43話 第3フェーズ突入
「な……なんだあいつらは……」
鳩の群れは上空に現れた。
襲われる天使たちの、怒号にも似た叫び声が村中に響き渡る。
だが、問題はそこではない。灰色の鳩の中に目立つ、白色の鳩。正確な数は把握できないが、間違いなく、彼らが鳩を統制している。
「このままではダメだ。奴らを……奴らを倒すぞ!!」
天使たちは、今日も鳩と戦う。
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「マジかよ。こんないいとこで終わるのかよ」
「毎回そうなのよね〜。だから次の巻が待ち遠しくてしょうがないのよ」
俺はエフィルロが買ってきてくれた「私と天使と鳩」の最新巻を読み終わり、早くも次の巻が読みたくなっている。
なんか鳩にも序列があるみたいだ。またさらによくわからなくて面白くなってきた。ルルフィアも最初から読んでいたのだが、数ページをパラパラとめくり読むのを辞めた。あまりにも早いリタイアに驚きが隠せないが、読解力がないとそうなってしまうのだろうか。今は寝ている。怠惰な天使だ。
エルシオはというと、今頃星域で特訓中だ。
ミカエルとの戦いで課題が見つかったのか「剣術を磨くのです!」と言ってゲートに飛び込んでいった。ストイックな天使だ。ジィに稽古をお願いすると言っていたが、ジィはエルシオよりも強いのだろうか。それと、もう少し老体を労って欲しいものだ。ジィ本人も、何度かそう言っていたのを耳にしたことがある。
シルエトもシルエトで、ジィにお世話になっているそうだから、今頃星域だろう。
「この天界を変えるためにできることを探してみる」と、何やら行動しているみたいだが、何をしているのかは謎だ。もしかしたら、エルシオの練習相手にされてボコボコにやられているかもしれない。
なぜシルエトはジィの世話になっているのか。それは、俺が意気込みとして発言をした後の会話で決まったことだ。
フィロがシルエトに「ローズベルクに住むか」と提案したところ、シルエトは「レディーと同じ屋根の下はちょっと……」と、今まで俺が目を瞑ってきた触れてはいけないタブー的なところを指摘した。
すんなりとジィのところでお世話になることが決まったからよかったものの、それで「確かにそうなのです! 楓くんと同じ場所で寝るのはちょっと……」などとエルシオが言い出したら終わっていた。
別に下心など全くないが、いざそう指摘されると否定もしずらいだろう。
ちなみに俺は、レディーと同じ屋根の下で寝るのはまんざらでもないが、ジジイと同じ屋根の下はごめんだ。
そんなこんなで今に至るわけだが、俺がカッコよく「翼のない俺たちに幸せの粉を!!」なんてことを言ったのにも関わらず、特に俺に動きはない。なんなら、仕事もしていない。ダラダラと漫画を何周も読みまくっているフィロと、大の字になっていびきを立てているルルフィアの間で、俺は天井のよくわからない模様を見つめながら、ただただ時間が過ぎるのを待っているだけだ。
さっきフィロにポイントの確認をしてもらったところ、少しずつ溜まってはきているが、まだまだのようだ。
人間が天界に長く滞在していると強制的に地獄送りになるとフィロは言っていたが、それはあとどのくらい時間が経てば訪れることなのだろうか。
フィロが特に何も言ってこないのを考えると、まだまだ先のことのような気もする。
自分の「幸せの粉」が無くなってしまうというのは「粉持ち」として、かなり重大なことだと思っていたのだが、フィロの様子を見ている限りでは、そんなことはなさそうだ。
ルルフィアの粉があるからだろうか。フィロの深層心理はいまだによくわからない。
まあだからつまり、俺は今平穏な生活を送っているわけだ。
きっとこれからも、仕事をしてポイントを貯めて、そして、今の天界を変えるほどのイベントが発生するのだろう。いや俺が、俺たちが行動して、それを起こすのだろう。
エルシオやシルエトは、その時のために頑張っている。
だから、これから始まるのだ。
フィロの言葉を借りて言うのであれば。
ーーーーーー第3フェーズ、突入だ。




