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異世界旅客鉄道  作者: こめひこ
プロローグ
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4/8

st.04 サーフェンス操車場

 看板を過ぎ、丘を駆け上がると、目の前に広大な盆地が現れた。


「あれが...サーフェンス操車場!」


 レールが円形に配置され、大量の列車が行き来する。一番端にある放射状に広がったレール達は、それぞれ30の地方へと向かうのだという。


『形式番号 C57-182 6番車庫に来れ』


 突然横から声が聞こえてきた。しかし、どこを見てもスピーカーのようなものはない。


『形式番号 C57-182 ()()() 6番車庫に来れ』


 こいつ...脳内に直接!?


「な、なんか呼ばれてません...?C57−182って...」


「ああ、そうだな...進むしかないか...」


 いつものようにハンドルを押し込めば、いつものように滑り出す。丘を下って、列車はサーフェンス操車場へ足を踏みいれた。


ーーーーーーー

 6番車庫

ーーーーーーー


「私が今回整備を担当する。ライクルと呼んでくれ!」


 目の前の男がそう挨拶した。薄青の作業着に身を包み、頭にタオルを巻くその姿は整備士を絵に描いたようだ。


「よろしくお願いします。...この機関車...見たことありますか?」


「いや、初めて見る形だ...ああ、そうそう、総裁がお待ちだ。早く行った方がいいぞ!」


「あの、総裁殿はどこに...?」


 ライクルは円の中央を指差して言った。


「『エラール中央総合司令センター』だ。」


 見るとそこには、都庁に匹敵するほどの大きさの、巨大な円筒形建造物がポツンと置かれていた。


「了解です。それでは、頼みます。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 エラール中央総合司令センター

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「やぁやぁ!あんたが噂の男かい!ま、とりあえず座って座って!」


 目の前の『総裁』は黒のスーツを身に纏い、革靴にメガネという、典型的かつシンプルな服装だった。


「は、初めまして。八坂と申します。」


「まあそう硬くなるな。硬いのは好みじゃない。ユーウィン!カフイをお出しして!」


 彼がそう叫ぶと、ユーウィンと呼ばれた男が『コーヒー』を出してきた。


「ありがたくいただきます。...一ついいでしょうか?」


「なんだ?」


「私は今回、『ヴィルス・マッケンジー』という人に会いにきたのですが...」


 すると、彼はナニイッテンダオマエという顔でこちらを見、大声で笑った。


「アッハハハハハハ!!!!」


 机を叩きながら笑い転げる様を見て、ユーウィンが近寄ってきた。


「客人の前ですよ、総裁殿。」


「ああ、すまないすまない!そういうことなら話は早い!なぜなら、私が君たちの会いたがってる『ヴィルス・マッケンジー』だからだ!」


 その瞬間、俺は反射的に叫んでしまった。


「な、なんだって〜!?」


 小川町達が笑いを堪える。ちょ、八坂さん、という目でこちらを見てくる。


「ま、まぁ、ノリがいいのは悪いことじゃないぞ...!」

 

 ヴィルスが薄ら笑いを浮かべて言ってきた。


「八坂さん...だ、大事ですよね!そういうのは!」

 

 やめてくれ...


「そ、そうそう!場が和みますし!」


 もう、もうやめてくれぇぇぇぇ!!!


ーーーーーー

 数分後

ーーーーーー


「君たちはニホンという国から来たんだろう?」


 その聞き慣れた言葉に一瞬、我が目、いや、我が耳を疑った。


「ヴィルスさん...私の母国を、日本を知っているのですか!?」


「やはりそうか、顔が似ていたんでな。」


 聞き終える前に捲し立てる。


「ここはいったいどこなんです?ツノの生えた人型の緑の肌の生物はいったい?巨大な怪獣はなんなんですか?

...この世界は...私が前にいた世界なんですか!?」


「八坂さん!そんなに一気に言っても答えられないでしょう!」


 ヴィルスは、ゆっくりと話し始めた。


ーーーーーーーーーーー


 簡単に言おう。ここはエラール大陸の中央部、角の生えた緑の肌の生き物は魔物のゴブリン。怪獣は怪獣。名前なんてものはない。一種しかいないからな。そして、この世界は君たちのいた世界とは異なる空間に存在している。


 この世界には三つの種族が存在する。ニンゲ族、センメ族、プリマリ族だ。君たちは分類上だとニンゲ族だ。ニンゲ族は科学の種族、いや、「逃げの種族」と言った方が正しいな。センメ族は魔法の種族。別名は「攻めの種族」。プリマリ族は最古の種族。プリマリから全ては始まった。


 太古の昔、プリマリがエラールに現れた。彼らは魔法を使い、狩りをし、強敵から逃げた。幾千万(いくちよろず)の年が流れ、やがてプリマリは三つに分裂した。プリマリであり続けたものたち、攻めに特化したものたち、逃げに特化したものたちだ。お前たちの世界では、防御呪文なるものがあると言われているようだが、そんなものは使わない。刺すか避けるか、それだけだ。ああ、一応あるにはあるんだが、な。


 攻めに特化したものはセンメとなり、逃げに特化したものはニンゲと呼ばれるようになった。センメは高度な狩りを行い、ニンゲは農耕を始めた。そんななか、プリマリも進化した。彼らは「通常呪文」がセンメ、ニンゲほど使えない代わりに、「神域呪文」を手に入れた...。


ーーーーーーーーーーー


「俺たちはニンゲ族。転移者である君たちは、見た目などがニンゲと類似しているためニンゲに分類されている。」


 小川町が手を挙げた。


「あのー、俺も呪文一つ使えるんですけど...あ、ハリセンを出す呪文です。」


「それも逃げの呪文の派生だよ。元々はでかい紙を出して相手の視界を制限する呪文だった。それが複雑化したんだろうな。」


 ヴィルスは三人の顔を見て質問がないことを確認すると、一枚の地図を取り出した。


「それでは本題に移ろうか。ここが今俺たちのいるエラール中央総合司令センター。このエリアがそれぞれの種族の居住地域だ。まあ、ここはちょうど真ん中だな。エリアごとに国がたくさんあるが気にしないでいい。」


 無数の線をなぞりながら続けた。


「そしてこれがエラール大陸鉃道の路線図だ。」


 すごい量の線路だ。放射状に広がった線路はエラール大陸全土をつなぎ、さらに、大陸の外苑を沿うように環状線が続いている。


「その全てを総括しているのがここだ。要するに本社。」


 すごいな...ここでほぼ全ての路線に指示を出しているのか...。


「お前、今ここで路線に指示を出しているのかと思ったろう?」


「...はい。」


「指示は列車単位だ。」


 え!?と思うと、隣の2人も同じような顔をしていて、佐伯が立ち上がった。


「そんなこと可能なんですか!?この広さですよ!縮尺500万分の1で、50万分の1でかかれたユーラシア大陸くらいの大きさがあるのに!?」


「簡単だ。」


 あっさりと言い切った。


「昨今のエラール大陸における鉄道事情はだいぶ芳しくない。」


 彼は立ち上がり、歩きながら続けた。


「150年前の悲劇で20億いた人口は一息に9500万人にまで減少し、線路自体も甚大な被害を受けた。列車も消滅、乗務員も死亡!」


 窓の前で立ち止まり、延々と続くレールを見つめる。


「今となっては路線のほとんどが復旧したが、それでも人員が足りない。圧倒的に。」


「つまり?」


 ヴィルスは八坂たちを見て言った。


「エラール大陸鉄道に加わってくれないか?そうしてくれたらこの()()で生きていける最低限のサポートをしよう。報酬は...まあ、低いがな...。」


 この異界で生きていくには、初期費用として莫大な金が必要だ。だが、俺たちは無一文の状態。話を聞くかぎりこの世界の経済は困窮している。そんな中で雇ってくれ、さらには必要最低限のサポートの提供...とてつもなく美味い話である。しかし、美味い話には裏があるとよくいう。まさにハイリスクハイリターン。受け入れるべきか、拒否するべきか...。


「八坂さん!」


 長考の内に、小川町が叫んだ。


「僕は、入りますよ。エラ鉄に。」

 

 エラ鉄...


「僕は、日本に帰りたい。生きていればその道が見つかるかもしれない!それに、エラ鉄に入れば大陸中を旅できます!」


「私は...小川町に賛成です。やっぱり、鉄道が好きですし。」


 後輩たちに先を越されるとは、『カミソリ八坂』もおちぶれたものだな。(呼ばれたことないが)


 ため息を大きく吐き、大きな声で言った。


「しゃぁねぇなぁもう!おめぇらがそんなにはいりたいなら付き添ってやんよ!!」

そろそろ感想欲しい(笑)

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