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ひかり〜約束の花〜  作者: せいら
夢と召喚と
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9/58

月の国への招待状

すみません!

ひかり〜約束の花〜の8話と9話の間に、このエピソードを入れた方がわかりやすいと思ったので、割り込み投稿させていただきます!

ちょっと意味が分かりずらいなと思われた読者の方々は、大変お手数ですが、前後のお話をもう一度お読みください!

大変申し訳ないです

私はソレイユ王国の王宮の廊下を歩きながら、昨日の出来事について何度も考えてしまっていたのだけれど、アリア姫やシリウス王子も私と同じような夢を見ていることが分かってからというもの、今まで自分だけがおかしいのかもしれないと思っていた不安が少しだけ軽くなった代わりに、新しい疑問が次々と増えてしまい、結局頭の中はぐるぐるしたままだった。

約束の花畑。

夢。

知らない誰か。

そして。

フィオラ。

最近よく聞く名前。

だけど、私はまだ知らない。

その名前が持つ本当の意味を。


「ひかり様!」

考え事をしながら歩いていると、王宮の侍女であるエマが慌てた様子でこちらへ駆け寄ってきた。

「どうしたの?」

「国王陛下がお呼びです!」

また?

私は首を傾げる。

最近やたらと呼ばれる気がする。


しばらくして。

私は謁見の間へ案内された。

そこには、国王様。王妃様。レオン王子。

そして、シリウス王子とアリア姫の姿もあった。

だけど、空気がおかしい。

重い。

みんな真剣な顔をしている。

「結城ひかり」

国王様が口を開いた。

「ルナリア王国から正式な招待状が届いた」

私は目を丸くする。

「招待状?」

アリア姫が小さく頷いた。

「はい」

そして侍従が一通の封筒を差し出す。

そこには、月の紋章。

ルナリア王国の国章が刻まれていた。

「わたくしたちの国へ来ていただきたいのです」

アリア姫は優しく微笑む。

私は少し嬉しくなった。

正直、もっとアリア姫と話したかったから。

だけど、その直後だった。

「反対です」

低い声が響いた。

私は驚いて振り返る。

ソレイユ王国の貴族だった。

「聖女様を月の国へ行かせるべきではありません」

会場がざわつく。

「何故です?」

シリウス王子の声が少し冷たくなる。

すると貴族は堂々と言った。

「ルナリア王国だからです」

空気が凍った。

私は息を呑む。

アリア姫の表情が曇る。

シリウス王子の目も鋭くなる。

「どういう意味ですか?」

シリウス王子が問い返す。

「そのままの意味です」

貴族は続ける。

「我が国とルナリア王国は長年対立しております」

「だから信用できないと?」

「当然でしょう」

私は思わず俯いた。

なんだか悲しかった。

アリア姫が何かしたわけじゃない。

シリウス王子だって。

なのに、国が違うだけで。

こんなにも壁がある。

「失礼ですわ」

突然。

アリア姫が立ち上がった。

私は驚く。

普段穏やかなアリア姫が。

怒っていた。

「ひかり様は客人です」

その声は震えていた。

「利用しようなどと思ったことはありません」

誰よりも真っ直ぐだった。

だけど、貴族は納得しない。

「言葉だけでは信用できません」

「っ……!」

アリア姫が言葉を失う。

その姿を見た瞬間。

胸が痛んだ。

「私は行きたいです」

気付けば口が動いていた。

全員がこちらを見る。

少し怖い。

だけど、私は続けた。

「アリア姫たちの国を見てみたい」

静寂。

私は勇気を振り絞る。

「実際に見てから決めたいです」

「ひかり……」

レオン王子が小さく呟く。

私は真っ直ぐ前を見た。

「だって」

言葉を続ける。

「行ったこともないのに嫌うのは違うと思うから」

会場が静まり返る。

誰も何も言わない。

だけど、私は後悔しなかった。


その日の夕方。

王宮の庭園。

私はベンチへ座っていた。

すると。

「ありがとうございます」

アリア姫がやって来た。

私は笑う。

「何が?」

「昼間のことです」

アリア姫は少し照れたように微笑んだ。

「嬉しかったですわ」

私は首を振る。

「本当のこと言っただけだよ」

その瞬間。

アリア姫が少しだけ寂しそうな顔をした。

「いつか」

風が吹く。

月色の髪が揺れる。

「いつか本当の意味で仲良くなれたら良いですわね」

アリア姫は悲しい笑顔でそう言った。

私は不思議に思った。

今だって仲良しなのに。

だけどアリア姫が言っているのは。

私たちじゃない。

ソレイユ王国とルナリア王国。

二つの国のことなんだ。


その頃。

闇の国ノクティス王国。

漆黒の玉座へ座るネヴァは、水晶に映るひかりたちを見ながら小さく笑っていた。

「仲良しごっこか」

わらわは頬杖をつく。

「面白い」

紫の瞳が妖しく輝く。

「だが、その絆が強くなるほど」

ネヴァは微笑んだ。

どこか悲しそうに。

そして、どこまでも憎しみに満ちた笑顔で。

「壊した時が楽しいのじゃ」

闇が静かに揺れた。


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