1-11 強者と最強
「下がれ、二人とも。それにラインハルトも。」
「はい」「了解」とすぐに俺の後ろへと下がる。
ラインハルトも、何かを理解したようにその剣をおろす。
「化物。少し付き合ってもらうからな。」
見据えた先には
「ギギ、、、」
奴もその異様な雰囲気を感じ取ったのだろう。警戒を強めた。
「、、、ギァ!!!!」
こらえきれず、サソリは高速で迫る。
それは今までよりも何倍にも加速し、残像すら残さない。
数度の手合わせ。
奴が来る出す拳は、その一つ一つが巨岩をも粉砕する威力を持つ。
繰り出す右拳を避けた瞬間に不意の尻尾による一撃。
「、、、っと。ぶねぇ、、」
チッ と頬を掠める
なかなかやるな。流石はSランク。
今度はこちらから仕掛ける。
相手の上段蹴りに合わせ、逆足を叩きバランスを崩す。
空いた腹に向かって右の拳で思いっきり殴る。
しかし、
ガァーーーン!! 響いたのは鉄を打つその音。
固いな。殴ったこちらの拳から血が滲む。
サソリも気づいたのだろう。
横まで裂けた口をニヤァと歪ませる。
こちらの拳も通らない、だが相手の攻撃もかわされ続ける。
「、、よし、だいたいわかった。
そろそろ終わらせようか。」
「ギィ、、、?」
言葉がわかっているように、再びニヤァと笑う。
俺はサソリが近づく前に唱える。
『完全思考』
体感を超え、あたりの速度は急激に遅くなる。自分の中の血流だけが早まるのが分かる。
相手は気づかないまま、手足、尻尾全てを使い俺への攻撃をやめない。
最小限の動きで交わしていると、しびれを切らしたのか、今までよりも力を込め、左の拳を突き出す。
その速度はすでに音を置き去りにする。
常時では視認は不可能な領域。
「だが、、遅い」
俺は突き出された左手を、体を半歩ずらしスレスレで避ける。
そのまま、奴の腕を掴み、、
思いっきり引きちぎった。
「ギ? ギアァァァァ!!」
膝をつき倒れこむ。
だが、逃がしはしない。
「騒ぐな。」
もう片方の腕も引き千切り、汚物を見るかのようにして投げ捨てる。
「ギァァァアアアアアア!!」
もう叫びにすらなっていない。
かろうじて反撃をしようと、繰り出してくるその尻尾による攻撃も軽々かわされ意味をなさない。
「なんでだ? そんな顔をしてるな。
簡単だろう、、お前より俺が強かったんだよ。」
苦しそうにもがくサソリ。
「あとはそうだな、、お前を殺す理由は、、
平等に制裁してるだけだから。」
そういって、俺は右手を振り下ろす。
トンッ
音を立て、首が落ちる。
あたりは今までの戦いがなかったかのような静寂に包まれる。
完全思考が解けるのが分かる。
おそらく、使用時間にして15秒ほどだろう。
まだ、これが限界か、、
体がぐらつく、少し無理をしすぎたみたいだな。
「すまん、アリス、、あとは頼んだ。」
俺は意識を手放す。
わかっていたように、優しく受け止めるアリス。
あっけない幕引きは、この戦いの終焉を意味した。
犠牲とそれぞれの思惑を抱えて。




