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21 宿泊 6

30周年も終わりですな。

来年もよろしくお願い申し上げます。

今年最後の日だがノブとレイシェルの戦いは続く。

「この機体はDD式分類方でいう回避防御型だからな。高攻撃力を発揮しようと思えば、燃費は無視して大量のエネルギーを武装へ回し続けるしかない」

 平然と言うノブ。

 Eムーンシャドゥの高攻撃力の秘密――カスタム機でも中堅以上とされる大出力武器()()積んでいないのである。


『よくそんな欠陥機を造りましたわね!? わかりましたわよ、私一人で戦いますわよ!』

 憤慨したレイシェルは一人で怪獣へ立ち向かう。


 モニターには怪獣の名前【アシッドワーム】が既に表示されていた。

 だが細かい能力はまだわからない。

 環形動物のような滑った肌の、所々にカビのような物が付着して斑模様になっている。ずんぐりした体型、太い腕と足、長い尾。首も長く、頭には目も鼻も無く、ミミズが胴体から生えているかのようだ。だが先端には環状の口があり、凶悪な牙が生えていた。


 その不気味な魔獣に、レイシェルは攻撃を放つ。

『【光熱の領域、第一の段位。輝きは熱の線となる。光は敵を灼く】――エナジーブラスト!』

 Sエストックナイトの掌から熱線が迸り、怪獣アシッドワームの皮膚を焼いた!


 だが焦げた皮がぼろぼろと剥がれ落ち、その下に新たな皮が張る。

『くっ……なんて再生能力ですの』

 焦るレイシェル。

 グスタは声をあげて笑った。

『HP回復(大)だ! 一定以上の攻撃力が無いと絶対に勝てないんだよ! 雑兵相手に消耗しちまって残念だったな!」


 グスタの声に応えるかのように、アシッドワームは口から飛沫を吐き出す。

 慌てて回避行動に移るレイシェル機だったが、まき散らされる飛沫を避けるのは困難だ。機体の一部に浴びてしまい――装甲が煙をあげて腐食していく!


 怪獣の後方で腕組みしながら見物しているグスタの兵士巨人機Bソードアーミー。

「シシシ……なんだアイツ。脳味噌にシワ有るじゃん」

 笑うジルコニア。

 雑兵を捨て駒にし、消耗を誘ってから再生能力の高い駒をぶつけてきた事を言っているのだ。

 それが聞こえたようで、通信機ごしにグスタが怒鳴る。

『無いのはテメェらの勝ち目だろ!』


 だがノブは落ち着いて言った。

「勝てるさ。僕はまだ戦えるからな」


 そして、レイシェルとグスタは見た。

 各自の機体のモニターで、ノブのムーンシャドゥのデータを。そのENが一瞬にして()()()()()()()のを……!


『な? どういう事だ?』

 狼狽えるグスタに、ノブは当然のように言う。

「味方1機のENと全弾を完全回復させるスピリットコマンド【サプライ】だ。僕がこれを使える事前提でムーンシャドゥは調整されている」


 絶句するグスタ。

 だがなんとか気を取り直し、乾いた笑い声を漏らした。

『は、はは……かなり高度なコマンドじゃねぇか。嘘だろ? 本当だとしても、SP消費は激しいし戦意(モラール)は下がる。知ってるんだぜ』


「だが僕には【SP回復】のスキルも、戦意(モラール)上昇のコマンド【エナジー】もある」

 ノブが言うと、ムーンシャドゥの全身が淡く光った。


 モニターに映るシャドゥのデータの、戦意(モラール)の値がみるみる上がる。


『なっ……狡いだろ!』

 抗議の声をあげるグスタ。

 だがノブは事も無げに言った。

「Eムーンシャドゥは僕に合わせて調整された、僕が乗る事で理論上無限に近い継戦能力を持つ機体……ただそれだけの事だ。そしてENと戦意が十分にある今、再生能力を討ち破る武器も使える」

 シャドゥがマントの陰から抜き放つ。

 それは一振りの剣だった!

設定解説


・スピリットコマンド

精神の力で起こす、一種の魔法みたいなもの。バフや回復の効果が多い。

優秀なコマンドが使えるなら、能力値以上の強さが発揮される。ある意味ではケイオス・ウォリアーの操縦者にとって最も重要な能力。


※良い例

他者への強力な支援コマンドを持っているので、本人が弱くてもそれ以上に部隊へ貢献できる。

この場合は修理・補給等を受け持つ事で有能な一軍となる。


※悪い例

命中値が低いのに命中率補正コマンドを持っていない。

この場合は二軍としてベンチに寝転ぶハメになる。


ただしSPスピリットポイントを消耗するので、無制限に使えるわけではない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いや、この人、ガチでチート主人公なんですが(笑)。
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