第二話 趣味
夏休みが始まってからの俺は、文化祭準備が始まるまでの貴重な休みを無駄にしないように、毎日趣味に没頭している。
趣味と言っても、自分の好きな風景や写真を絵にしているだけだ。
今日は隣接市で開催されている、キッチンカーが集まるイベントの風景を絵に収めようと考えている。
しかし、問題がある。
それは、人混みが苦手だということだ。
人混みに揉まれると、少し気分が悪くなったりもする。
しかし、多少の自己犠牲も承知の上でイベント会場へ向かうことを決心した。
なにせ1年に一回の行事なのである。
行かない手はない。
その後駅について切符を買った自分は、駅のホームで電車が到着するのを待つ。
なるべく人混みを避けられる場所を探していた俺は、見覚えのある人を見つけてしまった。
あの明るい笑顔をしている少女は、おそらく赤崎だ。見つかると面倒だから人混みに紛れて電車を待つことにした。
しばらくすると、電車が到着した。
すると偶然だと思うが、赤崎も同じ電車に乗ってきた。
というか、偶然であってくれ。
そんな事を思っていると、いつの間にか駅についていた。
駅を出て、周りを少し散策してから会場に向かった。
自分が着いたころには会場は人で埋め尽くされていたが、予想通りでなぜか少しホッとした。
どこの風景を絵に収めようか迷っていると、そこにはやはり、赤崎の姿があった。
薄々気づいてはいたが、赤崎もこのイベント目当てで来ていたらしい。
面倒なことなるのは分かっているが、話しかけるべきか考えているといつの間にか、彼女が近づいて来ていた。
「一之瀬くんも来てたんだ。」
「そうだな。」
「一之瀬くんがよかったらなんだけど、一緒に回らない?」
絵を描いてすぐに帰るつもりだったが、断れる雰囲気ではない。
「まぁ、いいよ」
「本当に! ありがとう。じゃあまずはあそこのお店から行かない?」
すごい行列だし、すごい甘そうだけど行くか。
それからもいろいろな種類のキャンピングカーに行き、気づいた頃には夕方になっていた。
「今日はありがとう。来年も来ようね。」
「そうしよう。」
本当は来年こそ一人でゆっくりしたいが、そんなことは口が裂けても言えない。
家に帰宅してすぐにクタクタになった自分は眠りについた。




