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44/114

44 旧敵 6

売国奴として討たれた兄のせいで騎士団から追放された令嬢騎士レイシェル。

そんな彼女の前に最強を自負する転生者にして霊能者・ノブが現れ、秘宝探索の旅へと誘う。

敵の刺客となった元騎士団員達に何度も狙われながら、それを退ける二人。

勇者ドリルライガー、元魔王軍の武闘家オウキを仲間にし、二人の旅は続く――。

 クラゲ艦・Cオーウォーが乗り込んできた事で敵の戦列が乱れた。


『残る敵は僅か! 切り込みます』

 そう言ってドリルライガーが敵陣の奥へ――怪獣フラッシュハーベスタへと突撃した。


 残る敵から集中砲火を受ける。

 だがライガーは射撃武器の雨にもビクともせず、小雨を突っ切るかのように前進する。

 5段階目までの強化改造を施されて得たカスタムボーナス‥‥ライガーの()()は防御能力の向上だった。



・カスタムボーナス(ドリルライガー)

装甲値+300、移動力+2



 食い止めようと殺到する敵の量産型機Bダガーハウンド。

 しかしそこへ跳び込み、敵を打ち倒す琥珀色の影。

 ノブのEムーンシャドゥも共に切り込んできたのである。


 改造され、全能力を引き上げられた2機。

 その力の前に、魔王軍の量産機はほぼ一方的に蹴散らされた。


『生意気‥‥やれ!』

 苛立つリュウラの声。

 途端に怪獣の、結晶の塊のような体が発光した。

 そこから全方位に強烈な光が放たれる。土が焼けて岩が焦げ、砂利が弾け飛んだ。

 データではMAP兵器として表示されていた、灼熱の高熱波!

 それはシャドゥとライガーを容赦なく襲った。


 光が止み、熱が燻ぶる山肌から煙があがる。

 だが‥‥その中で、シャドゥとライガーは煙を上げながらも立っていた。


『チッ、それなりに食らっちまったよ』

 モニターを見て舌打ちするジルコニア。

 表示されたダメージ値は2000に少し満たない程度だが。


『こちらはまだいけるであります!』

 威勢よく叫ぶライガー。

 彼の方は1000程度しか受けていない。

 最大HPは6000以上。量産機との戦闘で多少傷ついてはいるが、まだ余裕がある。


 改造により強化された装甲はどちらも2000以上。

 ライガーに至っては装甲系強化パーツをつけて2500に達していた。

 以前とは段違いの強度である。


『行きます! ドリルチャージ!』

 ドリル戦車へ瞬時に変形して突っ込むライガー。

 結晶のような怪獣の体に突き刺さり、盛大に破片をまき散らす!

 問題は、怪獣には再生能力――HP回復(小)がある事だが。


「【水冷の領域、第五の段位。冷気は存在そのものを冷却する。凍結した敵は砕け散る】――ディープフリーズ!」

 レイシェルの詠唱と共に怪獣の体が氷結した!

 再生の隙を与えまいと攻撃魔法が炸裂。


 しかし怪獣の体が再び輝くと、高熱の光が放たれた。

 先ほどの物とは違い、収束した一条の熱線である。

 その破壊光線はレイシェルのSエストックナイトを襲った!


 だが光線は大地を穿つ。

 エストックナイトの足元を溶かすが、機体には当たらなかった。

 偶然でも運でもない。

 レイシェル機の射程は怪獣を上回っていたのだ。



・カスタムボーナス(Sエストックナイト)

MAP兵器以外の射程+1、移動力+1



 量産機は全滅し、怪獣は劣勢。

 リュウラの苛々した声が通信で入る。

『そいつのHPが半分‥‥10000以下になると撤退するから。そのまま攻撃を続けると、レアアイテムは手に入らない。わかってる?』


「別に、無理にそんな物を手に入れる必要はありませんし‥‥」

 レイシェルにしてみれば、HP半減で帰ってくれるなら助かる話である。

 今回の敵の戦法は何が脅威なのかイマイチわからないのだ。


 しかしそこへオーガハーフエルフのエリカから、大声で通信が入る。

『ううん、やれるぞ! おい、一番攻撃力の高い機体はどれだ!?』

『Eムーンシャドゥになるな』

 ノブが答えると、エリカは叫んだ。

『わかった! そこにいてくれ! 艦はシャドゥへ、早く!』


『フッ。人遣いの荒い事だ』

 笑いながらも了解するオウキ。

 声の後半は艦内に向けられた物だ。

 クラゲ艦はシャドゥの側へ、宙を流されるように近づいて来る。


 しかし敵とて黙って見ているわけもなく、破壊光線が撃たれ、クラゲ艦を貫いた。

 柔らかそうな見た目に違わず、装甲は硬くないようだ。

 だが巨大なのでそう致命傷にはならない。


 そして、エリカから通信が入った。

『よし、これを使え!』


 クラゲ艦には何本もの触手がある。

 その中の、作業用の細い触手が小さなコンテナを艦内から出し、ムーンシャドゥの腰部にあるアイテム収納枠へ接続した。


 コンテナの中に入っているのは緑に輝く宝石のような結晶。

 ある種のエネルギーを帯びた、それは――


『これは‥‥強化パーツ【ブレイブドライバー】!?』

 思い当たる名をノブが呟く。



・強化パーツ【ブレイブドライバー】

勇気の力で瞬間的に強大な爆発力を生み出すアイテム。

使用者に「戦意(モラール)+10」「移動力+3」「移動後にMAP兵器以外の全ての武器を使用可能」「命中率100%」「被ダメージ1/8」「与ダメージ2倍」の効果を与える。

消耗品だが充填して再利用可能。



『こんな希少品が有るとは‥‥。だがこれでいけるな』

 そう言うとモニターを操作し、装備していた他の強化パーツの機能も解放した。


 損傷が塞がり、ダメージが回復する。

 増設された装備用の枠に入れて来た、豊富なアイテムによって。



・カスタムボーナス(Eムーンシャドゥ)

強化パーツのスロット+1



 さらにスピリットコマンドで己の戦意(モラール)を上げ、ノブは叫ぶ。

『魔王剣‥‥!』


 ムーンシャドゥが剣を抜いた。深紅の刃が妖しく輝く。

 それを叩きつけるように、一刀両断!

 火花をあげて結晶のような怪獣の体が砕け、割れ、切り裂かれる!


 シャドゥのモニターに表示された敵へのダメージ、14000以上‥‥!


 怪獣が爆発した。

 立ち昇る炎を前に、シャドゥは剣を納める。


「リュウラ。終わりましたわ。もう魔王軍には‥‥」

 レイシェルは周囲に呼び掛けた。

 しかし‥‥返事はない。


 ジルコニアが「キシシ」と笑った。

『逃げたみたいだな。これからどうするのやら』

設定解説


・Cオーウォー


元々は魔王軍海戦大隊の所有する、空水両用艦。

カツオノエボシを模して造られており、高い水中適応能力を有する。

戦闘となれば毒針を多数撃ち出すニードル砲で戦うが、その真価は長い触手にある。

触手はフレキシブルかつ精密な動きが可能で、艦長の格闘戦能力を発揮できるうえ、味方機へのアイテム譲渡に使う事もできるのだ。

触手の中を通るパイプを利用し、潜水しながらのシュノーケル代わりや水棲生物を捕獲して艦内に捕獲、逆に艦内から廃品や汚物を不法投棄する事もでき、長期間の潜水行動を可能としている。


基礎ステータス(強化改造や装備するアイテムにより、この数値は変化する)

HP:14000 EN:200 装甲:1200 運動:70 照準:145

射 ニードル砲    攻撃3300 射程2―6

格 触手       攻撃4000 射程P1―3

格 舞葬琉拳落天乱鞭 攻撃4500 射程P1―2

特殊能力:パーツ供給

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― 新着の感想 ―
[一言] 当然と言えば当然なんですが、この艦の本分は潜水艦ですね。
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