ダークエルフからの依頼 その3
「世界樹の苗木って・・・・まあ、そのまま意味だよな。
それで、その苗木を育てるのに必要と」
「うむ。世界樹は一本のみじゃからな。
しかも、かなり昔に枯れて・・・もう無くなっておる。
世界樹が枯れる前に、世界樹を何とか残そうと考え、苗木をエルフ族や他の一族に配り、それを育て・・・」
「お待ち下さい!」
オルターニャさんが、何やら驚いた様子でララウの話しを遮る。
いや、少し怒っているようにも見える。
「世界樹が枯れてもう無い? それに苗木を多くの者達に配った? そんなの・・。それじゃあ、私達の里にある世界樹は?」
「落ち着けオルターニャ」
「落ち着いていなんていらないわナターシャ!」
何だ? なんでこんなに・・・・。横に座るララウに視線をやると。「やれやれ」と言った感じで教えてくれた。
「大方、此奴らの里の世界樹こそ、最初の一本だと教えられて来たのだろう」
「ん? どう言う事だ?」
「世界樹が枯れたのは、我のひい爺さまの時代だかな。いくら寿命の長いエルフ族であっても、とうに真実は失伝しておる。
それに、我が一族の世界樹こそと。戦争も起きてるからの」
「えーと、つまり・・・世界中にある世界樹は・・・・偽物って事か?」
その発言に、オルターニャさんは俺を睨んだ。偽物と言う言葉が悪かったのだろう。
「別に偽物ではないぞ。本物では無いが、偽物でも無い。真の世界樹たりえる力も、姿もしてないと言うだけだ」
「力は分かるが・・・・姿って?」
「それは・・・・ダークエルフ達に聞け。ダークエルフ達の世界樹の大きさをな」
「大きさ?」世界樹ねぇ。ゲームの表現ではデカかったな。
こっちではどうなんだ?
「どうなんです? オルターニャさん」
「・・・・我らが里の世界樹幹は、両手を広げた大人二十人分程です」
「十人分?」一人りの両手を広げた長さが1.8メートルとしたら。・・・・36メートル。大きい、と言えば大きいかな?
「他の世界樹も大体そんな感じですか?」と俺が聞くと。
ダークエルフの面々は、ムッとした顔をした。どうやらデリケートな問題らしい。
そんなダークエルフの面々を見て「そうカリカリするな」とララウは宥める。ララウも少しは言い所があるんだなと思った矢先。
「所詮は地をはう者同士の背比べだ」と、何やら余計な事を言って、怒りを鎮める所か、火に油を注いでしまった。
「それにしてもエル」
「何だ? ララウ」
「お主、世界樹を見た事があるのだろう? それも本物を」
ララウの質問に、ダークエルフの面々は目を瞬いた。
ナヴィアナ「そうなのかエル? 一体何処で!」
ナターリア「そもそもそれ、本物かしら」
オルターニャ「エルちゃん。古竜様の話しは本当なの?!」
ナターシャ「ほう? やはり面白い奴だな」
「何でそんな風に思うんだララウ?」
「ふん。ダークエルフから世界樹の大きさを聞いて、そんなものなのかと思ったであろう。だからじゃ」
「・・・・って事は、こっちでも本物は、やっぱりデカいのか」
「エル、里の世界樹は充分大きいと思うが?」
「えーと、ナヴィアナさん。俺の知る世界樹は、その程度ではありません。俺の知る世界樹は、山のように太く、天を貫かんばかりに高いです」
「「「「そうなのか?!」」」」
「うむ。我の知る世界樹と同じだな」
同じとは言えないと思うぞ。俺の見た世界樹は、あくまでゲームの世界での話。架空の存在だ。現実じゃ無い。
みんな、ちょっと熱くなりすぎだな。話しを変えた方がいいかも。
「ふう、世界樹の話題を振っておいてなんですが。話しを戻しましょう」
「「「「ん?」」」」
何でみんな「何だったっけ?」て顔なの。杖のを取り戻す話しはどうなった?!
オルターニャ「そうでしたね。杖を取り戻す話しでした」
ナターシャ「会話が脱線した挙句。皆、世界樹の事に白熱したからな。仕方ないだろ」
ナターリア「結局どうするんです? 姉上達は何か妙案はないのですか?」
ナターシャ「面倒だ。その男の屋敷に、盗みに入れば・・・・」
オルターニャ「それはダメよナヴィちゃん」
ナターシャ「下手すると人間と戦争になりかねんぞ」
ナターリア「ですよね」
結構な時間を、みんなで話し合ってるけど。結局何も決まってない。どうすんだ?
正直な話・・・・「俺が世界樹の杖を作った方が早いんじゃ?」
「「「「はい???」」」」
あれ? ちゃんと聞こえなかったかな?
「ですから、俺が世界樹の杖を作った方が早いなと」
ナヴィアナ「作れるのか?」
「多分ですけど。材料さえあれば」
「おい、エル。世界樹の杖は、真の世界樹の枝から作られてるんだぞ? いくら何でも無理ではないか?」
横に座るララウが教えてくれる。
「真の世界樹の枝からかー」
ナターリア「無理でしょ。古竜の・・・古竜様の話しの通りなら。その真の世界樹とやらの枝で、作らないとダメじゃないの。
もう、無い以上無理でしょ」
オルターニャ「そうね。もう無いのよ。だから取り戻す方法を」
「ありますよ」
「「「「はぃぃぃ?!」」」」
ナターシャ「今、何て言った?」
「いえ、だからあるって言ったんです」
オルターニャ「一体何があると?」
「枝ですけど」
まあ、ゲームで手に入れた、世界樹の枝ですけどね。
ナヴィアナ「エル! その辺の木の枝ではないぞ! 世界樹の!
それも、真の世界樹の枝だぞ!」
「はい。ですからあると言ってるんです」
ナターリア「因みだけど・・・・どのくらいあるの?」
「家を一軒建てられるくらいの量なら」
世界樹の枝は、素材として色々使えるからな。仲間と一緒に、よく取りに行ったっけ。・・・・懐かしい。
「「「「・・・・・・・・」」」」
みんな黙り込み、そしてその沈黙をララウが破る。
「ふあーーーはっはっはっは! まったく、エルは面白い。
歴史上、こんなとんでもない迷い人は、お主だけじゃろうて!
わーーーはっはっはっはっは!」
これは・・・・褒められているのか? それとも、バカにされているのか? 兎に角、その高笑いはやめい!




