st.34 断食
「と、いうわけで各自節制を心がけるように!」
『了解!!』
混乱する読者の方もいるだろうから、時を戻してみよう。それは1分前の話だった...
「僕の給料が消えました!隊長も文無しです!残るは佐伯...だけど...」
佐伯が財布を逆さにして振りながらさけんだ。
「スッカラカン!」
「はい!一文無し!」
その時、光が如き速さでアスマが身を乗り出して小川町に聞いた
「ちょいちょいちょい!飯は!?食事はどうすんだよ!!」
「ついさっき1週間分の食料は仕入れたから安心してくれ。ただ...」
俯きがちに小川町は続けた。
「...サーフェンスに着くまでに7日はかかる...」
まさかのギリッギリ...!!
「と、いうわけで各自節制を心がけるように!」
『了解!!』
これがことの顛末だ...あと1週間、無駄金は使わず乗り切るしかない...!
ーーーーー
フジス駅出発からは早4日、既に節制は困難を極めていた...
「こ、これなら...少し食べても大丈夫だよね...」
夜遅く、何者かが冷蔵庫を漁っていた...瞬間!ホワイトベースの警報音が鳴り響き、赤ランプが点灯を始めた!!!
『警報 警報 冷蔵庫に不審人物あり』
「ギャァァー!?!?」
男側の代家車から包丁両手持ちの小川町が飛び込んでくる!!
「おんどるぁぁ!!てめぇ何してくれとんじゃぁぁぁ!!!」
「ギィヤァァァ!!!」
小川町が明かりをつけると、犯人はすでに後方へ逃げようとしていた!!
「ゴルァァァ!!佐伯ぃぃ!!待たんかいわぁぁぁれぇぇぇぇ!!!」
その時、小川町がベッド横を通過しようとすると、真横から飛んできたレンチが鼻の頭を掠めた...
「うるさい...寝させろ...」
「...ハイ...」
佐伯は貫通路の外の壁に張り付き、小川町は電気を消し、代家車にはしばらくの静寂が訪れた...。なお、この間運転しているのは寝坊し、なおかつ遅刻している小川町の交代を待つ八坂である。
そして、夜が明けた...!
「...ない...」
「小川町?どうした。」
寝起きだが今はもう昼下がり。昨日は小川町が代わってくれなかったから...仕返しだ...!というような状況の中、小川町が冷蔵庫の前で青ざめていた...
「食料が...ない...」
小川町は立ち上がり、佐伯に詰め寄った。
「お前か!?食い尽くしたのはお前か!?」
「い、いや!食べてないって!!」
小さな声で呟いた。
「カルビと肉とビール...」
「へ?何!?一体なんなのよ!証拠もなしに私が犯人って...」
「やっぱり食ったのお前だなぁぁ!!」
「だから証拠は!?」
自信満々に小川町が答えた。
「よだれ...!涎が垂れてない...!」
「...は?」
「お前、いつもはうまいもん想像すると涎を3リッターくらい垂れ流すだろ...。それが...ない...!一滴も!!」
直後、慌てて涎を出し始めたのを見て、二重の目で嫌悪の眼差しを向けた。
「小川町...隊長権限だ佐伯を縛り上げろ...!!!」
「イー!!」
佐伯をロープでぐるぐる巻きにして手すりに繋ぐ。そして折檻...!とはいかないが、全員から冷ややかな視線を贈られることになった...
「さて...大事な食料が潰えたところで...ここに肉があるんだがみんなで焼肉をしないか?」
佐伯を指差しながら笑顔で聞いた。
「隊長!?ひどい!鬼!鬼子!!」
『さぁんせぇー!!』
満場一致!!
「それじゃぁ前菜として解体ショーといこうかぁ...!」
懐から出刃包丁を取り出した...
「ったくよぉ、これから2日間断食ったぁなんてこった!!」
「仕方ありませんよ...金、ないんですから...」
「あーあ、お前たちが和菓子食ってなきゃこうはならなかったのになー。」
「う、痛いとこつかないでくださいよ...!反省はしてるんですから!」




