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授業参観です!

 勇気が日乃理にサイボーグだと明かして二ヶ月が経ち、地球に帰ってきて四ヶ月がた。

 親にも学校に行って良いよと快く言ってもらい、勇気は日乃理と同じ学校を目指すことが決まった。

 最初は自分に搭載された機能があるので、余裕です! なんて思っていた勇気だが、勇気にそれは止めようよと、真剣に言われたので、辞める事にした。

 だが、勇気は勉強ができないことはない、宇宙にいた頃、流石に地球に戻った時に、困ると言うことで、参考書とかを夏に送ってもらっていたのだ。

 それなら漫画も良いじゃなのかと思って勇気は問い詰めたことがあるが、無理と言われ勇気は諦めた。

 勉強は暇な時にやる気が出たらちょくちょくやっていたので、十年もあれば結構身についていた。

 特に数学なんかは結構暇つぶしになり、いざとなれば答えは計算できるので、ほとんど毎日やっていた。

 なので、目指している学校には、普通にいけるくらいの知能はある。


 最近は勇気と会う時、最初に勉強してからゲームをしている。


「勇気、今日も日乃理君と遊ぶの?」


「まだ決まってませんけど? 何かあるんですか?」


 今日は日乃理と遊ぼうとは思っていたが、予定は立てていない、これから言おうとしていたところだ。


 勇気は夏にいつもは聞かれない質問をされたので、何かあるのかと思い聞いてみる。


「今日有事の授業参観があるのよ、だから、一緒に行かないかと思って」


「良いんですか!」


 そりゃもちろん言ってみたい、有事が学校ではどんな姿なのかが気になる。


「そりゃもちろん良いわよ、サプライズになるわよ!」


「行きます行きます! 絶対行きます!」


「じゃあ用意してちょうだい」


「はい!」


 そして、今日の予定が決まり、勇気は着替えるために自分の部屋に行こうとすると、


「あ、私も部屋に行って良い?」


 そう夏が勇気に聞く。


「良いですけど、なんでですか?」


 普段夏が部屋に入ろうとすることなんてないので勇気も少し気になって聞く。


「まあ一旦入りましょう」


 そう、答えを後回しにされて、二人は勇気の部屋に入る。


「で、何をするんですか?」


 勇気は改めて何故部屋に入りたかったのかを聞く。


「服を私が選んであげようかと思って。勇気いっつも長袖に長ズボンじゃない? せっかく可愛らしいのも買ったのに」


「そう言う事ですか、けどやっぱり恥ずかしいです」


 勇気は可愛い服は着ない。

 何故着ないのかは元々男の影響が強く、ワンピースやスカートなどの服も最初に買ってもらったが、やっぱり恥ずかしく思ってしまう。


「うーーん、なら外には出なくて良いからここでだけでも着てくれない? さっかく買ったんだし」


 少ししょんぼりと夏は言う。


「わ、わかりました。けど一着だけですよ?」


 勇気的にも買ってもらったのに一度も着ないのは申し訳ないので、しぶしぶ着る事にする。


「ありがとうね!」


 嬉しそうに夏は言い、クローゼットにある服を選び出す。


「じゃあこれね」


 そして、服を選び終えると、勇気に服を渡す。


「わ、分かりました」


 選ばれたのは白い服と、リボンのついた羽織る服、そして膝上くらいになるであろう可愛らしい赤いチェック柄のスカートだ。


 これを私が着るんですか。恥ずかしいですよ!


「じゃあ外で待っていてください」


 だが、申し訳なさがあるので、断りはしない。

 そう言い夏を外に待たせると、勇気は顔を赤くして着替えを始める。

 そして着替え終わって、二分ほど葛藤した後に、覚悟を決めて夏を呼ぶ。


「あら! 可愛いじゃないの! 似合ってるわよ!」


「も、もういいですか? 親の前で女装してるみたいなもんなんですよ!」


 今は女だが、女になってからも可愛らしい服は着たことがない為、気持ち的には女装と変わらない。


「じゃあ写真だけ撮らしてちょうだい!」


「撮ったら終わりですからね!」


 そして10枚くらい撮られると、撮影が終わる。 因みにポーズ指定もされたが流石に断った。

 その後勇気は直ぐにいつもの外に出る格好になり、準備を始める。




♢♢



「ここが有事が通っている小学校ですか!」


 勇気と夏は近いので歩いて小学校まで来る。


 この小学校は比較的最近にリフォームされており、結構綺麗だ。


「じゃあ入りましょう」


 そうしてスリッパを履いて、二階の四年生の教室に向かいだす。

 各学年の教室の前には数十人の親が集まっており授業が始まる前に、親同士で話している。


「夏ちゃんじゃない! 久しぶりねぇ!」


「真由ちゃん久しぶり! 所で雷人くんはどうなの?」


「もう、遊ぶばっかで勉強なんてほとんどしないのよ。だから塾行かそうかと思ってるの」


 お母さん同士の会話が始まりましたね。


 教室の前に行くと直ぐに夏は話しかけられて、話し出す。

 こうなると話に入らない勇気は少し気まずい。

 なので有事でも見ていようと探そうとした時、


「そう言えばそな子は?」


 夏の横にいる勇気を見て、関係性のある人だろうと分かったようで、真由は夏に聞く。


「そうそう、今日は娘を連れてきたの」


「勇気です! よろしくお願いします!」


 夏の紹介に合わせて、勇気はハキハキと名前を言う。


「ええ! 夏ちゃん、娘いたの!?」


「そうなの、最近また一緒に暮らすようになったのよぉ」


「え、そうなの? まだ学生よね?」


「次高校生なの、今は中学校通ってないけど、高校は行くんだって」


 夏はいま平日なので学校の事について聞かれると思い、先に学校は今通っていないことを言う。


「あ、そうなのね。何かあったの?」


「うーん……まあちょっとね」


 ここで宇宙人に攫われてたなんて言えない、かと言って嘘をつくのは少し申し訳ないので、夏は少し濁す。


「ああ、そうなのね」


 夏の言葉に何かあったのだろうと思い、これ以上聞く訳にもいかず、少し気まずい間が生まれる。


「そ、それにしても、勇気ちゃん可愛いじゃない? いい子そうだし高校行ったら絶対モテるよ」


 雰囲気を変えるべく、真由が話を変える。


「あ、あがとうございます」


 勇気は可愛いとは言われ慣れていないので少し照れる。


「いやいや、勇気にはもう決めてる人がいるものね?」

 

「お母さん、だからあれは違います!」


 突然夏に言われて勇気は全力で否定する。


「日乃理君はそう言うんじゃ有りません! 仲のいい友達です!」


「本当かしら?」


「お母さん!」


 絶対信じてないですよ!


 勇気は二ヶ月前の事を時々夏にいじられている。

 勇気的には言われると照れてしまうのでやめて欲しい。


「あー、そうなのね、それは頑張ってね!」


「だから違います! あ」 


 勇気が否定すると、チャイムが鳴り、教室が静かになる。


「規律! よろしくお願いします!」


「「「「よろしくお願いします!」」」」


 そして生徒たちが元気よくそう言い、授業が始まる。



♢♢



「なんで姉ちゃん来てんの!」


 授業が終わると有事が不機嫌そうにこちらに歩いてくる。

 有事は親でも少し恥ずかしかなってきているのに、後ろにニッコリと楽しそうに自分を見ている姉がいたら尚更居心地が悪い。

 それに、後ろをチラッと向いたら更に笑顔になって、小さく手を振ってくる。有事は今までの授業参観よりもずっと落ち着かなかった。


「サプライズです! 驚きました?」


「最悪だった!」


 直ぐに即答する。来るのはまだ許せるのだ。

 だが手を振るのは辞めて欲しかった。


「なんでですか! 見るくらい良いじゃないですか!」


「見るなら良いけど、手を振ったりしないでよ!」


 有事がそう言うと勇気は黙る。

 勇気は、母親とかに手を振られても嬉しいと思っていたが、有事にとっては違うと理解した。


「ごめんなさい」


 私はまだ有事の事を分かっていませんね。このままでは有事に嫌われてしまうかもしれません。気をつけましょう。


 勇気も気をつける事にする。

 有事を揶揄ったり嫌がらせをしようとは余り思っていない。

 勇気は有事に好かれたいのだ。それの遠回りになるような事は出来るだけ辞めておきたい。


「ま、まあ次から気をつけてよ」


「はい」


 有事も勇気が反省していると分かっており、今回は直ぐに許す事にする。

 それに流石にここじゃしないだろうが。許さなかったら勇気は騒ぐ可能性もある。


「なあ有事、その人有事のお姉ちゃん?」


「え? ああ、うん、そうだよ」


 急に後ろから、吊り目の少年が出てくる。


「ほら雷人、挨拶しなさい」


「チッ」


 この人が真由さんの子供の雷人君ですか。


 

 見る感じ反抗期なのだろう。真由の言葉を聞いたら不機嫌そうに舌打ちをしている。

 勇気はここまでの反抗期になったことがない為、余り反抗期の気持ちがわからない。


「こら! 舌打ちなんかするもんじゃないでしょ!」


「ふんっ!」


 当然真由は怒るが、反抗期の雷人はそっぽを向いてしまう。

 そこに、気を遣った有事がゲームの話題を雷人に振って、機嫌を取り直し、楽しそうに話し出す。


「もう、本当に大変よね? 反抗期」


「それが有事はまだ来てないし、勇気は反抗期はあったけど結構、て言うか分からないくらい軽めだったから大変と思った事はないのよ」


「え! そうなの? 羨ましいわぁ」


 真由は夏をキラキラと目を輝かして夏を見る。自分の二人いる子供は上の方はもう起こしてないが、どちらも結構な反抗期になっているので、一人でも軽い反抗期が、いる事は羨ましかった。


「私は一回くらい普通くらいのを体験してみるのも良いかなと思ってるんだけどね」


「私も一回目はそんな気持ちだったけど、二回目はもう体験してるから大変なだけよ」


 そう、ママ二人のトークが盛り上がり始める。

 数分すると、続々と帰りだし、夏と真由も帰る雰囲気になる。


「じゃあお母さんはそろそろ帰るから、良い子にするのよ、雷人」


「…………」


「分かったわね?」


「チッ」


 反応しない雷人に真由が聞くと、再び舌打ちをする。


「はぁ」


 ため息を吐いて教室を出て行き、真由は夏が来るのをまつ。


「じゃあ勇気、私たちも帰るよ」


「ちょっと待ってください!」


 最後にこれは言っておきましょう。


 勇気は雷人に言っておきたいことがあった。


「雷人君!」


「え? あ、何?」


 急に話したこともない勇気に呼び止められた雷人は少し戸惑う。

 そして、勇気は雷人の前に行くと身長を合わせる為少ししゃがむ。


「別に反抗期なのは良いですけど、無視なんかは良くないです。余りお母さんを困らせ過ぎないようにしてくださいね?」


 勇気は優しく微笑みかける。

 反抗期は成長の証だ。困らせるのもしょうがないのだろう。

 だが、真由も結構困ってそうだったので、少し注意する事にした。

 

「えっと、わ、分かった!」


「有難うございます」


 少し辿々しいですが、ちょっとは分かってくれましたかね。


 そうして勇気は夏の下に帰っていく。

 当然雷人が、顔を真っ赤に染めてこっちを目で追っている事には気づく事なく。


「勇気、結構やるのね」


「そ、そうですかね?」


 そんなに言い方が良かったんでしょうか、それならいいんですけど。


 夏の下に戻ると勇気はまず、そう言われる。

 勇気も、手応えはあったが、本当にあの言い方で良かったかは分かっていなかったので安心する。

 だが夏はそう言う意味であったわけではない。


「そうそう、好きな人がいるなら勇気ちゃんモテるから覚悟しておいたほうが良いわよ、絶対何人か振る事になるから」


「いや、そもそも好きな人がいないんですけど」


「そう? でも多分振る事には変わらないからね」


 多分これも信じてないのだうと勇気はなんとなく分かる。


「分かりました。あと本当に違いますからね?」


 そして、その後夏と真由が少し、と言っても十分程話して、勇気と夏は歩いて帰り始める。


 歩き始めて五分くらいすると、見覚えのある人、日乃理が向こうから歩いてくる。


「あれ? 日乃理君じゃないですか!」


「あ、勇気、今帰ってるの?」


「はい! そうです!」


 日乃理には事前に授業参観に行くので今日は遊ばないと伝えてあるので、夏と一緒にいることもあり、帰ってる途中だと分かっているのだ。


「何かやらかしてないよな?」


「ほんのちょっとだけですけど、まあ謝りましたし大丈夫です」


「それならまだ良いか」


 日乃理もこの反応は本当のことを言っていると分かり必要に攻める事はしない。


「あ、そうそう、見てこれ、可愛いでしょ」


 スッと、夏は日乃理の前に携帯に映っている画像を見せる。

 なんの画像かと言うと、授業参観に行く前に勇気が一度着た服の画像だ。


「え!?」


 日乃理もまさかの画像に少し戸惑いどう言う反応をしたら良いかと黙る。


「え? 何見せてるんで、て、何見せてるんですか!?」


 勇気は夏のスマホの画像を見て顔を赤くする。

 母親ですら恥ずかしいのに、友達に見せられてしまうとさらに恥ずかしくなってしまう。


「良いじゃないの、似合ってるんだから」


「似合っててもダメです! 日乃理君、こ、これは違いますからね、私の意思できたわけじゃないですからね!」


 勇気は間違われないように自分からではないと必死で日乃理に言う。


「う、うんそっか……」


 気まずい時間が流れる。誰も何も言わない。勇気と日乃理も黙り込んでしまう。

 その時、勇気がオドオドと口を開く。


「そ、その、感想、聞かせてください」


 それを言うとさらに勇気は顔を真っ赤にし、モジモジする。


 なんで私はそんな事を聞いてるんですか! 別に感想なんてどうでも良いじゃないですか!


 自分でもなぜ聞いたか分からなかった。

 多分、外で着る事はないのだ。

 だが、聞かずにはいられなかった。


「か、可愛いんじゃないの?」


「っ!」


 さらに勇気は湯気が出るんじゃないかと言うほど顔が熱く真っ赤になる。


 なんで、いや違います。


 恥ずかしいだけなのに嬉しがっている自分に気がつくが、勇気は信じない。


「あらぁ、ラブラブじゃないの!」


「「違います!」」


 夏の言葉に二人は同時に否定する。


 その後、日乃理がゲームセンターに行く予定で歩いていたと知り、夏の押しもあり、勇気もついていく事になった。

 ゲームセンターに行くまでは少し気まずかったが、ゲームを始めてからその気まずさも自然と消えた。

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