第三十六章 記憶への干渉
第36章「記憶への干渉」です。
なぜ、生徒たちの記憶は変わってしまったのか。
そして――
このゲームには、どんな目的があったのか。
少しずつ明らかになっていく、その仕組み。
しかし、その先に待っていたのは――
生徒たちが想像していた以上に恐ろしいものでした。
それでは、どうぞ。
水野「記憶に干渉……だと……?」
「そんなこと……本当に可能なのか……?」
高橋「あぁ……。」
「可能だ。」
――水野は、信じられないという表情で高橋を見つめる。
水野「……一体、何をするつもりなんだ……?」
高橋「俺が昔、開発に関わったVR型の医療機器。」
「あれは、ただ映像を見せるためのものじゃない。」
「脳に刺激を与え、記憶や認知に作用させる技術だ。」
――高橋は、生徒たちを見る。
高橋「俺は、それを利用することにした。」
「事故で生き残った生徒たちに――」
「VRの治療を受けさせる。」
女子生徒「でも……」
「記憶を失った生徒の治療と――」
「私たちの記憶を変えることに、何の関係があるの……?」
高橋「記憶は、思い出すたびに脳の中で再構成される。」
「ならば――」
「その再構成に干渉することができれば。」
「失われた記憶を補うことも。」
「新しい記憶を植え付けることも――」
「理論上は可能になる。」
――生徒たちの表情が変わる。
水野「……まさか。」
高橋「あぁ。」
「俺は、生徒たちの記憶を書き換えることにした。」
――その言葉が、静かな空間に響く。
女子生徒「……私たちの記憶を……?」
高橋「あぁ。」
「事故の記憶だけじゃない。」
「お前たちが経験してきたこと。」
「教師との関係も。」
「俺自身についての記憶も。」
「全てを作り直す。」
水野「……それが。」
「このゲームの目的なのか……?」
高橋「そうだ。」
「お前たちには――」
「自分たちの記憶を取り戻してもらう。」
「そして、その過程で――」
「俺が用意した記憶を受け入れてもらう。」
――水野は険しい表情を浮かべる。
水野「……お前は。」
「生徒たちの人生そのものを――」
「自分の手で作り直そうとしているのか……?」
高橋「…………。」
「違う。」
「俺は――」
「生徒たちを守ろうとしているんだ。」
――その言葉に。
生徒たちは、言葉を失った。
――高橋にとって。
この計画は――
復讐ではなかった。
少なくとも。
本人は、そう信じていた。
第36章を読んでいただき、ありがとうございます!
ついに、生徒たちの記憶に何が起きていたのかが明らかになりました。
記憶を取り戻すためのゲーム。
そのはずだったものが――
実は、別の目的を持っていた。
そして、それを行った本人は、それを「生徒たちを守るため」だと信じています。
果たして、その考えは本当に正しいのでしょうか。
次章では、計画に生じた「誤算」が明らかになります。
引き続き、楽しんでいただけたら嬉しいです!




