閑話 ダイエット その1
遡る事、一月前の話し。
「なんでも屋ー! 来たのじゃ!」
「・・・・また、屋敷を抜け出して来たのか?」
「あっ、システィーナ様。いっらしゃいませ」
「うむ、来たのじゃリィーサ」
「心配いらぬじゃ! 今日は、おつかいで来たからの!」
「おつかい? 貴族のお嬢様がか?」
「うむ!」
「「今回はちゃんと許可をとってあります」」
システィーナの側仕えが、ペコペコ頭を下げ、店の入り口の物陰から現れる。
「まあ、許可があるなら別にいいけど」
「うむ! ではポテチとコーラを寄越すのじゃ!」
「来て行きなりそれかい! ・・・・と言うか、システィーナ」
「なんじゃ、ジロジロ見おってからに」
「いや・・・・システィーナ。そのなんだ・・・・太ったか?」
「なっ、なっ! レディーに向かって、太ったかとは! デリカシーがないのじゃ!」
ここ最近、システィーナはしょっ中やって来る。駄菓子を食べ、更にポテチまで・・・・さすがに食いすぎだと思う。
だって、全体的に、ふっくらしてきてるよな?
「むむう!」とほっぺを膨らませて抗議するシスティーナ。
「お嬢様。さすがにお菓子の食べ過ぎです」
「3時のオヤツだけでなく、食後のデザートまで食べてますし」
「食べて何が悪いのじゃ! 育ち盛りなのじゃ!」
「育ち盛りにも限度がありますよ」
「ただでさえ、お嬢様は運動をなさりませんし」
「むむう!」
そりゃ太るよな。もっと動いた方がいいぞ。
「お菓子は控えて、もっと運動した方がいいぞ」
「お菓子を抜くなど、もってのほかじゃ! 運動もやじゃ!」
「その内、まん丸になるぞ」
「むむう!」
「さすがにそれは問題ですね。お嬢様、今日からお菓子には制限をつけます」
「それから、運動もしていただきます」
「なっ! 二人共どう言うつもりじゃ!」
あれ? この二人、いつもより強気だな?
「だってお嬢様! このままだとティファリーゼ様がお怒りになりますよ!」
「はい! ティファリーゼ様のしごきを受けたいのですか?!」
「うぬっ、それは確かに!」
さすがに、シスコンティファリーゼも怒るかな? と言うかしごきって・・・・やっぱり脳筋なのかな?
「ぬぅ、姉上が怒る事はど・・・・・・むう、ちょっと控えるのじゃ。
運動もするのじゃ」
「「お嬢様!」」
どうやら、システィーナはダイエットをする事にしたようだ。
ティファリーゼって・・・・そんなに怖いのか?
「しかし、お菓子! お菓子を食べたいのじゃ!」
そうだよな。毎日のように食ってたからな。そりゃあ、直ぐに止めるのは無理だな。カロリーと糖分控えめな物があれば・・・。
それで尚且つ、お菓子っぽい物がいいかな? ん? あれ?
確かそんなのがあったような。
「あっ・・・・あった。アレがあったな」
「む? どうしたのじゃ、なんでも屋よ」
「ん、あー、ちょっとな。システィーナにちょうど良い物があるぞ」
「ぬ? ちょうど良い物かの」
「あぁ」
それから二週間後。
「なんでも屋ー! 来たのじゃーー!」
「いらっしゃいシスティーナ。見事にスッキリしたな」
「むふふふふっ、妾にかかればこんなものじゃ!」
システィーナは小さな胸を張り、ふっくらしていた体のラインが、スッキリした姿を見せた。
「効果があって何よりだ」
「あの、店長? 一体、システィーナ様に何を?」
「あぁ、リィーサにはまだ、見せた事無かったな。
実は、ダイエット食品を作ってな」
「ダイエット食品? ダイエットって・・・・なんです?」
「あー、まずはそこからか」
この世界に、ダイエットなんて概念は無い。
今日、食べる物すら困る人が大勢、存在する世界だ。
ダイエットなんて、ある意味、贅沢なおこないだ。
リィーサには、取り敢えず簡単にダイエットについて教えた。
すると、思わぬ反応が。
「店長! それ、私も欲しいです!」
「えっ、リィーサが? 必要なく無い?」
「そんな事ないです! 今まで気にした事なかったですけど。
ここで働く様になってから・・・・私、私!」
「・・・・太ったの?」
「・・・・・・はい」
太ったか? そんな感じはしないけど? うーーん、元が痩せてたからなリィーサ。どちらかと言うと、健康的な体になったというだけなんじゃ?
「気にする程でもないんじゃない?」
「いえ! 店長が作るご飯。美味しすぎるんです! おかわりしちゃうんです! 絶対太っちゃいました!」
「うーーん、そうかな?」
いや、まてよ? リィーサは3食欠かさず食べてる。オヤツも食べてる。三時のオヤツと、夕食の食後のデザートも。
確かに食い過ぎな気もする。
「分かった。そんなに欲しいなら、リィーサの分を用意するよ」
「ありがとうございます店長!」
そして、このダイエット食品。空前のブームとなる。
特に、貴族や商人の娘など、女性に大人気に。
数種類の穀物と、ドライフルーツを混ぜ、栄養バランスに優れ、カロリーも控えめ、糖分も控えめの、栄養補助食品。
カロリーの取り過ぎ、糖分取り過ぎのあなたも、これで整えよう! ダイエットには、なんでも屋の栄養補助食品をお試しあれ。
店員自ら体験しました。
『凄いです。この効果を知ったら、もう手放せません』
「店長! 宣伝はこんな感じでどうですか?!」
「・・・・・・いいんじゃない? ただ、あくまでこの食品は、食事のバランスを取るための物であって、痩せ薬とかじゃないからね?」
「分かってますよ店長。そう言う事にしておきますから」
「本当に分かってる?」




