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ひかり〜約束の花〜  作者: せいら
残された親友
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知らない記憶

わたくし、アリア・ルナリアは、あの夢を見てから数日が経った今でも、「二人は一つだったんだよ」という言葉が頭から離れなくて、朝目覚めるたびに胸の奥がざわつくような感覚を覚えていた。

窓の外を見る。

今日も穏やかな朝だった。

だけど。

心だけは落ち着かない。

「セレナ……」

無意識にその名前を呟く。

すると。

頭の奥が少しだけ痛んだ。

朝食の席。

ひかりが心配そうにこちらを見ていた。

「アリア、大丈夫?」

私は慌てて微笑む。

「大丈夫ですわ」

そう答えたけれど。

本当は大丈夫じゃなかった。

夢を見るたびに。

知らない記憶が増えていく。

知らないはずなのに。

懐かしい記憶が。

私、結城ひかりは、アリアの様子がおかしいことに気付いていたのだけれど、無理に聞き出したくはなかったので、少しでも元気になってもらえたらと思いながら庭園へ誘うことにした。

「お散歩しない?」

アリアは少し驚いた顔をした。

「今からですの?」

「うん!」

私は笑う。

「気分転換!」

アリアも小さく笑った。

「そうですわね」

そして私たちは庭園へ向かった。

庭園にはたくさんの花が咲いていた。

白い花。

青い花。

黄色い花。

その中を歩いていると。

突然だった。

アリアが立ち止まる。

「アリア?」

私は振り返った。

すると。

アリアは一輪の白い花を見つめていた。

その瞳が大きく揺れている。

「どうしたの?」

その瞬間。

アリアの身体がふらついた。

「っ……!」

私は慌てて支える。

「アリア!?」

わたくし、アリア・ルナリアは、その花を見た瞬間に大量の映像が頭の中へ流れ込んできて、立っていられなくなるほどの衝撃を受けていた。

白い花畑。

青空。

笑い声。

四人の人影。

そして。

『セレナ!』

誰かが呼ぶ。

振り返る少女。

その少女は。

私だった。

「え……」

息が止まりそうになる。

違う。

私じゃない。

だけど。

私でもある。

『フィオラ!』

少女が笑う。

『アルス!』

『ルナ!』

四人が楽しそうに笑い合っている。

温かい。

幸せだった。

だけど。

次の瞬間。

映像が途切れた。

「アリア!」

ひかりの声が聞こえる。

私はゆっくり目を開いた。

ひかりが心配そうな顔をしていた。

「大丈夫!?」

私は震える声で答える。

「今……見ましたわ……」

「何を?」

私は息を整える。

そして。

恐る恐る口を開いた。

「セレナを……」

ひかりの瞳が大きく開かれた。

私、佐伯美咲は、その日の放課後に図書室で勉強していたのだけれど、突然胸が苦しくなって思わず顔を上げていた。

理由は分からない。

だけど。

涙が出そうになる。

「何だろう……」

私は胸を押さえる。

すると。

頭の中に映像が浮かんだ。

白い花畑。

長い髪の少女。

そして。

『美咲』

優しい声。

その声を聞いた瞬間。

涙が溢れた。

「っ……」

自分でも驚く。

悲しいわけじゃない。

苦しいわけでもない。

なのに。

どうしてこんなに涙が出るのだろう。

その夜。

私、結城ひかりは、アリアから昼間に見た映像の話を聞いていたのだけれど、その内容は私の予想を遥かに超えるものだった。

「その子が……セレナ?」

私は尋ねる。

アリアは頷いた。

「きっと」

そして少しだけ迷う。

「それに……」

「それに?」

アリアは静かに言った。

「わたくしは、その子だった気がするのです」

部屋が静まり返る。

私は言葉を失った。

だけど。

否定できなかった。

夢。

花びら。

そして。

美咲との不思議な繋がり。

全部を考えると。

あり得ない話ではない。

その時だった。

窓の外から風が吹き込む。

ひらり。

一枚の白い花びらが部屋へ舞い込んだ。

私とアリアは同時に花びらを見る。

すると。

花びらが淡く光った。

そして。

空中に文字が浮かび上がる。

『まだ半分』

「え……?」

私たちは息を呑む。

『残り半分を探して』

その文字を最後に。

光は消えた。

部屋には静寂だけが残る。

だけど。

二人とも分かっていた。

セレナの秘密はまだ終わっていない。

そして。

その答えは。

きっと美咲の中にもあるのだと。


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