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異世界旅客鉃道就労録  作者: こめひこ
ライハト地方編
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36/37

st.34 断食

「と、いうわけで各自節制を心がけるように!」


『了解!!』


 混乱する読者の方もいるだろうから、時を戻してみよう。それは1分前の話だった...


「僕の給料が消えました!隊長も文無しです!残るは佐伯...だけど...」


 佐伯が財布を逆さにして振りながらさけんだ。


「スッカラカン!」


「はい!一文無し!」


 その時、光が如き速さでアスマが身を乗り出して小川町に聞いた


「ちょいちょいちょい!飯は!?食事はどうすんだよ!!」


「ついさっき1週間分の食料は仕入れたから安心してくれ。ただ...」


 俯きがちに小川町は続けた。


「...サーフェンスに着くまでに7日はかかる...」


 まさかのギリッギリ...!!


「と、いうわけで各自節制を心がけるように!」


『了解!!』


 これがことの顛末だ...あと1週間、無駄金は使わず乗り切るしかない...!


ーーーーー


 フジス駅出発からは早4日、既に節制は困難を極めていた...


「こ、これなら...少し食べても大丈夫だよね...」


 夜遅く、何者かが冷蔵庫を漁っていた...瞬間!ホワイトベースの警報音が鳴り響き、赤ランプが点灯を始めた!!!


『警報 警報 冷蔵庫に不審人物あり』


「ギャァァー!?!?」


 男側の代家車から包丁両手持ちの小川町が飛び込んでくる!!


「おんどるぁぁ!!てめぇ何してくれとんじゃぁぁぁ!!!」


「ギィヤァァァ!!!」


 小川町が明かりをつけると、犯人はすでに後方へ逃げようとしていた!!


「ゴルァァァ!!佐伯ぃぃ!!待たんかいわぁぁぁれぇぇぇぇ!!!」


 その時、小川町がベッド横を通過しようとすると、真横から飛んできたレンチが鼻の頭を掠めた...


「うるさい...寝させろ...」


「...ハイ...」


 佐伯は貫通路の外の壁に張り付き、小川町は電気を消し、代家車にはしばらくの静寂が訪れた...。なお、この間運転しているのは寝坊し、なおかつ遅刻している小川町の交代を待つ八坂である。


 そして、夜が明けた...!


「...ない...」


「小川町?どうした。」


 寝起きだが今はもう昼下がり。昨日は小川町が代わってくれなかったから...仕返しだ...!というような状況の中、小川町が冷蔵庫の前で青ざめていた...


「食料が...ない...」


 小川町は立ち上がり、佐伯に詰め寄った。


「お前か!?食い尽くしたのはお前か!?」


「い、いや!食べてないって!!」


 小さな声で呟いた。


「カルビと肉とビール...」


「へ?何!?一体なんなのよ!証拠もなしに私が犯人って...」


「やっぱり食ったのお前だなぁぁ!!」


「だから証拠は!?」


 自信満々に小川町が答えた。


「よだれ...!涎が垂れてない...!」


「...は?」


「お前、いつもはうまいもん想像すると涎を3リッターくらい垂れ流すだろ...。それが...ない...!一滴も!!」


 直後、慌てて涎を出し始めたのを見て、二重の目で嫌悪の眼差しを向けた。


「小川町...隊長権限だ佐伯を縛り上げろ...!!!」


「イー!!」


 佐伯をロープでぐるぐる巻きにして手すりに繋ぐ。そして折檻...!とはいかないが、全員から冷ややかな視線を贈られることになった...


「さて...大事な食料が潰えたところで...ここに肉があるんだがみんなで焼肉をしないか?」


 佐伯を指差しながら笑顔で聞いた。


「隊長!?ひどい!鬼!鬼子!!」


『さぁんせぇー!!』


 満場一致!!


「それじゃぁ前菜として解体ショーといこうかぁ...!」


 懐から出刃包丁を取り出した...

「ったくよぉ、これから2日間断食ったぁなんてこった!!」


「仕方ありませんよ...金、ないんですから...」


「あーあ、お前たちが和菓子食ってなきゃこうはならなかったのになー。」


「う、痛いとこつかないでくださいよ...!反省はしてるんですから!」

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