st.14 ザコ敵大量主義
ディングルは東西に細長い国で、先ほどまで滞在していた首都「スティングレイ」は国土の東端に位置する。スティングレイから南北の国境まではそれぞれ10キロほどしかなく、30分もせずに抜けることができる。
「悪夢のような国だったな...」
「国境を超えた途端に射殺ですもんね...逆にいうとあの国のおかげで魔物に遭いにくかったのかも...」
「あり得るな。確かに骨野郎が追ってこなくなったのも国境を超えてからだからな...北側への抑止力になっているのは間違いないだろうよ。」
「このトンネルを抜けると...地図だとエンドランドって国の領地っぽいですね。」
「次の駅へは9時間か...遠いな。」
「村くらいしかありませんからね...国土の辺境の地しか通らないみたいです。」
「申し訳程度って感じか...。お、トンネル抜けるぞー」
「ここからエンドランド...!」
正確にはすでにエンドランドに入っている。尾根が国境になっているからな。
トンネルを抜けると目の前に広がっていた光景は...
「お!おお!魔物だらけ!!」
ゴブリンはもちろん、怪獣にアースドラゴン、骨野郎までいる!もちろん他の見たことないやつも!
「小川町!一応台場ついとけ!」
「イエッサーキャップ!」
「あ!おい!軍手忘れちょる!...まあ、大丈夫か...」
いつ襲われるかわからないからな。小川町には見張りに立ってもらおう。
「ハイリハイリフレハイリホーハイリハイリフレッホッホー!!」
フゥ!恐怖で逆にワクワクしてきたぜぇ気分も上がっちゃうぜぃ!
「おうきくなれよう!!」
メリッ!
「んあ?」
視界に違和感。みると、落ちてた軍手の片方が、巨大化していた。
「魔法か...。」
俺が...やったのか...?
「ハイリハイリフレハイリホーハイリハイリフレッホッホーオオキクナレヨ」
バキバキ
その音は隣から聞こえた。
「ほー魔物か。...魔物!?」
見たことがある!ゴブリンだ!魔物のくせして馬に乗ってやがる!
「でもなんか...右足だけでかい...?」
まさか俺の魔法のせい!?
「おがわまちぃぃぃ!もどおってこぉぉい!!」
ガラ!
「人使い荒いですねぇ!!ターゲットは!?」
「あいつだ!」
「了解です!ってか右足でかっ!」
「攻撃に気をつけろよ!」
小川町はタラップから身を乗り出し、ハリセンを構えた。
「こいやぁクソゴブリン!この小川町様が正義の鉄槌をくだしてくれるわぁ!」
いや、まだこいつはあるいことやってないと思うが...
「どぅおおりやぁぁぁぁ!!!」
スパーン!!
「ボビェ!」
ゴブリンも可哀想に...最後の言葉がボビェ!なんて...
「楽な仕事でしたねぇ。」
「あっけねぇもんだな...なんか嫌な予感が...」
なんとゴブリンがドア横の手すりに捕まってこちらを睨んでいた!
「やっぱり嫌な予感しかしねぇ!」
腰につけていた角笛を吹くと、地平線の彼方から土煙が...
「小川町!台場に戻れ!!」
「アイアイサー!!」
どんどん近づく土煙。いや、土煙だけではない!大量のゴブリンが波となって押し寄せていた!しかも全て馬に乗っている!なんなんだあいつら!?多すぎて気持ち悪りぃ!!
『「台場につきました!いつでも応戦できます!」』
「とりま砲身機関砲に変えて乱れ打ちじゃい!そっちの方が楽だろ!」
『「了解です!」』
とりあえず俺は逃げ方でも考えるとしますか!!
「八坂さん、なんで俺の軍手右手だけデカくなってんですか?」
「なんか変な魔法のせい。体の部位とかが大きくなるっぽいんだよなぁ。」
それを聞きつけた佐伯。
「私に!私にその呪文をかけてみてください!!」
「えー、どうなるかわかんないよ?いいの?」
「いいですから!どうぞ!(これで私の絶壁も少しは...!)」
「仕方ねぇなぁ...ハイリハイリフレハイリホーハイリハイリフレッホッホーオオキクナレヨ!」
結果、大きくなったのは佐伯のズボンのベルトだった。以後、巨大化呪文の使用禁止令が出されたという。




