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Ep6:新たなる世界線へ

再構成、再構築、再生のプロセスを既に体現したジグル。

魔核鉱石により、痛みはなく、知識を持ち込むことが出来ている。

そして、支障なく記憶が保たれているのであった。


「成功した」


ブラックホールの中でコトワリに諭されたジグル。闇の住人たる出来事は取り去られた。よって彼は闇の在る只の人間と化したのだが、その才覚は未だに健在だった事には、何者も気付かなかった。只し、一つは魂となって彷徨い、次代の世界線へと向かい、一つは次元を超越した形を取る事となる。そしてもう一つは魔王という立場から集団を結成した闇の形へと降り立った。恐らくジグルにとってパヘクワードでの一件は多大な犠牲の中にある一つの通過点であったことを示す様子。ジグルは散り散りになった残りの3人と再会する予定で、この世界線へと到達したのである。


――――


“ヒュウゥゥウウウ―・・・ゥ、サラサラサラサラ――ァァ・・・”

「これが・・・砂か・・・」

「ジロジロ・・・体の若さを感じる・・・ぞ?」

「足が、上手く動かない・・・年齢的に50歳から42歳くらいに変容」


 僕は砂の性質を手触りで調べた。ここはどうやら水があり、自然があったようだ。草木も人類も居たに違いないことも感じ取れた。その代わり宇宙空間がすぐ迫るように見える事は不思議だった。大気が無いのに酸素がある。酸素があるなら宇宙から水質が降り注ぐはずが、その“いち粒子”も感じ取れなかった。温度があるのに寒さが来ないのでは、ここで生命が存在するとすれば微生物だけになる。その微生物が土に潜ると水質と生命質が存在するところが地下なら、そこを辿って歩くしかなさそうだ。


“ズズ――、ズ、ズリズリィ・・・”

はァ、はぁ、は、ふぅ、重い・・・体だね・・・

ん、ぐぅ、はぁ、は―っ、口が乾いてしまった・・・

ひぃ、ふ―っ、ほぅっ、ん、眼の前が散開している・・・

“ズ、ズリ、ズスウゥ―、ズル、ズル・・・”


 中々、人類が居るような場所へ行きつけない。だけど僕の体は衰えるような感じがしない。なのに重さを感じ口が乾くし視力の問題が現れるという事は、体内の水分量が適切でないことを示している。痛みを感じなくても体の変化には代えられない事が理解できる。時間からして21の時が過ぎている様だ。時間との問題。このままでは倒れてしまう。


“ブゥウロロロ――・・・ロロロォ――・・・”


 何かを擦り進めているかのような音がする。近くに誰かいるのだろうか辺りを見回す。だけど見えない。これが走馬灯というモノなのかと思う。足を引き摺りながら少しずつ歩みを進めるが、何やら台形のような影が見えてくる。これが幻というものなのか。何も無いし近くへ向かおうと考える。この足が進むのは砂の斜面でとても滑りやすくて危うい。


“はぁ、うっ・・・足が釣る・・・ズリ、ズル・・・”

“よし、近付けそう・・・あ、ズシャァァ――ゴロゴロゴロ・・・”

――あ!・・・おい、誰か居るぞォ~~

――あっ、ほんとうだ!今そこへ向かうから待って居ろォ――ッ

“ザッ、ザクッ、ザッ、ザシュッ、ザッシュ、お~い、生きてるかァ?”

“・・・あ・・・ゥ、あはァ・・・”


 ようやく助かったと思えた。どうやら僕を見つけてここまで駆け付けてくれたようだ。彼等3人は僕に“手を取れ”と告げ、僕はその一人の手を取った。体が起こされる。


「あんたは、足が弱いんだな。歩けるのか?」

「少し時間が掛かるが、廃墟街ダス・トリアまで連れて行ってやるよ」

「さァ、乗ったな。行くぞ・・・名前は言えるか?」


 僕は自分の名前を隠しナンバーネームで伝えた。そのネームは№721とした。

すると彼等はこう言った。モノゴトリー協会という場所に連れて行ってやろうと。それまで面倒を見るからとにかくダス・トリアで暫く体を落着かせようと言っている。


 ――この大地は、なんと儚くも愚かで醜く美しいのだろう――


 その空は闇の様に蒼くも儚く遠くにあった。ただジッとこの廃墟で留まるには余りに時間がもったいないと思った。そこでかつて仲間だった者達と会うまでは、暫く情報を集めておく事にしようと考えた。だが暫く過ごしている内にその廃墟の真ん中へ、一人の少女が倒れているのを見掛けたのである。


“サラララァァ――・・・ヒュウウゥ――ウ・・・”

「ここは?・・・わたしは・・・なに?」

「こ、こんにちは・・・名前は・・・無い・・・え、っとォ」

「私の名前は、みへる?・・・ミヘル・・・だね」


 あの時に唯一会えずライト・オブ・ホールに突き落とされた者が居る。何となく出来の悪い人形かと思っていた。だけど、そいつは仲間。洞察力に優れ、己の才に目覚め、やがて女王の側近となる騎士であった。更に記憶が遡り、その時の興奮が止まなくなっている。なぜ、僕を置いて先に行ったのか。なぜ、訳も言わずにこの者をあの女は突き落としたのか、理由を聞く暇も無かった。益々、記憶がはっきりしてきたよ。そして、あらゆる生命体の実験にコレの知識を持ち込んだ。


 姿は違えども性別は変わらない。

 性別は変わらないものの、あの気高さは失われている。

 ねぇ、キミは覚えているだろう?

 僕自身がやってきた事の罪を。

 そして、あの感触を・・・。


「どうした・・・の?」


 えへ、えへへへへぇ~~ふ、うふふふふふふふゥゥ~~!


 パイルの輝き、そしてイラ・ウーズでの科学の密集。

 すべてを継ぎ込んだ、この技術法の数々・・・そしてキミ。


「どこか・・・痛いの?」


 えへ!

 見ィ~付けたぁっ。



サンシャイン―6―理の世界線「ブラックホール」編 ―完―

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