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ひかり〜約束の花〜  作者: せいら
残された親友
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37/58

同じ夢

私、結城ひかりは、最近眠るたびに白い花畑の夢を見るようになっていたのだけれど、その夢は少しずつ鮮明になっていて、目を覚ました後も心の中に強く残るようになっていた。

その夜も私は不思議な感覚に包まれながら眠りについた。

そして気付けば。

また白い花畑に立っていた。

どこまでも広がる白い花。

優しい風。

懐かしい香り。

「ここ……」

私は辺りを見回す。

すると遠くに誰かがいた。

女の子だった。

黒髪。

少し茶色がかった瞳。

見覚えのある後ろ姿。

私は思わず走り出した。

「待って!」

少女が振り返る。

その瞬間。

私は息を呑んだ。

「美咲……?」


私、佐伯美咲は、その夜も夢を見ていたのだけれど、今までとは違って今回は誰かの気配がはっきりと感じられていて、不思議と胸が高鳴っていた。

白い花畑。

見慣れてしまった景色。

だけど今日は違う。

誰かがいる。

私はその気配を追いかけるように歩き出した。

すると、遠くから声が聞こえた。

「待って!」

その声を聞いた瞬間。

胸が大きく鳴った。

聞き間違えるはずがない。

私は勢いよく振り返る。

「ひかり……?」

そこには。

ずっと会いたかった親友が立っていた。


私、結城ひかりは、美咲の姿を見た瞬間に涙が溢れそうになったのだけれど、本当に本人なのか信じられなくて、その場から動けなくなっていた。

「美咲……」

「ひかり……」

お互いに名前を呼ぶ。

だけど、距離は遠い。

走っても。

歩いても。

なぜか近付けない。

まるで見えない壁があるみたいだった。

「本当にひかりなの!?」

美咲が叫ぶ。

「うん!」

私は大きく頷いた。

「美咲だよね!?」

「そうだよ!」

その瞬間。

二人とも泣きそうになった。


私、佐伯美咲は、ひかりが無事だったことが嬉しくてたまらなかったのだけれど、同時に聞きたいことも山ほどあって、何から話せばいいのか分からなくなっていた。

「今どこにいるの!?」

「分からない!」

ひかりが苦笑する。

「異世界みたいなところ!」

「異世界!?」

私は思わず叫んだ。

夢だと思っていた。

だけど今目の前にいるひかりは本物だ。

そんな気がした。

「みんな心配してるよ!」

私が言う。

するとひかりの表情が少し曇った。

「ごめん……」

その声を聞いて胸が痛くなった。

ひかりだって帰りたいはずだ。

きっと。

私以上に。


私、結城ひかりは、美咲に謝りながらも本当は泣きそうになっていて、だけど心配をかけたくなくて必死に笑顔を作っていた。

「でも元気だから!」

私はそう言った。

「友達もできたし!」

「本当?」

「うん!」

私はアリアのことを思い出す。

レオン王子。

シリウス王子。

アリア。

みんな大切な仲間だ。

すると美咲が少し笑った。

「ならよかった」

その言葉を聞いて胸が温かくなる。

やっぱり、美咲は美咲だ。

その時だった。

花畑に強い風が吹いた。

白い花びらが舞い上がる。

そして、二人の間に一人の少女が現れた。

長い髪。

優しい笑顔。

白い服。

見たことがないはずなのに。

なぜか懐かしい。

「誰……?」

私と美咲が同時に呟く。

少女は微笑んだ。

『会えたんだね』

優しい声だった。

そして、どこかアリアにも似ている。

「あなたは?」

美咲が尋ねる。

少女は少しだけ寂しそうに笑った。

『まだ秘密』

その言葉と同時に身体が光に包まれる。

「待って!」

私は手を伸ばした。

だけど、届かない。

少女は最後に言った。

『もうすぐ全部繋がるよ』

次の瞬間。

景色が崩れ始めた。

花畑が消えていく。

夢が終わる。

「ひかり!」

「美咲!」

二人は同時に叫ぶ。

「また会おう!」

「絶対だよ!」

その言葉を最後に。

世界は光に包まれた。


私、佐伯美咲は、勢いよく目を覚ましたのだけれど、胸の鼓動が止まらなくて、しばらくベッドの上で呆然としていた。

夢だった。

だけど、夢じゃない。

そんな確信があった。

「ひかり……」

私は窓の外の月を見上げた。

すると不思議なことに。

もう前ほど寂しくなかった。

生きている。

どこかで頑張っている。

それが分かったから。


私、結城ひかりは、同じ頃に目を覚まして窓の外の月を見上げていたのだけれど、美咲と話せた喜びで胸がいっぱいになっていた。

そして、あの少女。

あの優しい笑顔。

どこかで見たことがある気がする。

「誰なんだろう……」

小さく呟く。

すると窓辺に一枚の白い花びらが舞い降りた。

まるで、答えはもうすぐだと告げるように。

次回

第38話 届かない手紙

――ひかりは美咲へ想いを伝えようと手紙を書く。しかし世界を越えることはできなくて――。

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