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帰る少し前です!

 パン!


「あはは!! 来ましたよぉ!!」


 連れ去られてから九年と11ヶ月三週間、そう、勇気が地球に帰るまで後一週間である。

 勇気は一年ほど前から徐々にテンションが高くなり、今では毎日叫んで、ふくらはぎからクラッカーが鳴ることが増えた。


 体の年齢は十五歳になっていて、身長は百六十センチ程まで成長した。


「勇気、楽しみなのは分かるが、寝てる時に音を立てるのは辞めてくれないか? 後ベットも濡れてるんだよ。もう成長してんだからさ」


「ぬ、濡れてるのは漏らしたとかじゃないですからね! 嬉しさの表れですからね!」


「はいはい」


 ここ最近夜、勇気が寝付けていなかったり、勇気が帰った時の夢を見た時、不意にパンッ! と鳴り、ユーノはその音で起きていた。

 そして、嬉しさを爆発させたのか、部屋が時々濡れている。そしてその量はどんどん増えている。

 今考えてもユーノはこの機能は意味がわからない。もうちょっとなんとかならなかったのかと何度も思っている。


「けど、クラッカーは面白いんですよね?」


「え? ま、まあな」


 そしていつもユーノはこの質問を答える時、少したじろいでいる。

 何故かと言うと、面白いとは思っていないからだ。

 だが勇気が純粋に聞いて来るため、面白くないとは言えなかった。

 そして一回言ってしまうと、取り消すのは申し訳なく、少し罪悪感もあるが、ユーノは嘘をついている。


「えへへ、ヤージュさんにも早く会いたいですね」


 五年前はまだまだ待たないと思いヤージュが居なくなって更に辛くなる時もあったが、今は多分近いうちに会える為、それも楽しみの要員になって居る。


 そして、変わった事があるのだが、宇宙人達は次から話の通じる新しい知的生命体を見つけても、長時間連れ去る行為は禁止になったようだ。

 それは勇気と仲良くなった宇宙人達が講義をして決まった事らしい。

 これは最近決まったことや、宇宙船の予定を帰るのも難しく、勇気が十年居るのは変わらなかったが、これからは勇気みたいなこともなくなるようだ。


「じゃあ最後の手紙だけ書きますか」


 そして、勇気は椅子に座りペンを持つ。

 今日でこの手紙を書くのは最後になる。出来るだけ楽しみの様子が伝わるように書いて。手紙を書き終える。


「あはは! 楽しみです!!」



♢♢



「できたぁ!」


 勇気はユーノには内緒で作っていたネックレスを完成させ、達成感を感じる。

 明日が地球に戻る日と言うこともあり、勇気は急いで完成まで持っていった。


「あとは明日の朝ごはんでも渡しておけば良いですよね」


 朝ごはんは宇宙人の大好物、宇宙虫の為、勇気はこれまでの感謝と共に渡す事にする。決して苦手だからとかではない。


 プシュー


 ネックレスを袋にしまい、少しすると、ユーノが帰って来る。


「もう皆んなに挨拶は終えたな?」


「はい!!!!」


 ヤージュの時とは違い、勇気はユーノだけに見送られる予定だった。

 理由はあの幹部の宇宙人に会いたくないからと、結構な人になりそうだからだ。


 勇気はこの宇宙船の五割の人と結構仲良くなっているため、その半分だけ来たとしても多すぎるのだ。

 その為今日までに全員と話して来た。


「あへ、あはは!! どうしましょう、どうしましょうユーノさん!!!! 明日ですよ明日!」


「分かってるから。うるせえんだよ」


「お母さんとお父さんはどんな姿になってるんでしょうか、弟はどんな姿なんでしょうか! 楽しみです!」


 もうこうなったら勇気は止まらないだろう、まあ仕方のないことだ、明日、十年ぶりに地球へ帰れるのだから。

 ユーノもこれ以上は言わない。


「ほら、準備だ準備、最後の確認に行くぞ!」


「はい!!!!!」



♢♢



「ユーノさん! 最後なんで一緒に寝ましょうよ」


「お前は何歳なんだよ」


「い、良いじゃないですか。最後にユーノなんを楽しみたいです!」


「意味がわからん」


 ユーノは呆れて言くが、ベットに上がって来てくれる。


「ふふふ、やっぱり、ユーノさんは安心します。出来れば撫でていてくれますか?」


 勇気は少し恥ずかしがりながら言う。

 最近は撫でてもらっていなかった。それは勇気が少し恥ずかしいと思っていたからである。だが、やっぱりしてもらいたい時はあった。


「ああ」


 ユーノが撫で始めると、勇気はより一層嬉しそうになる。

 宇宙に来て最初の一日目から勇気はこれが大好きだった。


「ユーノさん、ありがとうございますね。ユーノさんがいなかったら、私は最初、もっとパニックになっていたと思います」


 あの時、ユーノが撫でてくれたから勇気は心を保てていた。

 その記憶は今でも鮮明に思い出せる。


「随分と懐かしいことを言うんだな」


「そうですね」


 本当に懐かしい思い出だ。もう十年も前なのだ。

 だが忘れることはないだろう。大好きなユーノと初めて出会った日なのだから。


「ユーノさん、ちょっと抱きついても良いですか?」


 今日が最後の日、勇気も最後ならと思いもう少し、頼む事にする。


「はぁ、まあ良いか」


「ありがとうございます」


 勇気は抱き枕に抱きつくようにユーノの腕に抱きつく。

 そして、数分するとここ最近の一週間と違い直ぐ眠りについた。



♢♢



「思い出すのも良いものですね」


 勇気は一時間ほど昔のことを考えていた。

 そこでは色々思い出すことがあった気がする。


「はぁ、ユーノさんに会いたくなりました」


 昔のことを考えると無性にユーノと会いたくなった。

 勇気は直ぐにユーノとの通話の準備をする。


「どうした?」


 直ぐに電話がつながり、ユーノの声が聞こえる。その声を聞いただけでも勇気は嬉しくなる。


「ユーノさん! 何か話しましょうよ」


「ふっ、まあ良いだろう」


 この日、勇気はいつもより長めにユーノの通話を楽しんだ。

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