表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひかり〜約束の花〜  作者: せいら
月と太陽の架け橋
PR
25/58

第二の封印

私はアリアと仲良くなってからというもの、一緒に過ごす時間がどんどん増えていたのだけれど、不思議なことに彼女と話していると初めて会った気がしなくて、ずっと昔から友達だったような安心感を覚えることがあった。

その日も私はアリアと庭園でお茶を飲んでいた。

「ひかり」

「ん?」

「最近、また夢を見ておりますの?」

私は少し驚く。

夢の話をしたことはある。

でも、そこまで詳しく話したことはない。

「なんで分かったの?」

アリアは困ったように微笑んだ。

「なんとなくですわ」

その表情を見ていると、一瞬だけ美咲の顔が重なった。

「え……」

思わず声が漏れる。

「ひかり?」

アリアが首を傾げる。

私は慌てて首を振った。

「ううん!」

気のせい。

絶対気のせいだ。

だけど、最近よくある。

アリアを見ていると。

美咲を思い出す。

仕草とか。

笑い方とか。

雰囲気とか。

全然違うはずなのに。

どこか似ている気がする。

「変なの」

私は小さく呟いた。

その時だった。

遠くから足音が聞こえる。

振り向くとレオン王子とシリウス王子がいた。

「ひかり」

「アリア」

二人は珍しく真剣な表情をしている。

私は少し緊張した。

「どうしたの?」

レオン王子が口を開く。

「月の神殿へ向かうことになった」

「神殿?」

私とアリアは顔を見合わせる。

シリウス王子が説明を続けた。

「昨夜から神殿の封印に異変が起きてるらしい」

「異変?」

嫌な予感がした。

レオン王子は頷く。

「聖女の力と関係している可能性が高い」

つまり、私も行かなきゃいけないってことか。

「分かった」

私は立ち上がった。

その日の午後。

私たちは月の神殿へ向かっていた。

王都から少し離れた森の奥。

古い石造りの神殿。

長い年月を感じさせる建物だった。

「すごい……」

私は思わず見上げる。

神秘的だった。

だけど、どこか懐かしい。

初めて来たはずなのに。

知っている気がする。

その時だった。

頭の奥がズキッと痛む。

「っ……!」

私は思わず足を止めた。

「ひかり!」

アリアが駆け寄る。

レオン王子も表情を変えた。

「大丈夫か」

「う、うん……」

痛みはすぐに消えた。

でも、その瞬間。

誰かの声が聞こえた気がした。

『待っていました』

知らない声。

優しい女性の声。

私は神殿の奥を見る。

暗い通路。

誰もいない。

なのに、確かに聞こえた。

神殿の最深部。

そこには巨大な扉があった。

青白い光を放つ紋章。

月の模様。

そして、中央には見覚えのある花の紋章が刻まれていた。

「この花……」

約束の花。

夢の中で何度も見た花だった。

私は息を呑む。

その時、扉が光り始めた。

ゴォォォォ……

空気が震える。

「なっ……!?」

シリウス王子が剣へ手をかける。

アリアも驚いていた。

レオン王子だけが私を見る。

「ひかり」

呼ばれる。

私は無意識に前へ歩いていた。

まるで、何かに導かれるように。

「ひかり!」

アリアの声が聞こえる。

でも、足は止まらない。

私は扉へ手を伸ばした。

触れた瞬間だった。

眩い光が溢れる。

「きゃっ!」

世界が白く染まる。

そして、見えた。

白い花畑。

風に揺れる花々。

笑い声。

四人の人影。

ミルクティーブラウンの髪の少女。

金髪の青年。

銀髪の青年。

そして、優しく笑う少女。

『フィオラ様!』

誰かが呼ぶ。

フィオラ。

その名前が響く。

だけど、その瞬間。

景色が崩れた。

黒い闇。

紫色の光。

そして、泣いている少女。

『どうして……』

苦しそうな声。

『どうしてわたくしでは駄目だったの……』

私は思わず手を伸ばした。

「待って!」

だが、景色は消える。

光が弾ける。

そして、私は現実へ引き戻された。

気付くと、私はレオン王子に支えられていた。

「ひかり!」

アリアが泣きそうな顔をしている。

シリウス王子も険しい表情だった。

「大丈夫か!?」

私はゆっくり頷く。

でも、心臓は激しく鳴っていた。

今のは何だったのだろう。

フィオラ。そして、泣いていた紫の瞳の少女。

なぜだろう。

あの少女の悲しみが。

胸の奥に残っていた。

その時だった。

神殿の中央に浮かび上がる文字。

誰も見たことのない古代文字。

そして、一文だけが光る。

『第二の封印、開放開始』

静寂が訪れる。

誰も言葉を発せなかった。

ただ一つだけ、確かなことがあった。

千年前の秘密が。

少しずつ動き始めている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ