試験です!
「日乃理君!行きましょう!」
「うん、行こう!」
勇気が帰ってきて大体半年が経った。
そして今日が受験当日だ。
勉強を本格的に始めて四ヶ月が経ち、勇気も結構頑張り、普通に行けば合格は出来るラインには持っていくことが出来た。
受験まで一ヶ月を切ると面接練習も初めて、そっちもまとめることが出来た。
高校までは徒歩で行けるので、二人で受験会場まで歩いていく事にしている。
そして、高校の近くまでつくと一応身だしなみをチェックをして、終えると学校に向けて歩き出す。
「じゃあ日乃理くん、頑張ってくださいね」
「勇気もな」
もっと近くまで来て、そろそろ学校が見え始めると思った時に勇気はそう言って話すのを辞める、そして、少しすると学校に入り、受験が始まる。
♢♢
「終わりましたね!!」
二日間が終了し、家に帰るとまず夏と話して、先に帰って勇気の部屋まで来ている日乃理と再び会う。
二日間合わせて手応えがある。達成感がある。ここ四ヶ月の頑張りが報われた気がした。
「そうだね、で、どうだっの?」
「たぶん大丈夫です!」
勇気は自慢げにドヤ顔で言う。面接は結構サラサラ言えた。
「日乃理君はどうだったんですか?」
そして勇気は一応日乃理に聞いてみる。
「絶対大丈夫だね!」
日乃理も手応えバッチしのようで、ほとんど確信しているようだ。
「なら良かったです! それと今日夜パーティーするかもって言ってたんですけど日乃理君の親も誘ってどうです?」
今日は受験が終わったので、お寿司でも食べよう、みたいな話になっており日乃理や日乃理の家族も誘う流れになっていた。
「あーけどそれは合格かどうか通知が来てからにしようよ」
「そうですね! そうしましょう!」
結果が分かって次のことが決まったらの方がいいですよね!
今日は自分たちの家で食べる事に決めて、あとは少し勉強をしたりゲームをした。
♢♢
受験から一週間が経った今日、合格通知が来る日だ。
「ど、どうなんですか?」
緊張します。受かってますよね? いや、大丈夫、大丈夫です!
勇気は心を落ち着かせる。昨日の夜から落ち着かず、ほとんど寝れていない、そして心の準備なんて当然出来ていない。
「じゃあ言うわよ?」
「ちっとまってください!!」
「ふふ、えー、勇気の結果はーー!!」
ここで待ったとしても、中々結果を見れないのを夏は知っているので、止められても止まらずに言う事にする。
この雰囲気の時点で気づかない勇気には少し笑ってしまうが、
「合格よ!」
「あーー! とええ!?」
直前までのちょっと待って欲しい感情と途端に来た嬉しい感情が混じって変な反応になってしまう。
「おめでとう! 良かったわね!」
「は、はい!」
取り敢えず受験は成功したのだ。
ピンポーン
その時ちょうど家のインターホンがなる。日乃理がきたのだろう。
今日は合否が出る日なので早めに集まる予定だったのだ。
そしてたとえ落ちてたとしても恨みっこなしという話だ。
「はーーい!」
出来るだけ早く玄関に掛けて行き、ドアを開ける。
「日乃理君! 結果、どうだったんですか!」
日乃理と分かるや否やすぐに日乃理が落ちている可能性もあるのに、テンション高く結果を聞く。
「うん! 受かったよ!」
日乃理も今日は結構テンションが高い。
それも当然で、中1の頃から、最近まで一人で頑張って来たのだ。それに勇気と行けるとなると更に嬉しい。
「勇気は、いや聞かなくても分かるね」
「はい! 受かりました!」
「おおっと、」
そうして、勇気は日乃理に抱きつく。
日乃理も正直抱きつかれるのは予想していた為、戸惑わないと言えば嘘になるが、嬉しさの方が勝っている。
そして数秒すると日乃理から離れる。
「じゃあ今からゲームでもします?」
「それは少し早いんじゃないか?」
「うーん、まあそうですよね」
今はまだ全然早朝な為、ゲームをしたら結構な時間になる。
なので何か違うことでもと考えてみる。
「まあ一旦ゲームしましょうよ」
「何も出なかったな?」
「い、良いんです! 靴脱いでください! 行きますよ!」
数秒考え、思いつかなかったので、一旦ゲームという事にする。
靴を脱がせ、多少強引になりながらも、日乃理を引っ張っていく。
日乃理はそれに少し懐かしさを感じながらついて行く。
♢♢
「なんと! 受かりました!」
夜、パーティーを終え、もう日乃理達も帰った時、勇気は電波越しにそう言う。
「おお! よくやったじゃねえか!」
電波の相手はユーノで、今までも受験のことは話している為、勇気がどれだけ学校に行きたがっていたかを知っている。
「はい! 本当にもう楽しみで仕方ないですよ!
それとありがとうございます! 高校に行けるのもユーノさんのおかげみたいなものですから」
ユーノは勇気が地球に帰る際に、いろいろ手を回してくれており、勇気が普通に暮らせるようにと、三月に中学卒業扱いにしてくれている。
なので高校にも通えるのだ。
「そんな事ないだろ、そもそも俺たちが攫ったからリノコが高校に行きたいって言ったんだから」
「そんなの関係ないです! ユーノさんが攫いたかったわけじゃないのは分かってますし、ユーノさんが言わなければ高校も行けなかったのも分かってますから」
攫われた件にユーノは関係ないと勇気は知っている。
なので面倒を見てくれたユーノには申し訳ない気持ちは持ってほしくない。
「そうか、それはありがとな、……まあ今日は嬉しい日じゃないか、俺もリノコが楽しそうで嬉しいな」
ユーノは話の流れを変える。暗い話は勇気に余りするもんじゃないと思っているから。
「そうですね! 今からどう言う事になるか想像が膨らみます!」
「そうか、あと楽しみなのは良いが、十分注意しろよ、学校でバレたりしたら大変だ」
これは勇気も分かっているだろうが一応の念押しだ、勇気には楽しくいて欲しいのだ、バレたら勇気がどれだけ引きずるかが目に浮かぶ。
実際勇気が友達に自分がサイボーグなことを言ったと言われた時は、ヒヤヒヤした。
それで勇気の友達ほど優しくても、恐怖を覚えるのは分かっている。
学校でやってしまうと校内大パニックだろう。
「はい! 本当にそれだけはしません」
「なら良いんだ、じゃあ今日はこのくらいで、次の方向を楽しみにしてるぞ」
「はい! ありがとうございます」
そうして通信は切れる。
「そうですね、楽しいだけじゃ無いですから」
そうだ、夏や日乃理に言われたことがある。
三年間、隠し通さなければならないのだと、
もちろん言っても良いと思えば言う可能性もあるが、それは相当仲良くなってからの話だ。
それにその場合は夏とユーノと日乃理全員に話す。
特に高校が同じ人の場合、日乃理には聞かないといけない。
日乃理はもし勇気に新しい友達が出来た時にその友達を一番近くで見れる勇気のことを分かっている人だから。
「まあ今日は寝ますか」
勇気はもう夜が遅い為寝る事にする。
「ふふふ楽しみです」
勇気はこれから学校生活で何があるかを想像しながら眠りについた。




