌ)ゥゥゥゥゥゥ(ゥゥゥゥゥゥ)!!!!』


 おおごえでさけぶさなか、ふと顔をあげ前を見ると、()()()()()()()()()()


『うわ、うわ!うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ...あ?」


 無理やり目を開け体を起こすと建物の中。便所から小川町が顔を出してきた。


「うなされてましたねー。大丈夫ですか?」


 寝起きで鈍い脳みそをフル回転させて事態を把握した。ここはエラール大陸鉃道社の社員寮の中、昨日から入寮した。そして、ベッドで寝てたら持ち前の寝相の悪さで落下したというわけか。


「今、何時だ?」


「10時35分です。」


 ...は?


「朝飯なら僕が八坂さんの分までもらいましたよ⭐︎」


 その瞬間、限界を超えて使っていた俺の脳が爆散した。


ーーーーーーーーー

 二時間後

ーーーーーーーーー


『え〜次はぁ〜、ウィッツ・センブル〜、ウィッツ・センブルで〜ございます。お出口は〜右側でぇす。お降りの方はお忘れ物のないようにご注意くださ〜い。到着で〜す。ドアが、開きま〜す。』


「つ...つつ...ついたあ!!!」


 寝起きからわずか二時間、今は12時24分。何をとち狂ったか、俺は街へときている。いや、引っ張られている。


「さすが中央交易都市!人の数も、品物の数も、店の数も!操車場周辺とは大違いだ!!」


 隣で小川町が叫ぶ、はじゃぐ、感嘆するの3連単チャンリンシャン。ちくしょう、流石にイラっときたぜ!


「テメーはいーよなー!フツーの二倍飯が食えたんだからよー!」


「ちょ、怒ってんですか?八坂さんが起きてれば食えたんですから。そもそも朝飯は朝9時には閉まりますから、食っても食わなくても同じことです。」


 飯がないか見渡すと、何か違和感がした。


 ...なんだ?この違和感...。なにかかみあっていないような...。


「お!飯屋ありましたよ。昼飯時ですし、食べちゃいましょうか。」


 看板を見ると、「ルアメン・ウィルエンデス」と書かれている。店名だろうか?店に入ると意外と質素だった。メニューはない。席に着くと、若い男が冷やを置いた。


「25ダルです。うちはルアメン一筋なんでね、金を払うか払わないかで聞いとるんです。」


(やけに説明的だな)


「じゃあ、払います。三人前。」


 ルアメン3つ〜、と叫んで男は厨房に消えていった。


「なあ、ダル...持ってるか?」


「もちろんですよ!ヴィルス社長が『今月分の生活費だ!』っておばちゃんに預けてたみたいで、朝飯ん時に渡されたんです。一人3万5000ダル。八坂さんの分も佐伯が預かってたと思いますが...もらってません?」


 不意に佐伯が目を逸らす。その瞬間、椅子を倒しながら立ち上がり叫んでしまった。


「おま!佐伯!やりやがったな!」


「八坂さん!抑えてください!八坂さん!!」


「返せ!金!マネェェェェ!」


 佐伯がしぶしぶと麻袋を取り出す。


「へあ!」


 奪い返した麻袋の中身を開けると、そこにはきっちり3万5000ダル入っていた。なぜ分かるのかって?それはわからん!何故かコインを見た瞬間、それが何ダルかが一瞬で理解できたのだ!


「お菓子買おうと思ったのに...シクシク...」


「売れない恋愛小説のヒロインみたく萎れるんぢゃない!元はと言えばお前が悪いんだから...」


 その横で小川町がまあまあといっていた。


「ほら、ルアメンもできたみたいですし、一旦このことは水に流して...」


「はい、おまちどぉ。」


 ゴトゴトと3つの『どんぶり』が置かれた。中を覗き込んだ瞬間、独特なあの濃厚な匂いが鼻の奥をついた。細長い麺、茶色いスープ、そして、極厚のチャーシュー...


「こ、これは...」


「なんていうか...」


『ら、ラーメンじゃないか!!』


 名前こそ違えど、まさしくラーメン。しかも濃厚味噌。この世界になぜ味噌とラーメンが存在するのか...と、普通の人なら考えていただろう。しかし、私は異常である。しかも極度の空腹状態ときた。そう、俺は、人目も構わずがっついてしまった。


「や、八坂さん...?そんなに急がなくてもラーメンは逃げませんよ...。」


「もがもがもが!!」


「ちょ!口に入れたまんま喋んないでください!うわツバとんできた!!」


 ズゾゾゾゾゾゾッッゾゾゾゾゾッゾゾゾゾォォォォォ......


 ...数分後


「あー食った食った!じゃあおめぇら、この後買い物も行くからな、さっさと食い終われ...よ...」


 佐伯の方を見ると、すでに13枚のどんぶりの山ができていた...。


「ごちそうさまでした!」

 

 ちな、私は1枚である。


「...佐伯よぉ、てめぇ、金は払うんだよな?」


「もちろんですよ!食い逃げなんて絶対にしませんから。」


 そういうことじゃないのだが... やれやれ、この分だと生活費3万5000ダルはすぐに消えそうだな...。


「おっさーん!おかんじょー!」


「はいじゃあにいちゃんたちは25ダル。そこのねーちゃんは13枚ぶんで325ダルね。っていつもはいうんだけどね、ねーちゃん気に入ったよ!いい食いっぷりだったから一枚分おまけしちゃる!計300ダルでいいよ。」


 きゃーやったーと佐伯が喜ぶ横で、舌打ちをする男が二人。


「いーもんですねー女ってのはッ!」


「おーそーだなお前に同感だよほんとッ」


 すこしして店を出ると、通りは人で溢れていた。


「僕たちみたいに飯屋から出てきたみたいですね。」


 人でごった返す中、一際人の多い区画が円形にできているのを小川町が発見した。


「なんでしょうあれ?いってみますか。」


 人混みを掻き分け円の中心をなんとか覗くと、出店のおっさんに異様な見た目をしている...ヒト...なのかあれは?赤みがかった肌に茶色い髪、そして、()()()()()()()()()...明らかにヒトではなく見える。異形、一言でいえば異形の者が罵倒されていた。


「うるせぇな!何度も言わせんなこの()()!!おめぇなんかに売る品物なんてここにはねぇ!さっさと失せな!!」


 異形が地面に頭を擦り付けた。


「そこをなんとか...!お願いします!ここ3日、水しか飲んでないんです!!パンの...パンの一つでいいんです!!」


「だぁかぁらぁ!!おめぇに売るもんはねぇっつってんだよ!!」


 なんだこれは...?なぜ...なぜ観衆は助けようとしないんだ...?


「小川町...パンをいくらか買ってこい。」


「え?なんで...」


「いいから!ぐずぐずするな!!」


 おっさんは罵倒を続け、ついには蹴り始めた!


「オラ!さっさと消えな!これ以上動かないようなられっきとした営業妨害だ!!警察呼ぶぞ!!」


 クソッ!結局こうするしかないのか!


「ま、まあまあおっさん。そうカリカリしてたら心臓に悪いぜ?一旦落ち着こって...。」


「お前、こんなやつの味方でもするつもりか...?ああ、そうか...その服、ニンゲじゃねぇな...。お前も()()だな!?この魔族め!!そんなチンケな変身呪文で俺様の目を欺けると思うなよ!!」


「ちょっとちょっと!いきなりなんだよ!!おれただの人間だぜ!?ほら、ツノも生えてないし肌もどっちかっつーと白っぽいほうだ!!」


「ニンゲのだれがそんな変な服を着るか!!待ってろ!今すぐに警察呼んでブタバコにぶち込んでやる!!」


 ブタバコ!?誰がそんなとこ行くか!ちくしょうめ!


「ついてこい!!」


 俺は走り出した。異形を引っ張って、人混みを掻き分けて、裏路地に入り込んだ。


「逃げる気か魔族共!?捕まえろ!犯罪者だ!!」


 遅い!!たくさんの人が壁になってくれて助かった。たくさんの建物の屋上でに倒れ込んだ俺を、誰かが爪先でこづいた。


「八坂さん...何やってんですか...!?」


「...ヒト助けだ。パンをくれ。」


 小川町から受け取ったパンを持って角に震える異形に手渡した。


「...なんのつもりだ...?」


「言ってるだろう?ヒト助け。」


「ニンゲに情けをかけられる義理なんてない!そんなもの不要だ!」


「3日も食ってないんだろう?意地張ってないで食え。あと俺たちはニンゲじゃない。」


 気がつくと異形は、口いっぱいにパンを頬張っていた。(意地が緩いな...)


「ふぁあふぉふぁふぇふぁふぃふぁふぁふぃふぉふぉふぁんふぁ!?」


 やばい...全く聞き取れん...。固まっていると、小川町が通訳を始めた。


「じゃあお前たちは何者なんだ!?といっています。」


 何故分かるんだ...


「そうか...俺たちは簡単にいうと異世界人だ。この世の人間じゃない。よって、俺たちはニンゲじゃない。」


「そうか...じゃあ、ありがとうございました...。無礼をお詫びします。」


 いきなりの敬語に少々面食らってしまったが、口を聞いてくれたよかったと思う。


「ですが、ぶっちゃけ助けはいりませんでした。」


「は?」


 色々と驚いていると、今度は後ろから声が聞こえた。


「瞬間移動、できるんで。」


 うお!びくった!!


「まあ、今日は本当にありがとうございました!パンとか、諸々。」


 彼は深々とお辞儀をして、最後に言ってきた。


「僕は、魔族ではありません。センメです。この世に魔族なんていません。覚えといてください。そうそう!僕の名前はピューリッツァー・シュバウト!また会いましょう機関士のお(あに)いさん!!」


 彼は旋風に包まれたと思ったら忽然と消えてしまった。それにしても、なんで俺が機関士だってわかったんだろう?


「それに関してはほら、胸。機関士バッヂつけっぱですよ?」


 うお!ほんとだ!ってか何気にこのバッヂ初登場なんだけど大丈夫!?


「じゃあ、ま、疲れたし帰るか!」


 そういえば、佐伯のやつはどこいったんだろう?


ーーーーーー

 その頃

ーーーーーー

 

「このドーナツ美味しい!この串焼きも美味しい!ああー涎がとまらん!あ、おじさーん!この商品ぜぇ〜んぶちょうだい!」


 この日佐伯は、一人で食い倒れをし1万ダルを溶かしたという...。

更新遅れました!今回は結構長めですねぇ。

次回、異世界旅客鉄道第7話、ホーリーデイズ#2日目!次回もサービスサービス!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ