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十年の通信です!

 勇気が宇宙帰る一日前、夏は不意に十年にもわたる勇気との通信を見たくなり地球で自分しか入れていないアプリを開く。

 そのアプリには十年間の通信が全て入っている。

 この通信を夏は何度も何度も何度も何度も、繰り返し繰り返し見ている。

 これしか勇気を感じる事ができないのだ。


「明日帰ってくるんだもんね」


 そしてついに明日待ちに待った勇気が返ってくる日である。

 そんな日の前の日に直ぐに眠れるはずもなくソワソワしていると、夏は通信を見たくなったのだ。


 最初家に宇宙人が家に来て息子を十年預かると言われそれが事実と分かった時、本当に辛かったのを覚えている。

 そして、家族以外誰にも言うなとも言われ、夏は待つしかなかったのだ。


 そして夏はアプリを開き、最初の通信から目を通していく。


――――


 お母さん、お父さんへ、


 私は一応無事です。

 何が起こったかというと宇宙人に連れ去られました。

 そして、サイボーグになり、性別も変わり性格、というか口調が変わりました。

 私は十年間帰れないようです。

 とても寂しいです。ですが、戻ることもできません。お互い寂しいと思いますが、取り敢えず生きています。


              勇気より


――――


 この時、勇気はとても不安だったのだろう。

 紙に染みている涙とその後に送られている勇気の写真を見ると誰だって分かる。


 因みにこう言う勇気の写真は一年単位で送られて来ていて、一年毎の成長がよく分かる。


 そして、次に目に止まったのは一ヶ月後の通信。


――――


 お母さん、お父さんへ


 攫われて一ヶ月が経ちました。

 もう結構慣れ始めました!

 私の担当のお世話係の人とも少し仲良くなれたと思います!

 まだまだ帰るのは先で考えるだけで悲しくなりますが、私は頑張ります!


――――


 通信では文章を紙に書いた写真が送られてくるのだが、最初の数ヶ月はいつも紙に涙が付いていた。

 それを見て夏も泣いていた。


 次に目に止まったのは三ヶ月ほど経った時。


――――


 お母さん、お父さんへ


 無事に弟が産まれたようですね!  早く会いたいです!

 ですがまだまだ会えませんよね。一旦悲しい話は辞めますか。

 今のうちに弟とする事をメモにまとめておきます!

 きっと十年後これを見るとさらに嬉しくなるとおもうので!


――――


 きっとこの時も勇気は辛かっただろう、証拠に久しぶりに涙が紙に染みているのだ。それでも元気に書いているのを見ると少し泣きそうになった。

 そして、次に攫われて一年後の文章が目に止まる。


――――


 あ母さん、お父さんへ、


 今日でちょうど宇宙に来て一年が経ちました!

 正直もう殆ど慣れましたね。

 ユーノさんも最近さらに仲良くなった気がします! そのおかげか最近はよく笑えています。

 不満はいつも言ってますが漫画やゲームがない事です!

 暇です!


              勇気より


――――


「ふふふ」


 これはいつ見ても笑ってしまう。

 最初の方は辛そうだったこともあり、楽しそうな文を見ると安心した。


 そしてそこからは元気になったようで楽しい通信が続く。

 次に目に止まったのは、九年経った時、


――――


 お母さん、お父さんへ


 ついに来ました! 来年には十年帰っていますよ!

 ああ、いま地球ではどうなっているんでしょうか! 有事は元気ですか! お母さんはお父さんは元気ですか!

 因みに私は元気すぎるくらい元気です!


             勇気より


――――


 この時の勇気は文章を見て分かる通り、本当に嬉しかったのだろう。

 そして次々と見ていき、最後に一週間前に来た最後の通信を見る。


――――


 お母さん、お父さんへ


 私はついに帰るのが本当に直ぐそばまで来ました。

 嬉しすぎます! 十年も耐えたと思うと自分でも自分を褒めてあげたいです!

 もうすぐ会えるんですよね? ついに有事と会えるんですよね! それに母さんとお父さんはどうなっているんでしょう!

 楽しみで仕方ありません!


――――


 通信はこれ以降ない。


 明日、と言うかもう夜三時を回っているため今日の話だが、勇気が返ってくるのだ。

 夏も十年間ずっと待ち続けたのだ、楽しみで仕方ないのは勇気だけではない。

 春も同様に寝れていないようで、ずっとソワソワしている。


 ああ、早く来ないだろうか、時間が進むのが遅い気がする。

 十年まった夏達だからこそ、この夜は特別長く感じた。

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