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鬼絵巻 〜恋ぞつもりて 鬼巡る〜  作者: 星野アキト
第11章 〜夢の終わり〜

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やるべきこと

「ーーごめんね。話だけしてあんまり三人の力になれなくて」

 遠夜の正面に座る明音も申し訳なさそうに謝ってきた。

「いや、二人が謝る必要なんてあらへんよ。二人は陰陽院の人やないし、それこそ元々のスタンスを貫きはっとるだけやから。でも一つ俺からも確認してええですか?」

「確認?」

 佳の言葉に明音が首を傾げさせる。

「はい。お二人が傍観者でいることはええんですけど、それはこれまで通り一定の手助けもしてくれはる、と捉えてもええんですか?」

「うん、それは出来ると思う」

 明音からの返事に佳がホッと胸を撫で下ろす。

「それを訊いてくるって事は、俺たちに何か頼みがあるのか?」

 冷静な声音で遠夜が佳に尋ねてくる。佳はそんな遠夜を「鋭い」と思いながら、静かに頭を頷かせた。

「俺のさっき話した案件でもう一つ、話さなアカンことがあるんです。実は、䰠宮儚さんが陰陽院に捕まっていて。朔月さんの優れた嗅覚で探して貰えないでしょうか? さっき向こうに居た時も捜索術を試していたんですけど……その術には引っかからなくて」

 佳がそれを話し終えると、彩香と隆盛が大きく目を見開いてから、捲したてる様に佳へと口を開いてきた。

「祝部君っ! どうして、そんな大事な事を言ってくれなかったんですか!?」

「そうだ! そんな状況だったら早く見つけださねぇーとマズイだろっ! むしろここに居る場合じゃないじゃんか!」

「二人の気持ちも分かる。けど俺からしても何の準備もできないまま事を大きくしたくなかったんよ。俺たちが下手に大きく動いて、紫陽さんたちに警戒されても嫌やったし」

 申し訳なさそうな表情で佳が話すと、慌てていた彩香と隆盛が静かになる。

「確かに祝部君の言う通りですね。変に焦っても良い結果は生まれません」

 半ば自分自身に言い聞かせるように、彩香が返事をしてきた。

 しかし彩香の隣にいる隆盛は、不服そうな表情を浮かべている。

「住吉は何か引っ掛かってはるみたいやけど、どういう所が気になる?」

「別に……祝部にどうのこうのって訳じゃねぇーよ。ただ、何か話を聞けば聞くほど腹が立って仕方ねぇーんだよ。紫陽たちの腹黒さを見抜けなかったのにも腹立つし」

 胸の前で腕を組みながら、隆盛は臍を曲げていた。

 そんな隆盛に対して、遠夜が肩を竦めさせる。

「お前が見破れていたら、そもそもこの状況になってないだろうな」

「はい。私もそう思います。腹が立つ隆盛の気持ちも分かりますが、今は怒っていても仕方ないでしょう。取り敢えず、さっきの祝部君の言葉で私たちがするべき事は決まったんですから、今はそれで、良しとしましょう」

「そうそう。彩香ちゃんの言う通りだよ。それこそ䰠宮の人たちを見つける事には、私たちも協力するし。ねっ、遠夜?」

 明音の言葉に遠夜が静かに頷き返す。

 人よりも嗅覚が優れている遠夜ならば、自分たちでは見抜けない儚の痕跡も掴めるはずだ。

それに遠夜が持つ嗅覚を使っての捜索ならば、紫陽に勘付かれる心配も薄い。

「ありがとうございます。ホンマに助かります」

「よしっ! 俺は何が何でも䰠宮の親戚を見つけ出す! そんで䰠宮たちに引き渡す! このまま紫陽たちにやられっぱなしは、絶対に嫌だしな!」

 佳が遠夜たちに頭を下げる横で、隆盛が新たな決意を口にし、そのまま手を付けていなかった酒粕あんトーストを大口で食べ始めた。

 そんな隆盛に触発されたように、佳と彩香も注文した物を急いで食べ始めた。

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