第三十七章 唯一の誤算
第37章「唯一の誤算」です。
完璧に進んでいるように見えた計画。
しかし――
そこには、一つだけ想定外の出来事がありました。
なぜ、彼女だけが違う記憶を持っていたのか。
そして、その記憶が意味するものとは――。
それでは、どうぞ。
女子生徒「……でも、私は。」
「私だけは、本当の先生の記憶を戻していったのはなぜ?」
――高橋は、しばらく黙っていた。
そして――
静かに口を開く。
高橋「そう……。」
「そこが、俺の唯一の誤算だった。」
女子生徒「……誤算?」
高橋「あぁ。」
「まさか修学旅行当日――」
「バスに乗っていない生徒がいるとは思わなかった。」
――高橋は、女子生徒を見つめる。
高橋「水野から聞いたよ。」
「君は事故現場から少し離れた場所で意識を失った。」
「そして――」
「他の生徒たちとは違う病院に運ばれた。」
女子生徒「…………。」
高橋「だから、君だけは――」
「本来の記憶を取り戻していった。」
「通常の治療を受けていたからだ。」
――高橋は、ゆっくりと続ける。
高橋「この治療は、本来――」
「失われた記憶を取り戻すためのものだった。」
「俺はそこに目をつけた。」
「生徒たちが運ばれた病院に――」
「俺が改造したプログラムを提供した。」
女子生徒「……改造プログラム?」
高橋「あぁ。」
「医師には、新しい治療プログラムだと説明した。」
「俺が以前、開発に関わっていたこともあって――」
「医師は、疑うことなく受け入れたよ。」
――高橋は、わずかに笑う。
高橋「まさか――」
「俺が改造したものだとは知らずにな。」
――生徒たちは、言葉を失う。
女子生徒「じゃあ……。」
「私が本当の記憶を取り戻していったのは……」
高橋「あぁ。」
「君だけが、別の病院で通常の治療を受けたからだ。」
「そして――」
「君が本来の記憶を取り戻したことも。」
「全て、俺の計画にはなかった。」
――女子生徒は、呆然と高橋を見つめる。
高橋「……つまり。」
「君は――」
「俺の計画における、唯一の誤算だったんだ。」
第37章を読んでいただき、ありがとうございます!
計画の中で起きていた、たった一つの「誤算」。
それは、偶然によって生まれたものでした。
しかし――
その小さな誤算が、少しずつ計画そのものを揺るがしていきます。
ここまで積み重なってきた謎も、いよいよ一つに繋がり始めました。
果たして、この先に待っている真実とは――。
引き続き、楽しんでいただけたら嬉しいです!




