表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひかり〜約束の花〜  作者: せいら
月と太陽の架け橋
PR
18/58

重なる面影

私はルナリア王国での生活にも少しずつ慣れてきていたのだけれど、毎日新しい発見ばかりで退屈する暇なんて全くなく、特に最近はアリアと過ごす時間が増えたことで、一人で考え込むことも少なくなっていた。

「ひかりー!」

遠くから声が聞こえる。

私は思わず振り返った。

「今行くー!」

そう返事をした瞬間。

なぜだろう。

少しだけ胸がざわついた。

今の。

どこかで、聞いたことがあるような。

そんな気がした。

私は首を傾げながら庭園へ向かう。

そこには。

白いテーブル。

花に囲まれた東屋。

そして、手を振るアリア。

「お待ちしておりましたわ」

アリアが微笑む。

私は思わず笑顔になる。

「ごめんごめん!」

「気になさらないでくださいませ」

二人で席に着く。

お茶の香りが漂う。

穏やかな時間。

「そういえば」

私はふと思い出す。

「アリアって甘いもの好きだよね」

すると。

アリアが少し驚いた顔をした。

「どうして分かりましたの?」

「なんとなく?」

私は笑う。

「なんか見てたら分かる」

その瞬間。

アリアが小さく吹き出した。

「ふふっ」

「なにー?」

「なんだか」

アリアは少し考える。

「ひかりといると落ち着きますの」

私は思わず固まった。

『ひかりといると安心する』

頭の中で。

誰かの声が響いた気がした。

「え……?」

私は目を瞬く。

今の。

誰の声?

この世界に来る前に、しょっちゅう聞いていた声。

「ひかり?」

アリアが心配そうに覗き込む。

「あっ、ごめん!」

私は慌てて笑った。

「ちょっとボーッとしてた!」

アリアも安心したように微笑む。

その時だった。

風が吹く。

アリアの髪が揺れる。

紫がかった白髪。

水色の瞳。

全然違う。

美咲とは。

見た目なんて。

全然、違うのに。

なぜだろう。

重なる。

『ひかりー!』

元気な声。

『何やってんのー!』

笑顔。

明るい性格。

美咲。

私は思わずアリアを見つめてしまった。

「どうかなさいました?」

「ううん……」

私は首を振る。

「なんでもないっ!」

変だ。

本当に変。

アリアと美咲は似ていない。

見た目も。

話し方も。

育った環境も。

全部違う。

なのに、時々。

すごく似ている気がする。

勘違いかな。

きっと。

美咲に会いたいから。

そう見えるだけだよね。


その頃。

現代日本。

佐伯美咲は放課後の教室で一人、ひかりの席を見つめていたのだけれど、誰もいなくなった教室は妙に静かで、その空席が以前よりも大きく見えてしまうことが少しだけ寂しかった。

「ひかり」

小さく呟く。

「今どこにいるのかな」

返事はない。

だけど、その瞬間だった。

窓から風が吹き込む。

白い花びらが一枚。

ふわりと舞う。

「また……」

最近増えている。

白い花びら。

美咲は手を伸ばす。

花びらが手のひらへ落ちる。

すると一瞬だけ。

知らない景色が見えた。

白い花畑。

青空。

そして、笑い合う四人の姿。

「っ!?」

美咲は立ち上がる。

だけど。

景色はすぐ消えた。

「今の……何?」

胸がドキドキする。

知らないはずなのに。

懐かしい。

そんな感覚だった。


わたくし、アリア・ルナリアは、ひかりと別れた後も庭園を歩いていたのだけれど、最近ひかりが時々自分を見る目が少し不思議そうなことに気付いていて、それが嫌ではないものの少しだけ気になっていた。

「わたくしに何か付いているのでしょうか……」

アリアは苦笑する。

けれど。

なぜだろう。

ひかりと一緒にいると。

初めて会った気がしない。

ずっと昔から。

知っていたような。

そんな気がしてしまうのだった。

月が静かに輝く。

そして。

まだ誰も知らない運命が。

少しずつ。

確かに動き始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ