st.26 宣戦布告
波長を操作していたら、ラジオから掠れた声が聞こえてきた。
『「ディングル国営放送です。デンテル王とニンゲ諸国のトップは本日、悪しきセンメを打ち倒すことを目的に、連合軍を発足しました。これより数日間、センメへ正義の鉄槌を下す所存でございます。第一陣としてディングル軍をランブル、ウエスタン・ドルメード、ヂヂダンへ派遣することが決定されました!現在連合軍では、絶賛志願兵を募集しております。希望者はお近くの公的施設で手続きを!」』
「...なんてこった...」
「...これって...ドラマだよな...?本当じゃないよな...?」
現実とは、いつも残酷である。
「中央から指示は!?」
「まだです!どこも混乱状態で...」
地図だとランブルは...アイランファクトリアから4駅で国境を越える!!
「行先変更!!俺たちはこれからセンメ諸国に人道支援を行う!!まず向かうはランブル!今回標的にされている3国の中で唯一線路でつながりここからも近い。危険の少ないホワイトガッツまで市民を非難させる!!異議のある者はこの列車から降りてもいい。さあ、降りる者はいるか?」
「かっこつけちゃって。そんな危険な仕事バカしかやらないですよ?」
「そうそう!まともな人間はまずやらねぇ。」
しかし、誰も手を挙げない。
「とりあえず、ご飯作りますね。腹が減っては戦もできん!ですよ!」
「隊長...。忘れちまったんですか?俺たちゃ天性の大馬鹿だ!整備班一同!ここを離れるわけにゃいきませんよ!!」
「仕方ないなぁ、隊長、どこまでもついていきますって。」
「隊長!うちのドーファン舐めてるでしょ?向かってくる砲弾なんて、全部防げるんだからね!!」
「おい待てアーティー!!それ俺が言うセリフだから!!」
うんわかってた。仲間達が普通じゃないっていうのは。
「ようし!おい大馬鹿ども!やるぞ!少しでも多くの命を助け出すぞ!!」
『ラジャァァァァァァ!!!!』
その後、片っ端からライハト地方ディングル以北にいる機関士達に援助を要請。拒むものもいたが、ほとんどが了承、計5編成の旅客車両、計2編成の貨物車両が避難のための輸送にあたることとなった。4編成がランブルの首都、ソーリバーからアイランファクトリア間を往復、残りの4編成でホワイトガッツの入口、エミまで輸送する。武装のない編成には警察が護衛としてついてくれることとなり、ホワイトガッツもまた難民受け入れの体制を整え始めている。
「俺たちが第一陣だ!ある意味では一番安全な往復になる。これを機にに1人でも多くのせるぞ!!」
結局アイランファクトリアからの乗客はゼロ。空気輸送の状態で出発することになった。
「今回はとばすぞ。危険だなんだいってらんねぇ状況だからな。」
「はあ、隊長のすごいところはなんでも思いつきでできちゃうことですよ...。」
「お前も隊長呼びかい...まあいい掴まれ!急加速するぞ!!」
加減弁を思い切り手前に引く。同時に逆転機ハンドルを回しまくる!!
この時、シゴナナが火を吹いた!!文字通り、煙突から炎が上がった!!
「あべ!あべべべべべべ!!」
「ほんっとにこの加速は心臓に悪いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
っていうか大丈夫かみんな?
「おうい!全員無事か!?」
『「キャリアカーの方は無事だよ!」』
『「車掌車の方も大丈夫です!」』
「オーケイ了解!!これからこの速度を維持するぞ!超特急でソーリバーまで向かう!!」
『「隊長!」』
「どうした佐伯!」
『「総裁から電話がありました!」』
「なんて言ってた!?」
『「勝手なことをするな。但し、今回はその徳をもって不問に処す。金の事も多めに見てやる。と!」』
ありがてぇ...。ヴィルスもわかる男だな。
『「今回私たちの動きのおかげで、残り2国にも人道支援を行うことが決定されたそうです!」』
「そりゃあよかった!そうだ佐伯!このあと通過する駅にどんどん連絡を入れてくれ!高速通過だからなるべくポイントを通らせないようにしてくれって!!」
『「了解です!なんとかしてみます!」』
この後、あまりの速さに襲ってくる魔物はおらず、無事にセンメ自治区へと入った。これより先、ニンゲを忌み嫌う人々も現れる。どこまでやれるか...それは、センメの寛容さに大きく頼る部分があった。
「はい!ご飯できたよ!!」
「ありがとう佐伯!何を作ったんだ!?」
「ほうとう!!」
「俺たちゃ武田信玄か!!」
甲斐武田軍ではほうとうを軍事食にしていたといわれる。




