st.29 仕事
この回には一部、不適切と捉えられかねない表現がございますが、あくまで創作活動の一環であり、犯罪を助長させる意図はございません。あらかじめご了承ください。
クラブマンとの戦闘から丸2日たち、ランブル国内からの避難が終了した。現在ディングルの攻撃はより激化し、一般人は立ち入れない状態となっている。
「とりあえず...避難民の全避難完了を祝し、このような情勢ではございますが、慰労会を...」
「前置きはいい!!酒持ってこぉぉい!!」
「えーじゃー、乾杯!」
『乾ぱぁい!!』
ここはアイランファクトリア駅の構内、大会議室。避難民を運ぶというハードワークを終えた機関士たちで慰労会を開いている。
「やーほんとに!ヤサカさんたちはすごいねぇ!行動も早かったし、何よりディングル軍とあたったんだって?」
「ええ、まあ。」
「こちとら最初はなんてこと言い出すんだこのやろうって思ったけど、案外いいもんだな人助けも。」
隣のテーブル歓声が上がった。
「すげー!何杯目だよこれで!!」
「どんだけ飲めるんだこの女...!?」
佐伯か...
「ディングルのクラブマンを倒したってやつ、すげぇなぁ!俺たちのところに欲しいぜ!」
「ちょっと、厠に...すいませんね。」
トイレとは反対方向、屋上へ続く階段へ向かった。
「やっぱりここか...」
「隊長か...」
「お前、何してんだ...?」
「ただ星空を眺めてるだけだよ...」
「下...いかないのか?お前は英雄扱いだ。」
「英雄...ね...。ただの人殺しなのにな...」
「そりゃ違うな...お前のおかげで俺たちは助かったんだぞ?」
「それは...俺たちが正し方ってことか...?相手が...いけなかったってことか...!?」
「...」
「自分の正義振りかざして人殺して...なにが違うんだよ...自分たちの正義を押し付ける...ディングルのやつらと何が違うんだよ!!...どうせ俺は人殺しさ...何年経っても消えることはないだろうな...あの気持ち悪さは...」
「アスマァ、お前、それ言い訳だろ。」
「は?」
「お前はただ仕事をしただけだ。それの何が悪い?俺だって仕事をしてるし避難させた奴らも仕事をしてる。でもどうだ?誰か俺たちのことを責め立てたか?そんなんだぁれもいないだろう。」
「何が言いたい...」
「誰も責めないのになんで自分を貶める?言い訳したいからだろう?自分に対して!あ、自分殺しちゃったんですけどー、いや、めちゃくちゃ気にしててー、こうやって落ち込んでてー、って、バカじゃねぇの?ぶぁっかじゃねぇの!?」
地団駄踏んで続ける。
「いやぁい!バーカバーカ!」
「あぁぁぁ!もう!バカバカうるせぇぇぇ!!!いいじゃないかよ!人殺したんだぞ!!」
「この世界には魔物がいるよなぁ山賊とか野党もいるなぁ、俺はそういう奴らから身を守るためにお前を雇ってんだ。お前もわかってただろ?それなのにたった数人殺した程度で落ち込むんならよぉ、解雇するしかないなぁ。」
「数人殺した程度って...そんなん人殺しの思考じゃないの...」
「いいじゃないか、人殺し上等!!ってかお前、もう自分のこと人殺しだって言ってただろ!」
「ははっ、それもそうか...!」
「落ち込むのはいいけどさ、線引き、しっかりやっとけよ。どこまでで切り替えるって。それに、言い訳するにしてももっとましにしねぇか?結果誰かの命を救ったんだトロッコ問題だったんだ...とかな。」
「了解隊長。少し、気が楽になったよ...」
「そうそう、1人で背負い込みすぎるなよ。なんのための仲間だと思ってんだ...。」
「よし!酒盛りに参加するとしますかね...」
2人で肩を組んで宴会場へと向かった。
ーーーーー
「戦況はどうなってる!」
「今ディングルが戦車を送り込んできています...!このままでは...戦略的撤退をせざるを...!」
「ならん!このままでは...首都を失うことになる...!それだけは...それだけはならん!」
「しかしアルバーグ軍曹!!敵の戦車には魔術が効きません...!そうなると我が軍の戦力は二分の一...いや、三分の一も同然!!戦力差は圧倒的です...!」
「実弾...ホワイトガッツに掛け合って実弾兵装を...!」
「非現実的すぎます...!」
「やらないよりは...ましだ...!命令だ!今すぐ対応しろ!」
「了解です!!」
「軍曹!!吉報です!!」
「何があった!!」
「隣国、トルンセルダルより軍事的援助を受けられると!!」
「だめだ...!それだけじゃあまだ...!そのうちディングルだけじゃない...連合軍も攻めてくるぞ!!」
「ソーリバー駅の防衛線を突破されました!ここも危険になります。陣地の後退を...!」
「クソ!!仕方がない...マジカルアーマーの使用を許可する!!」
宴会と同時刻のセンメ陣営であった。
「くそ...酒入れたせいでグロッキーが戻っちまった...」
アスマの足にマダナイが擦り寄ってきた。
「お前...慰めてくれてるのか...?」
撫でようと手を伸ばしたところ...
「ジャァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
「ヒィッ!」
猫とは、何を考えているのかわからない...。




