閑話 アリスの過去
また閑話ですみません。
これだけは書きたかったんです。
私は平民の長女として生まれた。
両親共に冒険者だったことが関係し、私は幼い頃から剣を握り始めた。
元々才能があったためか、私はみるみると上達していった。
すると両親は私が上達すればするほど、いつも嬉しそうに褒めてくれた。私は幸せだった。
だが、幸せは長くは続かなかった。
両親の仲が急に悪くなったのだ。多分それは些細な夫婦喧嘩が原因だったと思う。しかし、両親はどちらとも元冒険者であったために普通の人より気性が荒く、喧嘩がヒートアップしていったのだ。
別居をしてしまった両親達だったが、二人共まだ、私の剣を褒めてくれていた。国から剣聖と認定された時なんて、仲は直っていないが三人で食事もしたのだ。
私の剣がもっと上達し、二人の会う機会が増えれば仲直りできるのではないか。
私はそう考え、更に鍛錬を重ねるようになった。現に二人の会う機会は増え、少しずつ打ち解け、両親達は二人で食事に行くぐらいまでの関係までに戻っていた。
後もう少しだ。
しかし私がそう思っていた矢先、不幸が訪れる。
両親が二人で食事した後の帰り、魔物に襲われたのだ。
両親共に体を深く損傷しており、治癒魔法も効かず、すぐに息をひきとった。
そして私の心にポッカリと穴が空く。
私がこれまでしてきたことはなんだったのか?
全ては両親の仲直りを実現させるため。それなのにその両親は死んでしまった。
積み重ねてきたものが一気に崩れ落ちたのだ。
そして両親がいなくなって気づく。
もう自分の周りには誰もいないことに。他の人達が私に向けてくるのは恐れ。私はいつの間にかにレギオス最強の人間になっており、常人とは比べ物にならないくらいの強さを持っていたのだ。
そこから先は孤独だった。王は私の気持ちを察したのか、厳しい任務はあまり私に与えず、代わりに王城の警備や王の護衛など、簡単な仕事をくれた。
そんな私だったがある日の深夜、王城の警備である男に出会う。
最初見た時はただの侵入者だと思い、剣を向けた。
私は剣聖として有名であるから、剣を向けられた時点でレギオスの一般人は恐れをなして、戦意喪失するのだ。
だがその男は戦意喪失するのではなく、逆に剣をどこからか出して、やる気満々だった。
結果、完敗だった。気を使われて家まで送られるということまでされて。
だが同時に嬉しかった。自分より強い人がいて。仲間がいたように思えたのだ。
そして何よりも嬉しかったのは、自分を普通の人間として見てくれたことだった。孤独だった心が晴れたような気がしたのだ。
同居を認めた自分には驚いた。私は男性が苦手だからだ。なにせ剣ばっかり振り回してきたから、男性経験が皆無だからだ。だから多分特別視しているのだろう。初めて家族以外で私の事を見てくれた人だものね。
だから夜空には感謝している。言えないんだけどね?
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