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かみさまにゅうもん!!  作者: 小池
師範代編 「創造神」
7/10

松竹梅

 てすてす、こちら世界一のタンスである。吾輩の近況をお話ししたい。どうも、吾輩の城が託児所のようになってしまっているのだ。


 神社に預けられたいわく付の小物や道具は、けっこう厄介な邪気を放っていることが多い。こりゃあ呪いの品物扱いされるわけだと納得して、初めの内は吾輩の中に収めていた。吾輩は寛容なタンスなので、後輩たちを懐に入れて、丁寧に浄化してやっていた。


 あまりにも次々と運ばれてくるものだから、吾輩の中は常に満員状態で、順番待ちの奴らがたくさんいる。浄化した後輩たちは、大抵火にくべられて最後の供養? をされるのだが、吾輩の中には奴らの思念が残っていたりする。


 吾輩は大人なタンスなのだか、いかんせん、奴らは小童たちの集まり。吾輩の中で散々に暴れまわってくれるのである。


 本人たちは遊んでいるらしいが、吾輩は堪ったもんじゃない。吾輩が、いくら二十四時間不眠不休で頑張れるタンスであっても、我慢の限界というものがある。


 吾輩のお仕事は小童どもの浄化だけではないし、奴らにかまけてかみさま業を蔑ろにするような、二流のタンスにだけはなりたくない。どうしたものかと頭を悩ませているうちにも、時間は過ぎていくのだ。吾輩、頭はないけど。


 こんなとき、ご神体に同胞のタンスがいないことが悔やまれてならない。同じ悩みを共有する相談相手は、吾輩にはいなかった。涙など流すものか。吾輩は強いタンスなのである。タンスたるモノ簡単に涙を流してはいけないのだ。吾輩、涙腺はないけど。







 さすがの吾輩もいいかげんうっとうしく……げふんげふん。問題も深刻化してきたので、吾輩の持つ一番大きなひきだしに、小童どもを詰め込んでしまうことにした。


 吾輩の本領発揮と言うことで、ひきだしの中の空間を目いっぱい広げて、奴らを押し込み、密封した。吾輩でもやすやすと中の様子をのぞけなくなってしまったが、問題あるまい。小童は小童同士でうまいことやるだろう。


 決して面倒になったわけではないぞ。本当だからな。どんどん増えていく小童どもを、秘密のひきだしに仕舞っていったから、中は見るも無残なほど混沌としているかもしれんが、気にしないことにする。


 滅多なことでは秘密のひきだしを開けるつもりはない。吾輩、基本的に放任主義なのだ。


 開けるのが怖いとか、そういうことではないのだ。違うのだ。

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