表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/68

ダークエルフの依頼 解決編


「出来た。出来てしまった」


 オルターニャさんや、ナターシャさん達が来てから。

 既に五日が経っていた。結局、たいした案も浮かばず。

 取り敢えず、世界樹の杖を落札した、商人の男の情報を集める事で話はまとまった。


 そして、俺は何をしているかと言うと。


「作っちゃった。世界樹の杖」


 ゲーム時代の、手持ちの素材を使って、世界樹の杖を製作してみた。結果・・・・「んーー、結構えげつないのができたな」


 ちょっと調子にのって、いい素材を使い過ぎた。

 

「保持者の魔力量と魔力を、50%上昇。詠唱時間を30%短縮。

 発動魔法の威力を二倍に。ランクの星は5.5・・・。伝説級、いや神話級に届くかな? うんコレは・・・・あかん奴だな」


 こちらで作ったなかで、最上級の代物が作れてしまった。

 死蔵まっしぐらの物だ。まあ、俺の本気装備には敵わないが。


 にしても・・・・世界樹の苗木を育てる特別な力。

 そんな物、作ったこの杖には無い。んー。ダークエルフに託した世界樹の杖は、やはり違う力を元に作ったのだろうか?


 それを作った迷い人。一体、何者なんだ?


 考えに耽っていると。『コンコン』とドアがノックされた。


「はーーい」


「店長。ナヴィアナさん達が来られましたよ。リビングにお連れしてあります」


「分かったー! 直ぐ行くー!」


 机の上物を片付け、身嗜みを整える。さすがに、頭ボサボサでみんなの前に出る訳にはいかない。


「お待たせしました皆さん」


オルターニャ「朝早くからごめんなさいね。エルちゃん」

ナターシャ「店はいいのか?」


「今日は定休日なので大丈夫ですよ」


ナターシャ「そうか」

ナヴィアナ「所でエル」


「はい、何ですか?」


ナヴィアナ「古竜はどうした?」


「ララウならまだ寝てます。アイツ朝が弱くて」


ナターシャ「・・・・ある意味、朝早く来て良かったと考えるべきかしら」


「ナターシャさん。ララウが苦手ですか?」


ナターシャ「別に苦手という訳じゃ・・・・そもそも、苦手ですむ問題なのかしら?」


オルターニャ「古竜様のお話はそれくらいで。それより・・・・」


「はい。例の商人を調べてたんですよね?」


「「「「うん」」」」と、ナヴィアナさん達は揃って頷く。

 ここ数日、情報収集に明け暮れていたらしい。

 みんなで来たと言う事は、何が有力な情報が・・・・。


「あの、お茶どうぞ」とリィーサがナヴィアナさん達にお茶を出す。


「「「「ありがとう」」」」と、みんなお茶を受け取って、口をつけた。


オルターニャ「ふう、美味しい。落ち着くぅー」

ナターシャ「中々美味いな。このお茶」

ナターリア「私はいつもここのお茶を買ってますよ」

ナヴィアナ「私もだ。香り味共に、ここ以上の物は無い」

オルターニャ「へぇー、なら私も買って帰ろうかしら」

ナターシャ「私も買うかな。里の土産にでも」


 わいわいと、お茶で盛り上がるダークエルフの面々。

 あの、それでどんな御用なんです? 何か分かったから来たんじゃ・・・・。


「あ、あの。本題に入ってもらえます?」


オルターニャ「あら、ごめんなさい。あまりに美味しいから。 

 ごほん! それじゃあ、本題に入るわね。例の世界樹の杖を落札した商人なんだけど」


「はい」


 ゴクリと唾を飲み込んだ。真剣な表情で、オルターニャさんが語りだしたからだ。何やらこの様子、ただ事では・・・・。


オルターニャ「・・・・どうやら、毛生え薬を探してるみたいなのよ」


「へっ?」


オルターニャ「・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・なんじゃそれ?!」


ナヴィアナ「気持ちは分かるぞエル。私も、姉上から知らされた時。そんな感じだったからな」


「毛生え薬って・・・・」


ナターシャ「まあ、ハゲ散らかしてたもんな」

ナターリア「そうですね。見るも無惨に」

オルターニャ「不毛地帯でしたわね」


 何だろ、やめてあげて。その人と会った事ないけど。やめてあげて。


ナヴィアナ「そんな気にする事なのか? ハゲって」

オルターニャ「うーーん。ダークエルフにハゲてる人って居無いのよねぇー。だから、よく分からないけど」


 えっ、ダークエルフってハゲないの? それって、エルフ族そのものがって事かな? 確かに、ハゲたエルフ族って、地球の漫画やアニメ、ゲームでも見たことないけど。


「まあ、分からなくもないですよ。その人の気持ち」


ナヴィアナ「エルはハゲてないではないか?」


「・・・・ハゲた知り合いがいまして」


ナターシャ「そうなの。・・・・でもハゲを直す薬なんて無理じゃないかしら?」

ナターシャ「うーーむ。確かに聞いた事は無いな」

オルターニャ「薬の知識が豊富なエルフ族でも知らない物は、どうしようも無いですね」

ナヴィアナ「エル。お主、ポーションの知識が高いと聞いたぞ。

 どうだ? 毛生え薬は作れるか?」


 四人の視線が、此方に向く。期待に満ちた目、無理はしないでの目、どうするのだ? の、ワクワクした目。そんな視線が俺に注がれた。


「毛生え薬か。さすがに・・・・ん?」


ナヴィアナ「どうしたエル?」


「いえ、ちょっと」


 あれ? もしかしてアレはそうなのでは?


 俺の脳裏に浮かんだアレとは、カオスフロンティアに存在した、

毛生え薬と言えるアイテムだ。


 カオスフロンティアは、一度容姿を設定すると。再度設定する事は出来ない。それはゲームでよくある話だ。

 容姿の一つとして、ヘアスタイルがあるが。ヘアスタイルは、ショートにもロングも、設定の変更が自由だった。ただ一つを除いて。

 

 それは、スキンヘッド。つまりハゲ。ハゲにすると、ヘアスタイルの設定が、出来なくなるという呪いのようなシステムがあったのだ。


 その為、そのシステムを利用した。PKならぬ、ヘアKと呼ばれる行為が横行した。毛狩りである。

 なんともアホみたいな話だが、結構問題になった出来事だ。

 因みに、その問題を解決する為に、髪を元に戻すアイテムが作られた。それが、再設定ヘアポーションだ。

 運営側が、ヘアKされたプレイヤー救済の為に、急遽導入したアイテム。ただ、このアイテム。結構レアだ。


 プレイヤー救済の為なのに、そのアイテムを得るのにクエスト受けるってなんなんだよ! しかもこのクエスト。結構ムズイ。

 運営のアホめ! あの時の苦しみ、今でも腹が立つ!


 ・・・・実は俺、その毛狩りの被害者です。まだ、レベルが低い頃にその被害に・・・・。


 兎に角、ヘアポーションを使えば、或いは・・・・。


「ナヴィアナさん、オルターニャさん、ナターリアさん、ナターシャさん。もしかしたらいけるかもしれません」


「「「「本当!!」」」」


「はい」


 後日、ヘアポーションを持ったオルターニャさんとナターシャさんは旅立った。そして、その結果はというと。


ナヴィアナ「エル。姉上達からの連絡で、世界樹の杖と交換できたらしい」


「良かった。上手くいったみたいですね」


ナヴィアナ「あぁ。これもエルのおかげだ」


「いえ、たいした事はしてませんよ」


 因みに、毛生え薬を使った商人は、髪がフサフサになったそうな。そのフサフサ髪を見た他の者達が、ダークエルフと商人が会っていた事から。暫くの間、ダークエルフには髪をフサフサにする秘薬があるらしいと、噂が立ったらしい。作ったのは俺なんだけど。

 ヘアポーションの製作者に関して、オルターニャさん達に、内緒にしてほしいと頼んだので。客がお店に押し寄せる事態にはなっていない。売り出す予定も無い。手持ちに限りがらあるし。


 将来の事を考えて、自分用に取って置きたい。

 ハゲない・・・・とは限らないし。

 そうそう。俺作製の、世界樹の杖だが・・・取り敢えず、アイテムボックスに放り込んである。

 使う日も来ないだろう。・・・・多分。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ