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ひかり〜約束の花〜  作者: せいら
夢と召喚と
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闇の来訪者

このエピソードに直接関係はないのですが、元の8話と9話の間にもっと分かりやすくなるようなお話(本当の9話)を割り込み投稿しました!

ぜひ投稿したエピソードと前後の話を読み、頭に入った状態で、こちらの最新話を読んでいただけると幸いです

私は舞踏会の真ん中で立ち尽くしたまま、突然現れた黒い霧を見上げていたのだけれど、その霧から感じる不気味な気配は今まで経験したことがないほど冷たくて重くて、まるで心の中まで凍らせてしまうような恐ろしさを持っていたため、自然と身体が震えてしまっていた。

「ひかり!」

レオン王子が私の前へ出る。

「下がれ!」

その声はいつもよりずっと鋭かった。

会場中が騒然となる。

貴族たちは逃げ惑い、騎士たちは剣を抜く。

音楽も止まっていた。

楽しかった舞踏会が一瞬で別の場所になってしまったみたいだった。

私は思わずアリアを探す。

「アリア!」

少し離れた場所でアリアもこちらを見ていた。

「ひかり!」

無事だった。

そのことに少しだけ安心する。

だけど、黒い霧はどんどん広がっていく。

そして、霧の中から黒い影が現れ始めた。

「なに……あれ」

私は息を呑む。

人の形をしている。

だけど人ではない。

真っ黒な身体。

赤い瞳。

まるで闇そのものが生きているみたいだった。

「シャドウか……!」

シリウス王子が低く呟く。

私は聞き返した。

「シャドウ?」

「闇の魔物だ」

その表情は真剣だった。

「どうしてここに……!」


俺、シリウス・ルナリアは最悪な気分でいた。

わざわざ舞踏会の日を狙うなんて。

しかも、普通のシャドウじゃない。

かなり強い。

俺は剣を抜いた。

レオンも同時に前へ出る。

本当に気に入らない相手だ。

昔から。

太陽の国の王子。

それだけで反発してきた。

だけど、今だけは違う。

俺たちは同じものを守らなければならない。

「レオン!」

「ああ!」

それだけで十分だった。

二人同時に飛び出す。

剣が閃く。

シャドウが吹き飛ぶ。

会場中から歓声が上がった。

だけど。

次の瞬間。

さらに大量のシャドウが現れた。

「まだいるのか!」

俺は舌打ちする。

数が多すぎる…っ!


私、結城ひかりはただ見ていることしかできなかった。

レオン王子が戦う。

シリウス王子が戦う。

騎士たちも戦う。

それなのに。

私は何もできない。

悔しかった。

怖かった。

その時だった。

一体のシャドウがアリアへ向かっていた。

「危ない!」

私は反射的に走り出していた。

アリアの前へ飛び込む。

「ひかり!?」

アリアが叫ぶ。

シャドウの爪が迫る。

怖い。怖い。怖い。

でも、守りたい。

その瞬間だった。

胸の奥が熱くなる。

あの日と同じ。

花を咲かせた時と同じ感覚。

そして。

私の身体から光が溢れた。

眩しいほどの光。

暖かい光。

優しい光。

光は会場全体へ広がっていく。

そして、シャドウたちが悲鳴を上げた。

黒い身体が崩れていく。

まるで雪が溶けるみたいに。

一体、また一体。

次々と消えていった。

会場が静まり返る。

誰も声を出せない。

私は呆然としていた。

「え……?」

自分でも何が起きたのか分からない。

ただ、光が出た。

それだけだった。


わたくし、アリア・ルナリアは目の前の光景を信じられずにいた。

ひかりが光に包まれている。

まるで、昔話の聖女様みたいに。

その姿は美しくて。

優しくて。

どこか懐かしかった。

その瞬間。

頭の中へ映像が流れ込む。

花畑。

笑い声。

そして。

長い髪の女性。

『セレナ』

誰かが呼んだ。

わたくしは息を呑む。

今の人は誰?

でも、映像はすぐ消えてしまった。


会場では、国王たちも驚いていた。

ルナリア王。

ソレイユ王。

両国の騎士たち。

誰もがひかりを見ている。

そして。

レオン王子が静かに言った。

「やはり……」

シリウス王子も続く。

「本物だな」

私は困惑する。

本物?何が?

その時、黒い霧の中から声が響いた。

女性の声。

妖しく。冷たく。どこか悲しそうな声。

『見つけたぞ』

会場が凍りつく。

『ようやく』

『ようやく会えた』

私の背筋が震えた。

その声はまるで。

私だけへ語りかけているみたいだった。

『フィオラ』

私は固まる。

フィオラ。

またその名前。

また。

知らないはずなのに。

胸が痛む。

涙が出そうになる。

どうして。

どうしてそんな気持ちになるの。

すると。

レオン王子が私の前へ立った。

シリウス王子も。

二人とも剣を構えている。

まるで。

私を守るみたいに。

『ふふ』

闇の中で女が笑う。

『待っておれ』

『今度こそ全てを奪ってやろう』

その言葉を最後に。

黒い霧は消えていった。

静寂だけが残る。

だけど、誰も安心できなかった。

今の言葉が、新しい戦いの始まりだと、全員が理解してしまったから。

誤字などを編集しました

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